6話ー③ 幼児退行した嫁が可愛すぎる......






:次の日の朝:



「ルシア。おはよう。」


「お……おはょぅ」


「どうしたのさ。いい朝だよ??」


「私……また、ねんねしてたの?」


「あれ?寝ようと思って寝たわけじゃないの?ホントによく寝るね。可愛いよ。」



 僕ら神族には、基本的に睡眠が必要ない。


寝るという行為は、意識的に調整できるもので、起きていようと思えば半永久的に活動できる。


 例外はあるけれど、睡眠は娯楽の一つというのが基本的な感覚だ。

知らず知らずの内に眠ってしまうのは、神族にとって非常に珍しい。


 だからこそ自然に眠りに落ちることが多いルシアは、神族の中でも特異な存在で、それが一層彼女を愛らしく見せるのだ。



「あぁぁ露天風呂入りたかったぁぁ。」


「そう言うと思って早めに起こしたよ。朝風呂に行こうか。」


「お風呂行くぅ!!抱っこしてぇ!!」


「いいよ〜。抱っこして行こうか。」



 行為の後に眠り、朝目覚めると、いつもルシアはこうだ。

普段から寝起きが悪い彼女だが、行為後の影響でさらに幼児退行し、甘えん坊になる。


 朝からゆったりと露天風呂に浸かりながら、僕は密かに笑みを浮かべる。

実は、この旅行の予定は一か月なのだ。


 昨日、休みが取れたかと聞いたのも、彼女に気付かせないための策略に過ぎない。

 実際には、彼女の勤め先に連絡を取り、一か月の休暇を確保しているのだから。


 向こうの人達も僕の話にノリノリで乗っかってきてくれた。

そのせいで、ルシアはまだ明日は仕事だと勘違いしていることだろう。




 ちなみにルシアは段々と幼児化が解けてきたようで、僕の隣で耳まで真っ赤にしている。

裸で風呂に浸かっているのだから当然と言えば当然か??



「これから1か月旅行楽しもうね。職場には連絡しといたから。」


「え?それって......」


「旅行が一か月続くってこと。」


「え!?いっぱい遊べる!」



 ルシアは露天風呂の水をバシャバシャしながな、満面の笑みで喜んでいた。


 そうして長い旅行の幕が開けた。





:一月後:




 僕らの旅行は予定通り、1ヶ月にわたって続いた。

その間、特に問題もなく旅行は順調に進んだ。


 森林公園の散策、首都での買い物、少し首都から外れた場所でのグルメ探し、

そして魔鉱洞窟の観光など、星の文明を存分に楽しんだ。


 この星の自然美と文化の多様性に触れ、心からリフレッシュすることができた。

 旅行を通じて、僕たちは新たな発見や経験を積み重ね、思い出深い一ヶ月を過ごした。



「もう1ヶ月経ったのね……家で仕事をしながら過ごす1ヶ月より短く感じたわ。」


「それだけ楽しめた証拠だね?計画して良かったよ。僕は魔道具作成に使う材料も調達できたし。」


「本当に器用ね……戦闘から実務作業、政治学から哲学、魔道具作りに戦術や魔術の研究・開発……あなたの知識欲は留まるところを知らないわね。」


「僕は本気で5代目全神王を目指してるんだ。そのためには今よりさらに力や知識が必要だからね。あとは印象操作?」



 僕が全神王を目指す理由は、この世界を良くしたいなんて高尚なものではない。

全神王はこの神界の頂点に立つ存在だ。


 行ける場所、手に入る情報、あらゆる行動に制限がない。

僕はこの世界をもっと隅々まで知りたい。もっと広い世界を見たい。未知を知りたい。


 この探究心こそが、僕の最大の原動力であり動機だ。



「何度聞いても本当に呆れるくらい大きい夢だわ。でも......夢に向かって努力し続ける所は尊敬してるわ。」


「素直に好きって言いなよ。何だよ尊敬って。恥ずかしいからって言い換えしちゃって。」



 ルシアはシャイだ。特に外では好き、愛してるなどの言葉は羞恥心でまず絶対に言えない。


 だからあえて突っ込んだのだ。少しいじめたくなってしまった。



「……ぅうるさいわね!流しなさいよ!」



 そんな雑談を交わしながら、僕たちは自宅に帰るための船に乗り込んだ。


 次にこの星に来るときは、旅行ではなく仕事だろうな......と思いつつ、

僕は前々から予定していた大型依頼の事について考えた。




次の任務はそれだけ危険で......そして不気味なのだ。








☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆


 どうもこんにちわ!G.なぎさです。

第6話を読んでいただきありがとうございます!


ここまで旅行編で退屈.....

という方がいたかもしれませんが、来週からはバトル漫画に戻ります!


とある森の調査にいった中位神6人が突然消息を絶ち......

その後も何度か冒険者を派遣しましたが、皆忽然と姿を消す.....


そんな不気味な森に主人公達が向かいます。

是非ご覧ください!!!

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