第50話 因縁の光と闇

50話ー① リベンジマッチ!スタート!!






 僕達はかつて、完膚なきまでの敗北を与えた敵と再び相対していた。



「この実力差が埋まるわけがない!!貴様らは死ぬんだ!!俺のように全てを奪われ、絶望のどん底に落ちて......」



 僕は彼の言葉を途中で遮り、殺意を持って斬りかかった。



「自分語りがうざいヤツだな。陰キャか?」


「貴様!!陰キャをなんだと思っている!!」



 え?……正論が返ってきた!?いやいや、この流れで何でだよ?

 ただ、このやり取りでこいつの本質が少し分かった気がする。



「極光・無尽閃!!」



 僕は光の剣を限界まで放出し、ザラームに向けて連撃を叩き込んだ。

 天武での強化とルシアのオリジナル神術の補助、さらには重ねに重ねた数十の強化術……


 これが今、僕たちが放てる範囲攻撃の中では最大火力だ。

 その範囲は惑星ルーモスペスを跡形もなく蒸発させ、周回衛星までも粉々にするほどだ。


 しかし――



「軽い。そして稚拙だ。範囲は広いが、局所的な威力が足りない。防御する価値もない。」


「わざわざ説明してくれてありがとう。」



 ――見事に意図を読み違えてくれている。いや、もしかすると読み違えたフリをしている可能性もある。

 油断はできない。それでもここまでの流れは計画通り......時間のズレも1秒以内。


 次の瞬間、ザラームが魔力を圧縮し、螺旋状に変質させた。

 まるで自分の体に取り込む前の原子エネルギーを直接変換するかのように。



「闇の鮮弾……」



 その威力はもし直撃すれば、アファルティア様でも凌ぐことは難しいだろう。

 さらに発射されれば、僕の最高速ですら避けることはできない。


 ルシアの天武で共有している未来視も、魔力の密度があまりに高すぎて役に立たない。



「男。言い残すことは?」


「ワンパターン......かな?」


「何?……待て、あの女はどこだ!!」



 その瞬間、ルシアがザラームの背後からあの『絶剣』を振り下ろした。

 僕たちの持つ、唯一まともに大ダメージを与えられる攻撃手段だ。



「はっ、それが貴様らの策か。愚か者め。」



 ルシアの渾身の攻撃は、あっさりと防御された。

 攻撃速度が足りなかったのだ。だがルシアは僕の指示通りに動いている。



「女から死ね!!」


「クソ!!やめろ!!」



 ――なんてね!ここまで全て計画通りだ。後はルシアのグラティスの発動速度にかかっている。

 ミスれば僕たちはお陀仏だが......きっとルシアなら大丈夫だろう。


 まぁ!これで失敗したら、僕の作戦に問題があるってことで!



「ん?これは!?」



 ザラームの目の前で、小規模ながら凄まじい威力の爆弾が爆発した。

 これは本来僕の全財産でも手に入らないほど高価な科学兵器だが、エリーとハルくんが資金を出してくれた。

 個としての力では他の分野に劣るが、量と再現性では間違いなく他分野より優れている。



「こんな……ものぉ!!」



 ルシアは爆発の直前に転移魔法で逃げている。

 ちなみに僕の方は保険として、実像分身で本来の位置を偽っていたが必要はなかったようだ。



「グバッ。な、何が......!?!?」


「爆発でダメージを与えるつもりはなかったんでね。」



 ザラームの肩から胸にかけて、ルシアの剣が深く食い込んでいる。

 爆発は単なる手段で、真の狙いはその絶剣を爆風で敵にぶつけることだ。

 当然、爆風で吹き飛ばされる剣の軌道も予め計算している。



「俺をコケにしやがって!!今から八つ裂きに……ヌゥ?今度は何だ?体が、重い。」


「重いだけ?ソロモン様の最強の毒なんだけど……強いな、レジスト。」


 ※レジスト=全ての法術、現象への抵抗力



 この任務のため、ソロモン様に作ってもらった激毒だ。

 魔力量が大きくなるほど効果を発揮する、ソロモン様の神法でなければ作れない代物だ。



「毒か……」


「剣を刺すだけで終わるわけがないだろ?」



 僕たちは以前よりも大きく力をつけているが、正面から戦えば数十秒しかもたない。

 悲しいことに僕たちと彼には未だそれほどの実力差がある。

 しかしこれは殺し合い......コロシアムで行うような決闘では無い。戦闘力だけで勝敗が決まるとは限らない。



「殺す!!貴様だけは!!」


「そう来なくっちゃ。……削り合いだ。」



 ザラームから漏れ出す殺気が、先ほどまでとは明らかに違う......これは、本物の怒りだ。


 ここからが本当の戦いになる――僕はそう確信した。








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 貴重な剣を爆風で敵にぶっ飛ばすという奇策!

 そして段々と垣間見えるルークしか知らない、ルシアの本領。


 格下にも関わらず、リベンジマッチは初手から優位に進む?


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

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 更新は明日の『『20時過ぎ』』です!


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