49話ー➃ 戦場を掌握する光
全て……全てルークが推測した通りに進んでいる。私は足を引っ張っているだけ。
私はこの不測の事態を飲み込む事で手一杯で、とても対策を考える余裕などなかった。
だけど経験上分かる。状況をよく把握できていない中で、勝手に動くのは逆に邪魔になる。
なら邪魔にならないよう、せめて彼の補助をできるよう支援に徹する。
「ルーク。私はこのまま支援に……」
「いや。ルシアが仕留めて。」
根源を伝って話しかけたが、ルークの答えは私が考えているものとは真逆の答えだった。
普通に考えればルークがこのまま仕留めるのが最も確実だ。根源共鳴の状態では天武を使わない限り、ルークの方が圧倒的に攻撃速度が速い。
根源を通じて話しかけたが、ルークの答えは私が考えていたものとは真逆だった。
普通に考えれば、ルークがこのまま仕留めるのが最も確実だ。根源共鳴の状態では、天武を使わない限りルークの方が圧倒的に速い。
性格上、彼が私に花を持たせようとしている訳ではないだろう。彼には何か真意があるのだ。
だが、その真意を根源共鳴している私にすら悟られないよう、隠している。
いったい、ルーク......あなたはどこまで見えているの?何を想定しているの?
その瞳に映る景色は......私にはまだ見えないの?
「でも……私よりルークの方が……」
「理由はあとだ!!急いで!!」
理由を言う時間さえ惜しい。それは切羽詰まっているということだ。
そんな状況にもかかわらず、私はまた聞いてしまった。せっかく私を頼ってくれたのに……
私はただ、寄せられた期待にただ応えればいい。
「分かったわ!こっちは任せて。」
ミスはできない。私が今出せる最大のパフォーマンスを発揮しないと私が私を許せなくなる。
全神経を研ぎ澄まし、速く、鋭く、そして確実に。
私は
「ドリルショット!!!」
超光速で射出された魔法は、紫色の一閃となって敵に向かう。
発動した私自身ですら視認が難しい程の速度だ。
「は?」
気の抜けた声と共に彼女の心臓部の核の8割型が丸く消し飛んだ。完全に消し飛ばせないあたりは流石害厄王なのだと思う。
しかし、もう戦えないほどの深手を負わせたのは確かだ。警戒は怠らないが、とりあえずルークに確認を……
「ルーク!!こっちは……え?」
ほんの……ほんの0.00…秒。目を離しただけだ。
根源共鳴の感覚ですら追いつけない程の一瞬の間に......
......ルークの右腕は無くなっていた......
「来ると思ってたよ。ザラーム!!!」
「貴様ぁぁぁ!!」
まさか……ここまでの流れも全て予想していたの?どうやって?そしてどうしてその事実を私に隠していたの?
これを……こんな事実を共有できないほどに私って……頼りないの?
生死を賭けた戦闘中に、こんな事を考えるべきではない。それでも頭に浮かんでしまう。
生死をわけたギリギリの戦いをしていなかった時期は、分かってもいなかった。
経験の差、判断力、戦略の差......精神力の差。痛感する……自身の未熟さを……
術式や剣技、能力ばかりを比べていたが、実力というのはそれだけではないのだ。
「何故俺が来ると分かった!!」
「誰が言うか!ルシア、天武だ!!」
そうだ……今回の私達はまだ天武を使っていない。
「閃光天武!!!」
私が天武を発動したのと同時に、ルークも天武を発動した。
以前の私たちとは違う……それは事実なんだけど。
あの圧倒的な実力差が、こんな短期間で埋まるとは思えない。
あの時の恐怖が再び私の足元に絡みつく。
この状況で、本当に私は役に立てるのだろうか?
「ハハハハ。何をしても無駄だ!!この圧倒的実力差は覆らない!!今度こそこの男を惨殺し、女を辱めてやる。」
その言葉を聞いて、あの時の情景がフラッシュバックする。
動けてはいる……戦えてはいるのに、頭が真っ白になってしまった。全身が恐怖に包まれ、指先は震え、狙いが定まらない。
すると、ルークが根源共鳴を通じて私に優しく語りかけてきた。
「大丈夫だよルシア。今回は勝てる。震えは止めなくていい。ただ僕を信じて。」
「......分かった。」
もう口調を取り繕う余裕もなかった。
心は一切軽くならない。
震えも全く止まっていない......
だけど戦える!何故だか今はそう確信できる!
......戦いの火蓋は切って落とされた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ついに始まる最悪の敵ザラームとのリベンジマッチ!
ルシアはトラウマ克服ならず?
あの日の絶望がフラッシュバックする、最悪の敵との戦いが始まる!
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!
更新は明日の『『20時過ぎ』』です!
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