30話ー⑤ 全ての命の起源
どこからともなく声がしてきた......。
優しく、透き通るような美しい女性の声。
そしてその声は、聞いているだけで安堵するような不思議な暖かい声だった。
落ち着いた声でもあり、それと同時に少女のように純粋で無邪気でもある。そんな声だ。
「ねぇねぇ。さっきのは凄かったね。まさか雷華ちゃんに勝つなんてビックリだよ。本当は接触あんまりダメなんだけど……私のナイト様が今居ないからお祝いだけ言いに来たよ~。」
「あなたは一体誰でしょうか?」
明らかに条理を逸脱している。
まるであの日、『植物学入門』に書き出された文字のようだ。
だが口調が違いすぎる。恐らくは別人だ。
「私はミリティア。みんなのお母さんだよ!だからあなた達も私の子供。みんな私の子供。だから絶対私が......愛し続ける。」
「全ての生命の……母?」
「神話に出てくる……あの全生命の起源なのですか?」
神話には全ての生命は、その母から生まれたとされている。
文字通り......一番最初に生まれた生命の起源。
それが今僕らに話しかけている……でもそれは何故なのだろう?
「起源?うーん......私から生まれた存在を生命って呼ぶだけなんだよ? 私のせいで色々不自由させてたらごめんね……消えるとか怪我するとか......そゆのも全部私から生まれたからなの……私が不変だったり不滅だったりしたら、子供達も......違ったかもなの……」
「いえ……そのおかげで僕らは工夫するんです。前に進むんです。争いも起こるかもしれませんが、不変でないのは悪い事じゃありません。」
「そっかぁ。一人にでもそう言って貰えて嬉しい……あ!そうだお祝いのアイスクリームそこに置いといたから!結構高級なやつ! お皿はあげる!プレゼントだよ!あと最後にヴァラルには本当に気をつけてね……またねー!」
いつの間にか控え室のテーブルにアイスクリームが置いてあった。
両方ともミルクだ。
そのアイスは見た事もないほどに純白で......
少し食べるのが勿体ない気もしたが、いざ食べてみると絶品だった。
「でもお祝いにアイスって......どういう事なのかしら?」
「別に深い意味はないと思うな……それにナイト様って言葉も少し気になる。」
あえてナイト様と使った感じもしなかった。
まるで説明するのが大変だから、濁しただのような......そんな感じがする。
「誰か守ってる人がいるって事かしら?」
「もしかすると夫婦という形も、彼女から始まっているのかもしれない。愛を育むという概念さえも。だから案外愛する人の事かもしれないよ?」
「それなら随分ロマンチックな話ね。ていうかミリティアさん?帰るの早すぎやしないかしら……」
「……怒濤の展開を、一分未満で片付けないで欲しいね......」
実際話していた時間は1分にも満たない。
こういうのはもっと時間をかけて、かっこよく登場するもんじゃないのか?
余韻も前兆もなく当然現れて、お祝いのアイスクリームを置いて帰るって……
神話の存在なのに調子が狂うな。
ただどうやってアイスクリームを置いたのかは、完全に不明だけれども。
「それとルシア。凄い情報を手に入れたよ。」
「ん?何?」
「鳴神剣聖は2代目全神王の娘らしいんだ。」
「は?ちょ……え?え?」
当然の反応だ。今日は本当に情報量が多い日だ......
何せこれまで初代全神王や2代目全神王に、直接的に関係していた人の情報はなかった。
十神柱に話を聞こうにも、濁されていたし......
そもそも初めは?実在さえ疑ってたわけだし?
「連絡手段があるかは分からない。ただやっと見つけた足がかりだ。鳴神聖に話を聞いてみたいんだどうかな?」
「当然反対しないわよ?その時は私も着いていくし。」
「ありがとうルシア。初代や2代目の話を聞ければより分かると思うんだ。ヴァラルの事も、僕達が知りえない事も。もしかしたら神界の衰弱を阻止できるかもしれない。」
そうして家に帰った後、鳴神聖との連絡方法を2人で模索し始めたのだった。
しかし......最悪の事態もう目の前まで迫っていた......
まさか.....あんな事になるなんて......
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
30話ー➃をここまで読んでくださりありがとうございます!
唐突に出てくる生命の起源。
前触れもなく、前置きもなく、そして……
特に重要な話をする訳でもなく、意味もなくなっていく。
その存在は純粋無垢?
もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!
何かあればお気軽にコメントを!
次回は遂に最悪が始まる31話スタートです!
更新は明日の『『22時過ぎ』』です!
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