第64話 狂気と奇妙『ネオン&エテルノ』

64話ー① 概造神核虚魄砦艦『カリウス』







 巨大な動作音と共に巨大な軍用艦が宇宙を進む。僕たちはとある人物に会うために航行を続けていた。

 場所は生命が近寄らない危険な星雲の中で、赤茶色の霧が空間を覆い、不穏な雰囲気が漂っている。



「……ルーク、眠い。」


「まぁそう言わずに。」


「もうちょっと寝かせてよぉ!昨日半殺しにされたばっかりじゃない!!」


「ヨシヨシ、怖かったね。」


「あぅ?」



 ルシアが甘えた声を上げたところで、艦の奥にある扉が開いた。

 パジャマ姿のエリーが何の気負いもなくこちらにやって来る。



「おにぃ。そろそろ着く。自動操縦、切り替えた。」


「いや、そのカッコはおはようって言う格好なのだが?」


「?.......パジャマで、運転した、だけ。」


「あ、はいそうですね……」



 ツッコミどころ満載だが......何を言っても無駄だろうし、僕は黙ることにした。

 するとルシアが僕とエリーに問いかけてくる。



「今日会いに行く人って言うのは……前に言ってた追放された研究者の……」


「そうそう。僕とルシアの基礎装備品はほとんど彼女の開発したものだよ。」


「そうなの!?」


「追放された、から。私、出資した。」



 まぁ追放された理由を知れば、それも仕方ない事だ。

 禁止された人身売買のオークションで子供を買って被検体にしたり……

 不法侵入や部位切除、臓器買取から治療詐欺……まぁほぼ犯罪者だが、その技術力は類を見ないほど優れている。



「それ犯罪の増長なんじゃ……」


「ん……それが?」


「まぁ、僕達が捕まらなきゃ......それでいいよ。」


「もしかして......私の家族が一番やばい!?」



 そんな話をしているうちに、目的地が近づいてきた。低く唸るような重低音が徐々に強まる。

 生物の声でも自然の音でもない、不快感を伴う異様な響きだった。



「またかなり改造されてるな……」


「ね、それなー。」


「何……あれ……巨大な生物なのかしら?」



 そこに現れたのは、直径50kmを超える巨大な浮遊戦艦だった。

 有機的な羽や触腕が伸び、ところどころに金属的な質感が混じっている。

 その生物とも人工物ともいえない姿にルシアは判断をしかねている。



「あれは概造神核虚魄砦艦がいぞうしんかくきょはくようかん・カリウス。まさかもう完成させてたなんて……」


「え、え?なんて? 名前ダサすぎないかしら?」



 僕もそれは思ったが......この名前の付け方は、これから会う人物の癖だ。

 .......エリーはそんな突っ込みを気にせず話を続ける。



「うん......CGVF、完成してる。計画、もう次移った。二人にも話す。」


「僕にまで隠れてコソコソやってた禁忌の研究かな?内容が聞けるなんて楽しみだよ。」


「ぅ?……気付いてた?」



 エリーが以前からコソコソと、怪しい研究を進めているのは分かっていた。

 しかしその具体的な内容は、僕の情報網をもってしても掴めなかった。

 しかし……このタイミングで話すということは、僕を助けに体内に入った時に何かあった……


 エリーの性格的にこういうのを急ピッチで進めることは無い。

 以前の僕並に慎重に安全策を取り、絶対に付け焼き刃になるような事はしない……

 彼女の計画はいつも長期的なのだから。



かな?……誰かに干渉でもされたりしたの?」


「おにぃ。流石……肯定だけする。」


「ちょっと……私をいつも蚊帳の外にしないでくれない? いっっつも私だけ話に着いていけないんだけど!?」



 ルシアが不満を漏らすが、どうせすぐ説明を受けることになるからシカトする。

 僕も今回ばかりは蚊帳の外だったのだし?



「……お。迎えに来てくれたぞ?」


「もぉ二人して私を無視しない欲しいわ!」



 すると目の前の巨大なカリウスが口をゆっくり開いた。

 赤黒い光が内部を照らし、生体と機械が入り混じった不気味な構造を露わにする。

 配管のような構造が複雑に絡み合い、心臓らしき器官らが不規則に脈打つ異様な光景を成していた。



「……エリー。本当に完成したのか?完全な神核。」


「ルーク?それってアルクさんの時に言ってたヤツ?それの完成品が既に出来てるってこと?」


「……完成は、した。でも、性能足りない。」


「なるほど……でも理論上綻びが解消されたなら、近い将来、神々の核を完全に模倣する事も可能かもしれないな」


「そー。利益。想像絶する。」



 艦が巨大な立方体の空間に静止すると、そこには一人の女性が立っていた。



「どーも、こんちゃーす!」


「エテルノおb.......お久。」


「……随分改造が進んだね。オバ......エテルノ。」



 そこにいたのはメガネをかけた、ボンキュッボンのグラマラスな美女だった。

 青と赤のグラデーションがかった巻き髪を揺らし、ピチピチのタイトスーツを着込んでこちらに歩いてきた。


 ――彼女はエテルノ。目的の人物の助手?保護者?......とにかく相方だ。







 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★



 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 巨大な戦艦”兼”要塞都市『カリウス』

 その圧倒的すぎる巨大兵器から、エリーの兵器の出所が見えてくる!?


 次回......人造神核を開発し、『カリウス』を開発した狂気の探究者が姿を現す!!


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 【【お知らせ】】中盤執筆の為、しばし毎日投稿じゃなくなります。


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