43話ー⑤ 告白と懺悔
私はエリー。今日好きな人と遊びにきてる。
「リーちゃん?おいしい?」
「ん、おいし。景色も、綺麗。」
話すのが苦手。言葉はとてもやっかい。
素直に気持ちを伝える......今日だけで何度も試みたけど、できなかった。
喉まで出かけて、言葉は止まる。
『好き』ただこの2文字伝えたいだけなのに。
「リーちゃん、聞いて欲しい。」
「ん、どーしたの?」
平然を装う。別に、装いたいわけでもない。
おにぃと私は何となく癖になってるだけ。
でも、今日は装い切れない場面、沢山あった。
こんなに異性を好きになったのは、多分生まれて初めて......
「今日はどうだった?」
「え?あ......たの、しぃ。」
「そっか.....よかった。」
詰まる言葉とは裏腹に、思考だけ加速した。
埋め込まれたCPUのせい?それともあの......何か言わないと。嫌われるかも?
「その......え。あ。うぅ。」
「ダメ......だったかな僕......」
ハルに幻滅されたくない......初めてできた好きな人......
でも話すどころか、目も見れない。
どうしよう......どうしたら......
おにぃがいれば......私の言葉を補ってくれる......おにぃが居ればきっと......
「ハル......違うの。私......」
「リーちゃん......正直でいいよ?僕受け入れるから......」
嫌われちゃう?でもハルにだけは嫌われたくない......
誤解されたくない、おにぃさえいればきっと......
「えと......」
いつもそうだ......助けられてばかり、甘えてばかり......
だから、すべて背負わせた。ずっと頼って......ずっと従って。
私にとっておにぃが世界の全てだった。
......違う、今もそうなんだ......
私は、女でも娘でもない。いつまでも妹......ずっと兄の後ろをついていく妹。
兄は強かった。とてつもなく強かった。
力が強かったんじゃない。心が強かった。
だから安心していた、過信していた......おにぃなら大丈夫だと、壊れないと。
ハルを前にしておにぃの懺悔でてくるなんて......
私......最低......こんなに真っすぐ、私を見つめてくれる人に......
「ハル......少し......待って。」
「いいよゆっくり待つよ。」
私は死んだ、何度も......そして押し付けた。自分の命の重圧を、おにぃに。
間違ってた......おにぃの心を軽くしよう。2人で背負おうって、考えたこともなかった。
だから、おにぃは壊れた。
それを知って、私はおにぃから奪った、大切なものを......
選択を提示された、その時......
私はおにぃから多くをはぎ取る選択をした。正しいかは分からない。
今のおにぃなら耐えられるかもしれない。
おねぇがいるから......あれから更に強くなっているから。
「いま......なら。」
ダメ!返せない。こんなもの返せない......怖い。もしダメだったら......
おにぃなしの世界なんて、ありえない、そうなる可能性が0で無い限り。私はずっとうずくまる......
ハル......私はハルが好き。キスしたい。その......そういう行為も......したい。
でも私......まだ前向けてないの。
こんな私が誰かに......好かれるわけない。
「落ち......ついた。」
「うん。じゃー話すね。」
振られる?嫌われる?思えばミスしたところ......沢山。
怖い。すごく怖い。嫌われたくない......
さっきから支離滅裂......おにぃに懺悔したり。今日を後悔したり......
「好きです。付き合って......くれませんか?」
「......ふぇぁ?」
告白?今告白されてる!?私が?
今日の朝ごはんなんだっけ。食べてない。ハルが服かっこいい?
何考えてるんンだろう!?思考がぐちゃぐちゃ!
私、こんなに頭の言語量、多かった???
「答え......聞けないかな.....」
「#%!$#%......ニュゥ」
言わなきゃ......肯定すれば、付き合える。
私も好き?これからよろしく?とにかく、何か一言!
このままショートしても始まらない。
言わなきゃ。早く!言葉を!頭違う、口でいわないと!
しかし彼女にそれは無理な相談であった。
緊張状態に無い時でさえ、彼の目をみて会話ができない。
そんな彼女ができた精一杯は......
燃える勢いで顔を赤らめ、俯きながらただ一言発するだけであった。
「......うん......」
「え?もしかして......OK?恋人になってくれるの!!」
「こ.....い#&%$#」
恋人。
その甘い響きは彼女の脳を完全に蒸発させた。
「......ぅ、ん......」
「嬉しい......僕、絶対幸せにする。これからよろしくね!」
「......よ。ろ......ぅぅぅ。」
限界を迎えた思考がオーバーヒートを引き起こし、意識が外界との接続をシャットアウトした。
つまるところ......泡を吹いての気絶である。
――――――――――――――――――――――――
あれ......私は何をしていたのだろう......
誰かと一緒にどこか遠い場所で遊んでいたような......
「エリー......もう朝だ。小学校に遅れるぞ?」
聞いた声は......幾度となく聞いた暖かい声。
誰とも分かち合うことの叶わぬ幸せの回廊に......足を踏み入れた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
まさかの告白大成功!!どうせG.なぎさは.....とか思ってた人いるかも?
この後からちゃんと付き合い出します!
来週はあまり語られなかった、エリーとルークの追憶です!
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!
更新は明日の『『21時過ぎ』』です!
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