46話ー➂ 歴代最強の極光
「ですが……私は、お二人がフィリアちゃんに同行することに反対です。」
「ティア嬢?既に決定されていますが、どういう意味ですか?」
一瞬、場の空気が凍りついた。
「ごめんなさい......でも神界は貴方を失う訳には……お二人は才能ある若者だけど、フィリアちゃんと比べてしまうと……」
「ティア嬢。それでは若き強者は永久に育ちません。その意見はあまりに臆病で、保守的です。」
「でも......黄金神が消えれば、今の神界は破綻するかもしれないのよ?」
アファルティア様の瞳はどこか霞んで見えた。気のせいだろうか......
しかし、彼女の言葉には確かに何か重いものが乗っていた。
しかし以前にどこかで見たような、そんな既視感があるのは気のせいか?
「フィア嬢。二人の秘めたる才は私と同等以上です。3代目を軽く超えています。とは言っても、ベルロット殿の武威は、あの絶剣と言っても過言ではありませんでしたが……」
僕たちが……アウルフィリア様と同等? それなら、何故……何も守れなかったのだろう……
あの時とは、いつのことだ? 僕は一体何を考えているんだ?
「そ、それほどなの? 光を担う者が……」
「ただの輝閃ではありません。今代は恐らく......歴代でも断トツ最強の極光です。」
「......分かったわ。フィアちゃんがそう言うのなら......それとお二人とも、3代目についての発言は信じてはいけませんよ? フィリアちゃん基準です。3代目も十分化け物でしたから。」
「ですよねぇ……」
うん。それだけは知ってた!
「な!? ベル殿は歴代の中でも特に武威が優れていたと……」
「初代と2代目と比較しての話でしょう?あなたの基準がおかしいの!!」
「ぐっ......面目ありません。」
「毎度思っていたけど、本当に基準が狂ってるわよ? ていうかティアちゃんでいいのに......」
二人のやり取りに、立場が逆転しているようにも見える。
関係性がさらに分からなくなってきたが、あえて口を挟むことはしなかった。
「すまない。話が脱線した。要望がなければ、出発は3日後の33時が好ましい。推奨装備はリスト化して送る。手に入らないものはこちらで提供しよう。」
「承知致しました。この度はお忙しい中、貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございました。」
「私もせめて荷物にならぬよう、ルークと共に最善を尽くさせていただきます。至らぬ点も多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
その後、必要な伝達事項を確認し、僕らはギルドの応接間を後にした。
―――ギルドからの帰り道―――
「ルシア。ここでアウルフィリア様に好印象を与えられれば、僕の夢は本当に実現する段階に来るかもしれない。」
「随分と物事がうまく運んでいるわね。まるで全てが予め定められているかのようだわ……もしこれが違うのなら、この後手痛いしっぺ返しがあるのかも?」
「確かに事は順調に進んでいるけれど、僕らが調査任務や原初熾星王との戦いで不必要なリスクを背負ったのも事実だよ。だから運が良いだけじゃない。」
「それもそうね……調査任務では一度命を落としかけたし。言い方は悪いけれど、十神柱の方々に罪悪感を与えられたのは大きいわ。」
現在、アファルティア様、ソロモン様、ギネヴィア様、雷華様が僕の5代目推薦を後押しすると約束してくださっている。
さらに4代目全神王も推薦候補の一人に入れてくれると仰っている。
また推薦こそされていないものの、バシレウス様とも良好な関係を築けている。
「十神柱の内、3人が推薦してくれてる。これで候補に入るのはほぼ確定だ。あとは……臣民投票……」
「そこが一番の難関よ。選挙候補にほぼ確実に選ばれるのなら、ここからはどうやって国民の票を獲得するかを考えるべきね。」
確かにそうだ。全神王の選挙候補に入るのが1番の難関と言っても過言では無い。
この天上神界に5代目を目指す人が、一体どれほどの人数がいるのだろうか?。
それ故に5代目の候補に入るために戦略ばかり考えてきた。臣民投票の戦略は未だ詰め切れていない。
「臣民からの支持か......これは難しいな。神界は国民投票で国家が成立するほどに、一人一人が政治について深く理解しているから......ある程度、人気取りで誤魔化しが効く他の文明とは違う。指導者として他候補者に勝たなくちゃいけない。公約や大局政策を間違えれば、4代目の二の舞だ。」
「ルーク、このままじゃ負けるわ。しかも完膚なきまでの惨敗よ。」
ルシアの口から飛び出した言葉は、僕を深く突き刺した。
そして、それが紛れもない事実だということは、疑いようがなかった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
政治って難しいですね......
神界の行政システム上、全神王の候補に選ばれるのが一番難関です。
かなり変わった制度で国が動いているので、また綻びがないか確認しないとですね!
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!
更新は明日の『『21時過ぎ』』です!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます