46話ー➃ 剣マニアと杖オタク?似たものカップル
「ルーク、このままじゃ負けるわ。しかも完膚なきまでの惨敗よ。」
ルシアの口から飛び出したその言葉は、疑いようもない事実だった。
「そうだね……最上位神で鮮烈的なデビューを果たし、大々しく報道してもらったけど……僕は国民からしたら『期待の新星』でしかない。勢いのある有名人であって、未来を託せる指導者ではないだろうな。」
「何かもっと指導者としての印象を、強く与えるストーリーが必要よ。このままじゃ流行りのアイドルになってしまうわ。」
ここからが本当の闘いだ。
国民に好印象を持たせるだけでなく、指導者や統率者としてふさわしい存在だと印象付けなければならない。
だが、当然詐欺を働くわけにもいかない。
僕ら自身が、指導者としてふさわしい人物に成長しなければならないのだ。
「さらに忙しくなるし、危険も増える……ルシアには苦労を掛けるな。」
「苦労なんていつものことよ?この間まで慎重すぎて、親友夫婦を見殺しにしかけたっていうのに? いきなりこうなるんだから。今更よ。」
「……本当にすいません。」
「だから……その夢、絶対に叶えてよ?」
「もちろん!絶対にこの野望を実現する。この世の全ての未知を手に入れる。」
僕は改めて、ルシアの前で固く誓った。
―――数日後、ルーク・ゼレトルス自領にて―――
ゼレス様から詳細な情報と共に、ある神法具が送られてきた。
「大体のものは予想通りね。でも、この指輪……何かしら?」
「......分からない。でもこれは使い方がかなり限定されている道具だよ。それはわかる。」
「いつも思うんだけど、そういうのはどこで判断しているの?」
「簡単さ。まずは指輪に含まれている魔力の量を調べて、鑑定神術で術を確認するんだ。もし何も分からなければ、少数で強力な術が付与されているってことさ。付与は、大量の術か、少数の強力な術のどちらかだからね。特に指輪のように魔石の体積が小さいものには、少数で強力な術が施されていることが多いんだ。」
付与魔法は、簡単に言えばコスト計算のようなものだ。
例えば、100のコストを持つ魔石に、強さ100のスキルを1つ付与するか、強さ1のスキルを100個付与するか、といったイメージだ。
どちらが優れているかは、状況によって異なるため、どちらが良いとは一概には言えない。
付与はアクセサリーだけでなく、剣や杖などの武器にも行われる。
ルシアは実際、1000本以上の魔法の杖を持っていて、戦闘中はその状況に応じて違う杖を使い分けている。
戦いの途中でも次々に杖を持ち替えることで、戦術の幅を広げているのだ。
一方で、剣については少し事情が異なる。
剣は杖と違って戦闘中に簡単に持ち替えることができないため、そこまで多くの本数を保有しないのが一般的だ。
また、剣は重心や刃の感覚が非常に重要で、精密さが求められる。
もし1000本もの剣を使い分けようとすれば、それぞれの剣に対する熟練度が下がってしまう。
これはミリ単位の差し合いで勝敗が決する剣の世界では命取りだ。
「……あなたが剣マニアなのは知ってるけど、魔道具にも詳しいのね。」
「杖オタクの君には言われたくないよ。」
「杖は別よ!杖によって使い心地が全然違うし、一本見つけるだけで戦略が大きく変わるのだから!」
「......1000本は要らないでしょ......」
「う、うるさいわね!いつも貸してあげてるでしょ!」
こうして何気ないやり取りを続けていられる今が、どれほど貴重なのかと思う。
全神王という茨の道を選ぼうとしている僕には、こうした時間があとどれだけ残されているのだろうか......
……矛盾している。
もしルシアを本当に大事に思うのなら、全神王の夢など諦めるべきなのかもしれない。
......彼女の望みはただ一つ、僕と永劫を共にすることなのだから……。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
政治って難しい!4代目みたいな......とは言ってますが4代目は普通に名君です!
ルシアが魔法杖マニアだという事が発覚しました.......
ちなみにルシアの給料は貯金分以外ほとんどが、食費と杖代に消えます。
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!
更新は明日の『『21時過ぎ』』です!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます