第28話 弓神と極光
28話ー① いざ立ち向かえ!最上位神!
僕らがカテラセオスの道場を訪ねてから2週間が経過した。
あれから数日残った休日を楽しんだ後、調査依頼をいくつかこなした。
僕は学校の方へ行って、テキトーーに講義をしていたりもした。
しかし今夜は珍しく、僕らの間に緊迫した空気が張り詰めている。
「ルシア。調子はどう?ついに明日は最上位神昇格に際しての模擬戦闘だね。」
「……悪くはないわ。でもあなたのせいで、印象的に勝たなくてはいけなくなったのよ。
未来の全神王夫人がみっともないと、選挙結果に影響を出すもの……」
全神王夫神は天上神界の女神の中で頂点に位置する。いわば国母的存在だ。
全神王が不在の際や緊急事態の際は、一時的に政治を取り仕切る事もある。
事実上の国のNo.2である。
直接的に選挙が行われなくとも、臣民からは厳しく評価される。
「でも僕はあんまり心配してないよ。話し方も強い女性って感じするしね~。」
「臣民があなたみたいにバカなら助かるわ......あぁもう緊張で吐きそう……」
ん?んん?今サラッと暴言言わんかった????
まぁそれは置いておこう。
ちなみにこの模擬戦。誰と当たるのかを、僕らは未だに知らされていない。
だから僕は最上位神全員に対して、対策を考えて望んでいるのだ。
正直な所、『最上位神最強格』と名高い3大最上神が来たら勝ち目は薄いのだが……
「まぁとにかく......今からやれるだけの事はしておくしかないよ。」
「かなり色々やったじゃない。1週間も前から強化神術に、魔法薬に戦術の反復練習に、対策訓練に……
もし最上位の下の方に当たったら圧勝じゃないかしら?」
「それならそれで鮮烈的に勝てるからいいんだけどね。」
そもそもこの日のことを見越して、僕は数百年前から最上位神の下調べをして対策を考えている。
そうして僕らは、万全の準備をして当日に望んだ。
第5闘技会場の控え室で、僕らは最後の気構えをしていた。
4代目の計らいなのかは分からないが、僕ら2人は同室の控え室になっている。
控え室にはモニターがついており、闘技場所の映像が映し出されている。
なので控え室の中からも、互いの試合を見る事ができるのだ。
「はぁ……せめて相手を言ってくれればね……」
「本来勝つ事を前提としてないのよ……だから空いてる最上位神の方が来るのよ多分……」
天界の闘技場所は少し変わっている。
何せ一撃で星や銀河を破壊したり、時間を停止させたりする神様がいるのだから......
コロシアムみたいな場所で戦えば......
......観客は漏れなく全員イってしまう......
そのため、仮想空間として1つの宇宙を作り、その中で戦闘が行われるのだ。
なので戦闘中で死んでも問題はなく、どんな化け物でも全力で戦う事ができる。
ちなみにこの仮想空間?の技術は現在では再現不可能であり、メンテナンスしかできない。
「呼ばれたわ。私が先みたいね。行ってくる。」
「おけぃ!頑張ってね!ここで見てるから!全国放送!!!!」
「あぁもぅ!最後に緊張させないでよ!勝つから黙ってて!!」
「負けず嫌いだなぁ......」
そうしてルシアは控え室に現れた転移ゲートの前で、本人認証を行いゲートを潜っていった。
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