23話ー➂ 超異常事態、発生!!!
――次の日、第2惑星シレティム地表――
僕らはスタンピード討伐のため、天上神界第2惑星のシレティムに来ていた。
シレティムの景観は一言で言うと荒廃した大地だ。
草木はほとんどなく、見渡す限り茶色い岩肌と土に、覆い尽くされている。
この惑星は、住居や施設のほぼ全てが地下にあり、巨大な地底文明が出来上がっている。
僕ら五人は担当区域にテントを張り、簡易的な野営をしている。
テントの周りは風が吹き荒れており、そこだけ見れば滅亡後の世界のようだ。
人によっては魔法で建造物を作るのだが......
それを隠すための魔法も無駄なので、僕らは簡易的にテントで済ませている。
「ルシア、どう?スタンピードの軍勢は見える?」
「らしきものは観測できるわ。どうする?迎撃するかしら?」
そうするとガリブも話し出す。
「つってもなぁ。まだかなり距離あるんだろ?神界の防衛圏内に入ってからでいいんじゃね?」
そう......お察しの通り天上神界のスタンピードは、基本的に宇宙空間からやって来る。
そして標的となってしまった惑星に、魔物達を侵入させないことが任務内容だ。
規模によっては複数の惑星全体を守ることもある。
今回の場合は第2惑星全域で済んでいるのだが、それでも守るべき地表の面積は膨大だ。
雇われた冒険者達はそれぞれ区域分けされ、防衛及び殲滅を任される。
これがまた天上神界のスタンピードの難しい所なのだ。
距離が離れすぎる場所で対処すれば地上の状況が分からず、取りこぼしを見逃す可能性がある。
惑星から離れた場所は場合、大抵は魔物が広範囲に散開しているからだ。
地表と近い場所は反対に、地上の状況は把握できるのだが......
魔物が地表に到達するのが早く、少ない時間で多くを殲滅しなくてはならない。
「おにぃ、魔力核弾頭、準備おけ。」
「よし、発射。それは近距離だと使い勝手が悪い。」
魔力核弾頭ミサイル......
それはかつて、様々な文明で開発された元素爆弾の神界バージョンだ。
物理法則の異なる、天上神界の宇宙空間でも圧倒的殲滅力が保証されている。
汚染物質は従来のものより遥かに少ないが、爆発力もとてつもない。
爆風や毒物が万が一にも、惑星に影響を及ぼすと困るので今使うのがベストだ。
ちなみにこれを個人で入手できるのは、僕が知る限り十神柱とエリーだけだ。
あと武器商人?
「あたしに押させて!!最後の発射信号押したい!押したい!」
あまりのうるさいので、ベレスが押すことになった。
「オシ!押すっしょ!」
押した瞬間、巨大な亜空間ゲートが地表に出現し、その中から七本のミサイルが頭を出した。
発射の信号と同時に、高さ「300m」はあろうミサイルが七つ発射される。
流石のエリーも、これ以上の数を購入するのは不可能……なはずがない。
彼女の財力は異次元だ。
黒いものが健康にいいと聞いて、黒い色の小惑星を買い占めたほどに。
そして長年兄をやってきた僕の直観は、妹が大量に兵器を蓄えていると告げてくる。
するとルシアが、弾道プログラムを弾き出しながら話し出した。
「軌道の調整と起爆のタイミングは、私が手動でやるわ。その方が効果的だと思うから。」
「ルシアっちすげぇ。何やってんだか全然わっかんネ。」
「神界の超高性能AIに、手動で勝てるのはルシアくらいだよ……」
そして発射から225秒後、魔道核弾頭が爆発。
離れていたが僅かに、巨大な光の球体を形を肉眼で確認できる。
きっと並みの文明であれば、惑星ごと消失するほどの超兵器。
それほどの兵器を使って尚、神界はスタンピードさえ全滅させられないのだ。
「たーまやー。」
「死の爆光か......」
「ん。綺麗。」
「......正直同感。めっちゃいい!」
エリーが棒読みで言っている。
そして遂に、神族の視力である見える距離に魔物がやってきた。
しかし……全員がすぐにその異変に気が付いた。
未だ数千万キロ離れているであろう、魔物の異変に......
「待って?何か、報告より全然多くないか?目算で倍くらいいるんだけど……」
「おにぃ、あれ、全部狂化っぽい。」
「ちょ!?マジ!?それあたしらだけでどうにかなんの!?」
「ルーク、私達の担当区域は、魔核で相当減らしてるのよ?他の区域はいったい……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます