37話ー⑤(最終) 謎の宝珠







 しばらくして仮想結界内で、僕の浮島に到着した。

 しかし......



「ない……僕の領地がない?」



 正確には浮島のある座標に到着した、というべきだろう。



「ルーク……ちゃんと登録したのよね?それともこの聖遺物が、神界の地形を読み込んだ時には浮島はなかったの?」


「いや……それはない。この浮島より新しい浮遊島も、ちゃんと地形として結界内に存在した。」



 バグ……という可能性が1番高い。

 よりによってどうして僕の浮島なんだよ……



「おにぃ。小さいけど。あそこ。何かある。」


「エリっち、よく気づいたな!あたし全然気づかなかったっしょ!」



 確かに何かが見える。空中に何か小さなものが浮いているのだ。

 とにかく僕たちは近づいて見ることにした。



「なんだこれ……何かの宝珠かな?」


「真ん中に不自然な穴が空いているわよ?何かの鍵穴とかじゃないかしら?」



 球体のような形状をした黒い物体に、幅十数cmの長方形の穴が空いている。

 形状だけ見れば、確かに鍵穴のように見えなくもない。



「でも後ろまで穴は貫通していない。鍵というより何らかのオブジェクトな気もする。」


「確かに……こういう芸術品多いものね……」


「でもルシアっち?他の場所にも穴空いてるっしょ?」


「「え?」」



 僕たちは一つの穴しか見えていなかった。

 決して見落としたのではない、一つしか見えないのだ.....



「おかしな奴らだなぁ?こんなに穴だらけなのによ!!」


「ル、ルシア......他の穴なんて見える?」


「み、見えないわ?一つしか......」



 おかしい......そもそも現実なら、そういう細工があっても話は頷ける。

 しかしここは仮想世界......そんな手の掛かった仕掛けを再現する意味はない。


 下手をすれば結界内では、そんな複雑な仕掛けを再現できない可能性さえある。

 また......条理の外に出ている強大な何かを感じる......



「ちなみに......ガリブとベレスは穴いくつに見えてるんだ?」


「「七!!」」


「マジか.....」


「にわかには信じがたい話ね......」



 どうやら彼らには七つの鍵穴?が見えているようだ。

 そうなるとエリーがどう見えているかも重要になってくる。



「ちなみにエリーはいくつに見える??」


「おにぃ達、さっきからなに?私何も見えない。」


「つまりエリーちゃんは鍵穴みたいなものは見えないの?」


「ぅん?そもそも宝珠ない。」


「......流石にこれはおかしいな。」



 僕とルシアには穴は一つ......脳筋達は7つ。

 そしてエリーはそもそも宝珠自体が見えていない、という結論らしい。



「少し......すり合わせが必要だね.....」



 その後、更に細かく互いの認識を確認した結果......

 僕とルシアが見えている穴は、そもそも別のものだという事が分かった。


 認識がかみ合っているのは、ガリブとベレスだけらしい......



「ルーク......この結論をここで出すのは無理じゃないかしら?」


「そうだね......ひとまず結界を出よう。ルシアは後で僕と領地を調べてみよう......」



 考えても分からないので、僕らはその場を後に外に出る事にした。

 自領にルシアと調査してみたが......


 ......結局僕たち領地から、それらしきものは発見されなかった......








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 37話ー⑤(最終)をここまで読んでくださりありがとうございます!


 鏡写しに天上神界を再現しているアーティファクト。

 その中に主人公の住まう浮島は存在しなかった??


 そしてその代わりに謎の宝珠が......

 宝珠が見えていないエリーが見た別のものは一体?


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をして くれると.....超嬉しいです!!


 何かあればお気軽にコメントを!


 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!


 

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