第60話 真の目覚め
60話ー① 最愛の生還
明るい光が見える……暖かな温もりが全身を包んでいる。
近くに.......最愛の人がいる感覚が広がっていく……。
闇の底から光のあたる元の居場所まで......
彼女の隣を歩くことができる太陽の大地まで、引き戻されていく。
「ハッ。」
目を覚ますと、僕たちは見知らぬカプセルベッドの中にいた。
隣にはエリーが座り、僕の目覚めにも特に驚く様子も見せずに軽く笑った。
「おにぃ、おはー。」
「おいおい……生死をさまよった、お兄ちゃんが目を覚ましたんだぞ?もっと別の反応あるだろ......」
「その反応……容態、安定した時。もうやった。」
「おぉい……薄情すぎん?にしても、ルシアより僕が先に起きるのは珍しいな。」
あれ?僕の方が重症だったはずなのに......
少し不安を感じたが、僕が目覚めたことでルシアの意識が活性化されたのが根源を通じてわかる。
あと数分で、ルシアも目を覚ますだろう。僕はほっと胸を撫でおろし、ベッドの縁に身を預けた。
「んー、シャボン玉か……」
「お、おにぃ……な、何言ってるの?」
「いや、夢を見てたんだけどさ。なんでか、下校するエリーを迎えに行って、帰り道にシャボン玉歌ってって言ったんだよなぁ。」
「へ、変な夢。捏造乙……」
見逃したわけではなかった......
妹が僅かに言葉を詰まらせたことを......
「ですよね~。僕が初等部の女の子達から、求婚されまくって大変だったんだからー。」
「鼻伸ばすおにぃ。ちょいキモい。」
「し、辛辣だな……」
苦笑する僕の内で、ふと、ルシアの意識が目覚めた感覚が強くなる。
戦いを経た今......僕たちの繋がりはより深まったようで、以前より鋭敏にルシアを感じ取れる。
「ぅ……私、生きてる?」
「ルークは……死んでしまったけどね。」 ※ルークのセリフです。
「嘘……そんなの嘘……。私たち片割れなの……」
隣でニヤつく僕に気づいたルシアは........一瞬だが完全にフリーズした。
「隣にいるじゃん!!もっとマシな嘘ついてよ!?目覚めて早々、心臓止まったじゃん!」
「いやぁ……ごめんついつい……」
ルシアが目覚めた安堵に、自然といつもの冗談が口をついて出た。
起きて早々僕がボケた事で、いつも通りのプロレスが始まったのだった。
「元気確認、帰る。」
「え?エリーちゃんもう帰るの?」
「さ、流石に早くないか!?」
「ん。大丈夫。」
話噛み合ってねぇ......大丈夫かはこっちが決める事なのだが......
しかし言葉少なにエリーが立ち去ろうとするのが、どこか妙に見えて......僕は思わず呼び止めた。
「エリー、何か急ぎの用でもあるのか?」
エリーは振り返らず、少し考えるような仕草をしてから呟いた。
「ん……また守るから、大丈夫。」
そう告げるとエリーは小さな笑みを浮かべ、何かを振り切るように部屋を出て行った。
何かがおかしいと思ったが......エリーの後ろ姿が消えた瞬間、ルシアが僕にしがみついて泣き出した。
「ルーク……生きてるぅ、死んじゃったかと思ったぁあ」
「あぁ……流石の僕もダメかと思ったよ……」
抱き付いてきたルシアを優しく抱き詰め、お互いの温もりを改めて再確認する。
また生きて二人で迎えられた今この瞬間は、本当に特別な時間に感じられる。
「ルークが死んでたらって思うと......怖くてぇぇ。」
「僕もだよ、ルシア。生きててくれて、ありがとう……」
あの絶望的な窮地から生き残り、天上神界に帰ることができたのが、もはや奇跡のように思える。
結果的に僕は賭けに勝った......これで夢にまた大きく近づいただろう。
しかし、それと同時にヴァラルにも目を付けられた......ぶっちゃけあれ勝てんのかな?
「ねえ、ルーク……私自分の本質がやっと分かったの.......」
「何か掴んだの?」
「うん.......絶対に叶える決めたの。」
「僕と悠久の時を生きるって夢のこと?」
ルシアは、少し小悪魔的な笑みを浮かべ......
「内緒。いつも隠し事するお返し。」
「マジかよ......」
「ねぇ......」
するとルシアの方から、僕の首の後ろに手をまわしてくる.......
そして僕を引き寄せて、耳元で囁いた......
「ルーク......愛してる」
「.......僕も愛してるよ、ルシア。」
生死の淵から、奇跡的に生還した二人は......
互いの唇を重ねながら、再び深い愛を誓い合った......
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
目覚めた隣には、最愛の人の姿が......
遂に遺跡調査を終え、天上神界に生還したルシアとルーク。
そして遂に動き出す、ヴァラルの計画とは??
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
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更新は明日の『『20時過ぎ』』です!
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