48話ー➁ 滅亡した世界
扉をくぐると、そこに地面がなかった。
それはつまりここが、空中だということを意味する。
分厚い雲の中は濁った水滴が突風に巻き上げられ、いたるところで雷が轟き光を放っている。
まるで地獄のような光景だ。
一瞬驚いたが、すぐに対応し、特にダメージを受けることもなく落ち着いた。
落下している感覚から、この場所には重力が存在することがわかる。
すると、通信神法具を通してルシアの声が響いた。
「ルーク......この雨粒、毒性が尋常じゃないわ。乱気流も帯電量も普通じゃない!!」
「ははは......そうだね。それにこの落下速度......かなり重力が大きい惑星みたいだよ。」
前方にいるアウルフィリア様は、防御魔法を使っている様子もない。
しかし雷撃も雨粒も彼女の周囲に近づくことなく、弾かれている。
それから数分間雲が途切れる事はなかった。
しかし少しづつ雲の中が明るくなっている、どうやらこの地獄の空間も終わりが近い。
「抜けるぞ!!備えろ!!!」
「はい!!」
その数秒後、目に飛び込んできた光景は――
「な!?」
「なによこれ......」
立ち並ぶ超高層建造物群。
空中に張り巡らされて空中交通網。
その光景は、この地がかつて超高度な技術を持った文明だったことを物語っている。
だが、すでに滅び、廃墟と化していた。
建物の風化具合から見て、この文明が崩壊したのははるか昔だろう。空は茶色く濁り、建築物は劣化によりその強度を失い所々崩壊している。まさに、文明の滅亡後の残骸だ。
しかし――何かがおかしい。
「おかしい......古すぎる。」
「この風化具合だと、天上神界よりも古い文明かもしれないわ。でも、こんな高度な文明が存在した記録や痕跡が今まで一切発見されていない......ありえないわ。それにここ、天上神界からさほど遠くない場所よ?」
「アウルフィリア様......これも機密事項だったりしますか?」
「いや。私もここの存在を知ったのは今日が初めてだ。」
一体ここは何なのだろうか?天上神界よりも古い時代に栄えた、超文明の遺跡だというのか。
だが、これほどの規模の文明が記録にも残っていないのは、あまりに不自然だ。
星が滅びたとしても、こうした文明であれば脱出手段も十分にあったはず。
末裔が存在しないのも謎でしかない。
「まずは地表の調査を行う。私から絶対に離れるな。何か気づいたことがあれば即座に報告しろ。」
「「はい!」」
地表の捜索は、探知神術を用いても危険だ。
視界が悪く、毒素が漂っているこの状況では、少しでも防御を解けば危険に陥る可能性も高い。
「この毒......ザラームとエドルモのところで見たものと同じだ。」
「ほう? だとすると、この星を滅ぼしたのもヴァラルの手引きかもしれん。」
「つまり、ここは遥か昔にヴァラルが文明を滅ぼした場所だということですか?」
「断定はできん。だが、間接的に関与した可能性は十分に高いな。あそこの建造物を見ろ。」
指し示された先には、奇妙に破壊された高層建物があった。
下部から上部にかけて、円柱状に大きくえぐり取られた痕跡が残っている。
まるで、地下から何かが這い出してきて建物を食い破ったかのようだ。
周囲の建物にも同じような痕跡が散見される。
「......アウルフィリア様。これは......」
「心当たりはある。だが、現時点では何とも言えん。ただし、だが私の心あたりが正しければ破壊の原因はまだこの星にいる。」
「わかりました。僕たちは引き続き調査を――」
その瞬間、違和感が走った――
ルシアに異変が起きている。
「ルシア?どうしたの?」
振り返ると、ルシアの顔は真っ青で、足元もふらついていた。
辛うじて歩いているがその足は覚束ない。毒にやられた?いやそれはない。
根源同士の繋がりでルシアの体が毒に侵されていないことは分かる。
同じ神術を展開している僕はなんともない。これは外的要因である可能性は低い。
「ルーク......気持ち悪い......吐きそう。クラクラする......」
「ルシア!!」
ついに彼女は......謎に地でその場に崩れ落ちた。
不可解なことに、どこを調べても異常は見つからない――。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
神界に近い座標にありながら、神界よりも前に栄えた超文明。
そこはすでに滅亡した後だった......
そしてルシアに早くも異変が?
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
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更新は明日の『『20時過ぎ』』です!
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