14話ー➂ 超広域神術!!『古龍神の咆哮』
「終わったわ!!第12階梯神術、空地回天!」
ルシアの声とともに、黒龍の巨体が浮き上がり、瞬時に100メートルどころか数キロメートル以上も空中に浮かび上がる。
「ルーク!!」
「あとは任せて!星に当たらなければこっちのものだから!!」
僕は上空500メートル地点で超巨大な魔法陣を展開し、足場を作った。
高威力の神術は星の地軸にさえ影響を与えかねない。
慎重に、そして確実に......
魔道神ソロモンからもらった神術書に記されていた、新しい神術を発動する準備を整える。
大気の魔力が一瞬にして変質する。
発動前にも関わらず、視界に入る全ての大地から、赤い光が立ち昇り始める。
複雑に重なり合う大小様々な立体の魔法陣が次第に赤く染まり、大気を振動させる。
震える大地と共鳴するように、僕の心も高ぶっていた。
「第29階梯神術、古龍神の咆哮!」
発動の瞬間、赤い光の波動が発生地点から半球状に放射され、まるで巨大な紅い流星が空を切り裂くかのように広がった。
狂化黒龍は断末魔を上げる間もなく、その強大な力の前に完全に消滅した。
「終わった……の?」
「あぁ。黒龍は完全に消滅したが……僕の放った神術が星にどんな影響を与えるかは分からない。けど善処はした。」
前回の原初神の雷槍とは違い、今回の神術は制御から外れることはない。
しかし、それでも惑星周辺の衛星には少なからず影響を与えるだろう。
今回の神術は範囲特化型で、貫通力や飛距離に特化しているわけではない......
しかしその破壊力は圧倒的だった。
「さすがに少し疲れたわ……帰りましょう。」
「早まるなよ。まだこの惑星の調査が残っているだろう?」
「そうだったわね……」
その後、僕たちは惑星をくまなく調査した。
しかし、狂化ウイルスの痕跡は見つからなかった。
キノコ類も正常であり、今回は狂化に至るプロセスが違うようだった。
おそらく、この狂化現象には他の要因が絡んでいるのだろう。
「やっぱり危険でも狂化黒龍を生け捕りにすれば良かったな……」
「同じこと思ったわ……」
そう呟きながら神界へと帰還した。
何かがおかしい......
そんな理由のない漠然とした直観を無視した事を、後から後悔するともしらずに......
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