58話ー⑤ 揺れる界面 (58話最終)
「久しぶりだねぇ。小さき呪縛の子。にしても随分とリスクを負ったな。」
「な......なんで?どうやって......」
「根源の内から干渉したのだよ。」
やっぱり……この老人は只者じゃない。控えめに言って化物......。
正体は不明だが、その力と存在感が只ならぬことは明らかだ。
だが問題はそこではない……何故今、ここで奴が姿を現したのかが重要なのだ。
「どうして……」
「君のことはお気に入りでね?教えに来たのだよ、これからの世界を。」
「……世界?」
「結論から言おう。約三年後に君は死ぬ。」
私が……死ぬ?神界でも有数の再生能力を持ち、無数の逃走ルートを知る私が?
もしかしたら、おにぃよりも逃れる手段を多く準備しているのに?
「......詳しく、よろ。」
「いいだろう、サービスだ。三年後に世界法則がひっくり返る。このまま進めば、君が生き残る可能性は無い。」
ひっくり……返る?あと三年で?
この老人が『ひっくり返る』と表現するほどの変化が、確実に三年以内に起こる?
その恐ろしさに、私の思考は一瞬凍りついた。
「このまま、行けば?」
「今、兄にも内密で進めているシステムと兵器があるだろう?」
「!?」
「それを一年で試験運用の段階まで持っていけ。そうすれば生き残る可能性はある。」
「
「そうだ。」
私は共同開発者と共に、運命や法則に干渉するための技術を開発している。
しかし、これはまだおにぃにも話していないし、実用段階には到底達していない。
これまでのあらゆる文明のどこを探しても、この技術は存在しないだろう......
「……あれが、完成すれば、死なない?」
「五分だなぁ。」
「あれで……五分……」
「輝冠が最終章に進むには、それが必須だ。もちろん必ずしも君に有利に働くとは限らないがな?」
これは、並の新技術や大型破壊兵器などではない。根本的な摂理や概念に干渉できるようにする技術なのだ。
それで五分?一体何が起こるの?そもそも起点となるエネルギーが、今のところニュートリノしか発見できていない......
完成させても、対象に有効かどうかも分からないのだ。
「最終章......?」
「それはそうと、このままでは存在の輪郭を見つけるのは難しい。」
「どうして?封印から、輪郭を感知できるはず……」
「問題はそこではない。感知できたとしても、彼は普通の存在とは異なる在り方をしている。5億年前、ルシア・フェリウスと出会ったことで既にその存在は生まれつつある。」
「生まれる?どういう意味?」
覚醒ならわかるが、「生まれる」という表現には引っかかる。
おにぃとおねぇが並みの存在でないことは知っているが、不気味さを感じずにはいられない。
確かに最近の彼らは普通ではない。成長ペースが異常に速すぎる。
――まるで……生命でない何かに進化しようとしているかのように。
「再構築と再創造、その始まりのフェーズだよ。」
「でも……おにぃとおねぇはこの世界の光なんじゃ……」
「闇は既にその抑止力を失いつつある。世界を再創造するのは光か、それとも悪か。」
「......光、決まってる。」
「......そうか?だが現時点では、悪の方が先の段階にいるがな?」
「知ってる......だから私......」
ゴゴゴゴゴゴゴ......
その時、記憶の世界が轟音と共にガラス細工のように崩れていく。
どうやら封印が完了したらしい。しかし……老人はそこに居続けている。
その光景はあまりにも異質で、私は悪寒さえ感じてしまった。
「ほう。兄の存在の輪郭が見つかったな?ここからはルシアの方を回復させろ。そうすれば兄も回生するだろう。」
「……おじいちゃん、一体、何?」
「誰でもいいさ。だがこれで、二人は上のステージへと進化することだろう。」
「上の……ステージ?」
「……ではな、また道の終わりで会おう。」
「待って……」
老人は煙のように私の前から姿を消した。
私は彼の助言通り、おねぇの回復を手助けするため体内から抜け出しすことにした……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
突如記憶の世界に表れた謎の老人......正体はご察しの通り。
微妙に会話が噛み合っていないが......彼の言う神界の運命とは?
そしてエリーが秘密裏に開発しているZEXシステムとは?
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
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更新は明日の『『20時過ぎ』』です!
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