25話ー➃ プライドを捧げよ!全力ダッシュ!!
そうしてその後、しばらくは買い物や食事などをして観光を楽しんだ。
ルシアはいつも以上にルンルンで観光をしている。
そうして観光をしているうちに、夜になった。
街は街頭の明かりが美しく輝き、幻想的な風景が浮かび上がってくる。
石造りの道や建物が、何とも言えない陰影を作り出す。
都市全体が一つの芸術のように彩られている。
僕らは船の出航前最後の食事でもしようと、小洒落たレストランの野外席で食事をしている。
ルシアは青魚とオリーブオイルのパスタを、僕はペペロンチーノを口に運んでいた。
「いいわね......こういうの、何か憧れてたのよ。」
「綺麗だよね。アルスの夜は。ここは治安もいいし……初代全神王が、神界の建界を宣言したっていう伝承があるんだよ?」
初代全神王が実在すると知ってからは、ただの伝承と片ずける事もできなくなったが......
「そうなの?それは知らなかったわ。初代全神王様もこの景色を見てたのかしらね?」
「見ていたかもしれないね。今生きているかも分からないけれど。」
何せ『全ての頂』とまで称されるほどの存在だ。生きていそうではある。
そもそも生きているという表現が、適切なのかも分からないが......
「私達にもいつか初代様や、その他の方々のように寿命が来るのかしらね。」
「相当先だと思うよ。アファフティア様や他の十神柱の4人もご健在みたいだし。」
実際 4代目全神王様は、残りの5人の十神柱を『退いた』と表現した。
引退したか、何かの戦いで死んでしまったか......
どちらにせよ、寿命が尽きたわけではないと見て取れる。
「でもルーク。私達の死は本物の終わりなのよ。私達には輪廻転生も生まれ変わりもない。本物の......」
「それは核を壊されて死に至る場合もそうだろ?その変わりに僕らは、無尽蔵な寿命と強大な力、可能性が開いた世界を与えられてる。」
事実、この世界に生きる生命の物理法則は他と異なる。
この世界では光速以上で移動しようとも、時間が遡ったりする事もない。
当然エネルギーが無限大になる事もない。
訓練次第で超常的な力も手に入る。
言わば成長上限が、限りなく無いに等しい世界なのだ。
「ルーク?幸せって何だと思う?ルークにとってどんな事が幸せ?」
「僕の幸せか。君と居る事かな。欲を言えばエリーやガリブ、友人を失わずに夢まで叶える。それが幸せかな?」
実際僕はエリーとルシアが居れば、荒廃した世界でも幸福感を感じるだろう。
ただそれが妥協した幸せである事も事実だ。
「私ね......幸せっていうのはね。
『幸せだと感じた今日と、明日の変化が小さい』事だ思うの......欲を言えば、少しだけ明日が幸せだと嬉しい。」
「それは、素敵な考えだな......今日より明日が少しだけ幸せなら、100年後は今よりもっと幸せだろうね。」
「うん!だから守らなきゃって思う......誰か一人でもかけたら......昨日より不幸になってしまうから。」
結局の所、僕らは知性生命体なのだ。
自分の欲求を満たして幸せになろうとする。
たとえ無尽蔵な時間を与えられた、神の如き生物でも......それは変わらない。
生き物の本質は生で、知性体の本質は欲求なのだ。
「ごもっともだね。ルシアはそういうの考えるのが好きだよね。」
「ふと怖くなるの......この日常が壊れてしまわないかって。きっと壊れだしたら早いと思うから......だからルークだけは変わらず傍に......。」
「安心しなよ。僕らは生死も共にするしかないから。」
「それ、だね。ルークの居ない世界で、生きなくていいってだけで気が楽なの......」
あれぇ??何か素直だな......
いつものツンモードはどこへ行ったのやら?
そうしてしばらく話し込んでいるうちに.......
.......魔道船出発の時間になっていた.......
「ルーク......?」
「どうしたの?」
「あと1分で、船の出発時間なのだけど......」
Oh..No.....
「やっべ!全力ダッシュだ!!周りの人をトニックブームに巻き込まないように!!」
「分かったわ!!」
僕らは恥もプライドも捨てた「全力飛翔&ダァァッシュ」で魔道船に駆け込むのであった。
最悪の運命が、刻一刻と近づいているとも知らずに......
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!!
最新第25話をお読みいただきありがとうございます!!
何と第25話では最強の剣をルシアが入手?
そしてよく見ると......物語に不可解な矛盾が発見できます!!
そして待ち受ける『最上位神』との正面対決!!
さらに二人を待ち受ける最悪の運命とは!?
全ての運命が複雑に交差し始める!これからも「輝冠摂理の神生譚」をお見逃しなく!
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