47話ー➂ 『灰達』が創造した人工世界
アウルフィリア様は静かに語り始める......
「先の大戦で地上の国民の9割は魔物に変えられてしまった。破壊された町や居住空間は簡単に修復できたが……残った人々の心はそうはいかん。生き残った者は恐怖に蝕まれていった。」
「そう、でしょうね……」
「そんな中、ヴァラルはいずれ蘇るなどと公表するわけにはいかなかった。結局、私たちは生き残った僅かな国民の記憶を操作した。」
「記憶を……操作?生き残りが少ないとはいえ、そんな膨大な規模で?」
「機密データや技術、それを知る者たちをこちらに移住させ、様々な知性生命を世界から集めつつ、3代目は新たなる神界を地上に建界した。」
雷華様が話せないと言っていた内容は、この記憶改変のことだったのだろう。
しかし、雷華様や2代目の子息が僕たちと同じ地上の天上神界に住んでいるのは、なぜだろう?
聞く限りでは、この「真の天上神界」に事情を知っている者が移住しているはずだ。
だが、雷華様に関しては自宅さえ地上にある。
それにしても……この世界は本当に興味深い。
まさか、こんな形で神秘の一端に触れることになるとは。
僕の身近に、こんな巨大な未知が隠されていたなんて。
ふとルシアが、ある疑問を投げかけた。
「しかし神界では、魔石の採掘で地下を掘ることがあります。こんな地下空間があれば、すぐにバレてしまうのではないでしょうか?一定以上掘削すると、惑星の裏側に出るような仕掛けがあるのですか?観光地にある地下鍾乳洞や軍事基地などはどうやって……」
「結論から言うと、私にも分からない。ここは2代目全神王が建設を指揮し、彼が連れてきた『灰達』が作り上げた世界だ。情報の隠蔽能力は常識を超えている。実際、私もこの場所から出ると記憶に霞がかかる。他の者たちに至っては、おそらくこの場所を思い出すことすら叶わぬだろう。」
そうか……だから出発前、アウルフィリア様は「首都オルティナの近く」と曖昧な表現を使ったのか。
ここはただの記憶改変の次元を超えている。外に出た瞬間、ここの記憶が一時的に失われるのだ。
2代目全神王はそんな大規模な記憶改変を、アウルフィリア様に施せる領域の怪物......
そして、初代全神王が唯一「友人」と呼んだ人物でもある。彼が2代目を任せたことも納得がいく。
「ですが……どうしてここに来たのですか?目的地に直接向かうこともできたはずでは?」
「……ここにはな。一定範囲内のあらゆる世界法則を改変する機構がある。あらゆる干渉を受けない安全なワープ手段にもなる。あの遺跡はこれほど近場にあって幾星霜年も発見できなかったのだ。普通の方法では辿り着けん。幾重にも侵入を拒む仕掛けが施されているだろう。」
……確かにそうだ。地下?にこれだけの技術を隠し持つ神界でさえ、長年見つけられなかった……
なんの仕掛けもなく、たまたま発見できなかったと考えるのは不自然だ。
その時、ルシアが恐る恐る口を開いた。
「……たどり着けないとおっしゃいましたが、アウルフィリア様でも……?」
「……私の力を使えば突破はできる。だが、私の力は破壊力が強すぎる。他の十神柱のように、繊細で小回りの効く力ではないのだ。」
「それは……」
「私は戦闘に特化している。いいかルシアよ。強い事が必ずしも有利だとは限らない。」
「!?」
ルシアは驚いた表情を隠せなかった。
まるで心の奥底を見透かされたかのような、戸惑いがその表情から読み取れる。
彼女は、僕が拷問されたあの日以来、戦闘力に執着するようになった。
僕以上に、何も奪わせない強さを求めているのだろう。
剣殺との一騎打ちで感じていた劣等感も、そこに起因しているのかもしれない。
あくまで僕の推察なのだが……
「心当たりがあるようだな?ルシアよ。強さに固執しすぎた者の末路は大抵悲惨だ。心に留めておけ、さぁ行くぞ。」
「はい……」
ルシアの返事は一瞬遅れた。そして、その顔には少し迷いが浮かんでいた。
それは彼女の迷いや葛藤なのだろうか?それとももっと別の何かなのだろうか......
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どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
二代目は何物にも従いません。初代にも、世界の摂理にすら......
なのでその恩恵?が子供たちにも来ていたりします。
二代目を引き受けたのは実は頼まれたからではなく.......
もし面白い、続きが気になる!と思った方は
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更新は明日の『『20時過ぎ』』です!
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