57話ー② 不可能の代償





「全員自分の身を守れ!!!」



 その叫びと共に視界は眩い閃光に覆われ、僕たちは爆発の中心に飲み込まれた。

 光が収まり、恐る恐る周囲を確認する。



「あれ?私達……無事?」


「く……そ! やられた……」



 結論から言えば、爆発の威力は大したことがなかった。騙されたこれは踏み絵だ......

 ヴァラルが僕の洞察力を試し、僕の思考の核心にまで到達するための餌......。



「随分と大層な慧眼だ。貴様、今代の光か......」


「......」



 終わった......全て、すべて見透かされてしまった。

 僕が隠していた本質、思考の傾向も、偽り続けていた本質的な癖.......全ての動きがここでヴァラルに明らかにされた。

 今この一瞬の行動で、僕が今代の光であるということもバレてしまった。



「まさか僕が......完全に読み負けたのか......」


「ル、ルーク?」



 言葉が出ない。今や僕は、ヴァラルにとって危険分子として認識された……

 こっちは「今代の光」などという意味さえよく分からないままなのに。

 まだ十神柱の実力にも届いていない段階にも関わらず、敵の親玉に目を付けられてしまったのだ。


 そして、倉本とザラームの姿がふいに消えていた。どうやらヴァラルの手で回収されたようだ。



『次なる会合は、変わり果てた空の内となろう。その時はその命、絶つぞ?黄金、そして今代の光。』


「待て!!貴様逃げるつもりか!!」


『今宵の私は貴様の奔流に及ばぬのでな。』



 しかし一つこちらも分かった事がある.......

 ヴァラルがどれほど『今代の光』と呼ばれる存在に警戒しているかだ。

 逆を言えば、僕らはそれだけのものを秘めているのだ。



「逃がすものか!」


『さらばだ。血みどろの奴隷娘よ。愚鈍なる主君を持つ者よ。』


「貴様ぁ!!我が偉大なる主君までも侮辱するか!!!」



 その挑発的な言葉に、アウルフィリア様は激昂し、信じがたいほどの黄金の力を放った。黄金の濁流が宇宙空間を覆い、遥か彼方の宇宙までもを飲み込んでいく。



「マジか......あれでもセーブしてたのかよ......」


「手応えがない……逃がした!私がいるにも関わらず。」


「……」



 本当に、すべてが終わった……世界軸を越え、害厄王四体と戦い......

 同じ日に何度も死線を超え、成長し.......とにかく生にしがみ付いた。



「アウルフィリア様……今回の調査依頼はどうなるのでしょう?」


「……すまない。理外存在との決着を急ぎ、惑星を激しく破壊してしまった。戦闘中に回収したサンプルもあるが、、それが本当に重要かは判断が難しい。あとは絶えず撮っていた記録映像くらいだろう。」


「いえ、それだけあれば十分な成果になり得ます。僕の方でも、いくつかヴァラルに関連のありそうなものは、回収しておきました。」


「私はシステムと、動かしていたコンピューターの構造をスキャンしました。材料が懸念ですが……同じものを再現できると思います。」


「……感謝する。貴殿らを連れてきて良かった。」



 ……待て待て。ルシアがとんでもない成果を上げてるぞ?

 僕回収したの未知の金属片と、同棲植物のサンプルくらいなのだが!?



「とにかく話は後だ。一刻も早く神界に帰還する。」


「「はい!」」



 ――その瞬間、強烈な目眩が襲ってきた。あまりの疲労に、自分が限界を超えたままだったことを忘れていた。

 根源共鳴の持続時間もとっくに終わっている……そして今、気が緩んだことで僕たちはその反動に一気に飲み込まれたのだ。



「!?」


「ルーク……これマズイかも……」



 限界を超えての根源共鳴に加え、瀕死状態で無理を続けた代償……

 全身が痛みに包まれ、意識が遠のいていく。


 限界なんてレベルじゃない……気が抜けて気絶するなんて、アニメあるあるの生易しいものじゃ済まない。


 これは……ほぼ確実に死ぬ……



「しっかりしろ!このような場所で死ぬな。すぐに連れ帰る!ルーク、ルシアよ。たとえ意識を失おうとも、生に食らいつけ!必ず我々が助ける!」


「アウル……フィリ……」



 根源を通して、ルシアが最後の意識で囁いてくる......



【ルーク......愛してる。】


【ルシ......】



 僕たちの意識は暗闇の中へと沈んでいった。

 ルシアとの繋がりを感じられないほどに深く......


 ここで終わるのか......僕たちの物語は......。


 ――これが.....『死』








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★



 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 一件落着......と思いきや。遂に反動が訪れたルークとルシア。

 このまま二人の物語は??


 遂に近づく序盤の終局!!二人の運命は如何に!?


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

 【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


 更新は明日の『『20時過ぎ』』です!



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