12話ー③ どうして......気づけないの?
「なるほど……その可能性はあるかもしれない。それなら確かに夢でもないし現実でもないが矛盾しない。」
私は少しホッとした。
何故だか分からないが、まだ気づかせるわけにはいかない。
何かそんな気がしてならなかった。
「記憶が改変されてるのならエリーちゃんが気づくと思うのよね……気づいたら言うと思うし……」
「確かにそうだね。記憶改変は関係がないのかも。」
実際今回の件と記憶改変に関係がない場合も考えられる。
本当に断片を繋ぎあわせているだけの可能性も......
「それよりも私が気になったのは粒子加速器の話よ。」
「粒子加速器? 僕だってある事を知らない設備はあるだろうし……大きさ的に僕らの収容場所と離れているだろうから知らないのは変ではないよ?」
やはりルークの推察能力は高い。
もしエリーちゃんからこの話を事前に聞いていなかったら、私も今のルークのように疑問を抱いていたに違いない。
「 そうなの? でもおかしな点は他にもあるわ。どうして加速器と聞いた瞬間に、時間という単語が浮かんだのでしょう?」
「確かに!でもさ。知っての通り粒子加速器は時間の分野においても、多大な研究成果があると言」
おかしい……ルークならすぐこの違和感に気づけるはずなのに。
まるで自分で蓋をかけているような、そんな感じがする……
「何かその夢は時間に関連があるんじゃないの?」
「タイムマシンや世界軸移動の機器は、現在の神界の技術でも理論上の代物なんだよ? それに......過去を変えたとしても、何かしらの力が働いて過去改変は不可だしね。」
「そうなのね。なら私の思い違いね。」
どうして……いきなり「過去改変」という単語が出てくるの?
私はただ時間に関連していると言っただけなのに……
それにタイムマシン?世界軸移動?どうしてそこが連想されるの?
そして何より......「過去改変」が不可能だと、どうして断言できるのかしら?
でも分かってきた。
タイムマシンやタイムリープ関連の事柄が、ルークに関わっているんだ。
しかしルークがタイムリープをして、エリーちゃんが死んだ過去を変えたというのも何かしっくりこない......
「話してくれてありがとう。またどうなるか分からないからもう一度ルークは寝てくれないかしら? 夢に陥る経過があるなら見たいの。」
「分かったよ。ありがとう。根源の接続をする時は気をつけてね。おやすみ。」
そうよ......
そもそも生きた状態で、神界に転生させられるなんて事自体が異常だった。
そしてあの時ルークを迎えた神は、時空間を司るアファルティア様……
無関係なはずがない。
私とルークが離れた場所に生まれて会えなかった理由も、もしルークが別の時間軸、世界軸に移動していたのだとすれば説明がつく……
「もう寝たのねルーク。考えることが山積みね……」
:翌朝:
窓から差し込む光を感じた。そろそろ朝なのかな? そう思い僕は起きた。
「くぁぁ。よく寝た気がする。ん?」
ルシアが隣でぐっすり寝ている。今回は特に僕が起きないという事はなかったらしい。
「ルシアも寝てるし仕事するか。今日は講師の日だったな。」
前に少し触れたが僕の本職は大学の戦闘指南講師だ。僕はこう見えても戦術理論の資格をいくつか持っている。
「可愛い学生たちに会ってくるか。」
僕は天上神界最高の高等教育機関、『ゼニスワールドアカデミー』に赴いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます