35話ー② 恐るべきタブー?
「うーん。今回は生きてるね。」
「今……回?」
「うん今回。エリーを起点にかなり因果は曲がってちゃってるね。歪ませちゃったのはルークなんだけどね。ちゃんと代償は背負ってるよ。いつか解き放たれて欲しいね……」
身の毛もよだつような過去の気配に、一気に理性が戻ってきた。
相変わらず膝枕はされたままだが……
「どういう……事ですか……」
「話すと歪みが更に増えちゃうかもだから……本人が思い出してから聞いた方がいいかも?エリーはまず話さないと思うからね。」
「ミリティアさん……そこをどうにか……」
「ママでいいんだけどなぁ……」
「ぅっ……マ、ママ……お願い……」
「じゃー特別ね?歪みが起こらない範囲でだよ?私も昔みたいに世界法則を捻じ曲げたりはもうできないから……」
そしてママは少しだけ話してくれた。おぞましき過去の鱗片を。
「ルークはね。過去軸に戻って何度もやり直してるの。」
「過去……軸?」
過去じゃない……過去軸と言った……
つまり私の立てた過去に戻ってやり直しているという仮説は少し違うようだ。
そして話の趣旨からして回帰を続けた理由は……
「……本当の奇跡が起こったのは最初と最後の2回だけなんだけどね……」
「それはどういう事ですか……」
「本当に時間を移動したのは2回だけ。後は全部、横移動なの。この辺は並行世界の創造理由と、オリジナル軸との時間の関連性を知らないと何ともだよぉ……」
「ママお願い……そこを何とか……」
話が終わってしまいそうな気配がした……
1番知りたい真実が目の前まで来ている気がした。
私は必死にママにワガママを言って訴えた。
「ダメなの。ここが限界なの……これには安寧の象徴、管理者の『
「ぅぅ……分かった。私頑張る……」
「……安寧の象徴って言われる『
「ママ?」
本能的に分かる……私の為に本当は言ってはいけない事を口にしていると。
そもそもの話、恐らくママはずっと眠っていた……私がこの世界に迷い込んだから弱った体を引きずってここに来てくれたんだ。
生命の本能が告げてくる。
母たる生命の起源は今現在、マトモに活動できるような体調ではないと……
それなのにそんなタブーを犯してしまっては……
「……優しい子だね。大丈夫だよ。後で彼に頼むから。」
「心が読めるの?」
「え?ぜーんぜん!お母さんはね。子供の顔みただけで分かっちゃうんだよ?」
「あや?」
しかし……ミリティア様は少し真剣な表情に戻り、話し始めた。
「だけどね……『深淵の主』に関しては今ヴァラルの封印に力の大部分を使ってる。箱庭内……ううん現世に顕現できる状態じゃないの。だからもしどうしてもって言うなら……存在の格を高くして深淵に赴くしかないよ。」
「でも……こんな私が、強くなれるのかな?こんな弱い私が……」
「……なれるよ。大丈夫だよ。ルシアの才能はママが保証する。だからそんな事言っちゃダメだよ。ね?頑張れそ?」
「ぅぅ……頑張る。」
そう言うと、ママは私の頭を撫でてきた。
ルークのとはまた少し違う愛情……これは私の知らなかった母親の愛情だ。
一切の見返りを求めず、一切の打算も欲求もなく、ただ太陽のように降り注ぐ無限の愛。
撫でられている所から、全身に安堵感と温もりが駆け巡る。
「うん……偉い子。とっても強い子だね。」
「ぅぅぅぅ。」
擦り寄って甘えることしかできなかった。
元々私は甘えん坊なのかもしれない……
このまましばらくここに居たい……精神を休めたい……彼の為にも少しでも心のトラウマを克服したい……
しかし……そんな考えが吹き飛ぶほどの事が起こる。それはこれまでの人生で最大の衝撃だ。
太陽の色が変わった。
「え……」
これまでにないほどに、心の底から漏れた声……もはやその存在には恐怖を抱く余地さえないほどの未知。
私は無意識の内に必死に母にしがみついていた。
するとママ……ミリティアさんが『母の愛』とはまた違った愛を孕んだ声で語りかけた。
「あ。おかえり〜。2054年の地球はどうだった?」
そう、私はその日……
……初めて頂きを仰ぎ見た……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
35話ー②をここまで読んでくださりありがとうございます!
少しずつ紐解かれるエリーとルークの真実。
そして『生命の母ミリティア』の衰弱とヴァラルの関連性は?
そしてついに彼女は……遥かなる頂きを仰ぎ見る。
もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!
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更新は明日の『『22時過ぎ』』です!
明日も更新できるか分かりません可能な限り更新します!
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