30話ー➁ 箱庭の主と灰の神
「このエネルギー......まさか父上が言っていた......輝源エーテル!?」
「戦闘中に他所事?随分余裕だな!!『滅光八連星』」
輝源エーテル?正式名称か?
これまで文献に記述が見つからなかったから便宜上『光子エーテル』と呼んでいたが......
これは嬉しい収穫だ.....名前が分かれば調べやすくなる......
しかし......考える間もなく、鳴神剣聖は超高速の斬撃で切り返す。
「漆黒九雷!!」
「新技だったんだけどなぁ!あっさり打ち返すな。なら宣言通り.....真っ向勝負だ!!」
鳴神聖は放電しつつ、雷で丸い形の足場を作り空中を自在に駆け巡る。
一方僕は、背中から生えている木根のような翼を、ひし形に変形させた。
そして光子エーテルを放出しながら、莫大な推進力を生み出す。
星々が煌めく美しい宇宙空間を、超高速で駆け巡る。
『光の剣』と『黒雷の剣』が打ち合うその様は、大宇宙に不気味な幾何学模様を描き出す。
遠方から見ればもはや戦いではなく、奇怪な自然現象に見えるだろう。
「最上位神でも『最速』と言われる、私の速度についてくるなんて……」
「光が雷に速度負けする理由なんてない!千尽撃光!!」
僕は一息に千の太刀を浴びせた。その一撃一撃が100m近くにまで伸ばした光の剣。
本来ならば、超切断と超高速の不可避の斬撃だ。
しかし......今回の相手は鳴神剣聖なのだ。
「黒雷・要塞剣式。」
師匠が使っていた剣術の中に『要塞』というものがあった。
これは先生曰く弱点も存在するらしいが、鉄壁の防御剣術として広く神界でも知られている。
そしてその鉄壁の防御剣術を、鳴神聖は纏術の状態で放った。
防御されて当然といえば当然なのだが……
剣術と雷系統の付与魔術のみなのに、対応力と引き出しの量が異様に多い。
正直まったく押し切れる気配がない......
それどころか......
こちらの方が少し押され始めている。
「なるほど焦っているのは、時間制限か何かがある為ってこと?」
「さぁね。あなたこそ時間制限があるのでは?」
鳴神剣聖の魔力量は少ない......
黒雷を纏ってから増えている気配もない。
これだけ放電を続けたら、持って十数分だろう。
しかし鳴神聖は撃ち合いながら、通信神術で返答してきた。
通信神術を使うという事......つまり聞かれたくない話なのだろう。
「ないわ。十数分しかこの状態を保てない神が、『最上位神4位』になれると思う?三女の私は自分の次女や、『無魔剣王』さえも超えてこの順位にいるの。」
「……」
時間制限が......ない?
それは絶望的な追加情報だった。
ただでさえ若干劣勢気味にも関わらず、長期戦をすれば敗北が確定するからだ。
そうして通信魔法で、鳴神剣聖は再び話し始めた。
戦いつつ話すほどの余裕がまだ彼女にはあるのだ。
「三女の私はね。一家の中で最も才能がなかったの。少ない魔力量、剣才も魔法的才覚も、運動能力さえなかった。」
「……信じ、られないな。」
僕にとって激しい撃ち合いをしながら返せる言葉は、これが限界だった。
「魔力的才覚に溢れた次女。圧倒的かつ暴力的なまでの身体能力を持つ弟。万手先まで見通す異常な頭脳を持つ兄。世界最強の呪術師『呪いの申し子』とまで歌われた姉。箱庭の創造主にして無敵の母.....黄金律さえ超越した父。そんな家に生まれた出来損ないが......私だった。」
「箱庭の......創造主!?」
「私は敬愛する父の指導のおかげで、ここまで来たの。兄弟の中で私が一番熱心に指導を受けた。」
「敬愛する父?」
「あなた達で知る名前で言うと灰の神......いえ、『2代目全神王』よ。」
「は!?」
おおよそ戦闘中に聞くような事ではない衝撃的な内容......
僕は不意にも動揺してしまった......
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
30話ー②をここまで読んでいただきありがとうございます!
『卓越した剣術』と『黒雷』だけで主人公と渡り合う鳴神剣神……
それどころか通信神術で話す余裕さえ!?
そして戦闘中に明かされる衝撃の真実?
鳴神剣聖との決着はいかに!?
もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!
何かあればお気軽にコメントを!
次回の更新は明日の『『22時過ぎ』』です!
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