42話ー➂ 概念存在、何かヤバそう......






「この作戦は機密情報よ?私も母上から教えて貰っただけで、本来なら知りえないはずの話。だから絶対に他言無用。こちらで我が家の記憶保護術もかけさせてもらう。それでもいい?」


「はい。」


「私も問題ありません。」



 記憶を覗く技能や、魔法は多数存在する。

 その為の対策は必須だが、僕らの使用できる『隠蔽』のレベルでは不完全だ。



「ヴァラルが何度滅しても、この世に悪意がある限り、蘇る話は知ってるわね?」


「「はい。」」



 何度聞いてもとんでもない特性だ。



「これまでも天上神界は何度もヴァラルと戦ってきた。でもねヴァラルと戦えていたのは天上神界の力じゃないの。」


「やはりそうなのですね......」


「え?」



 これまで読み解いた内容から思っていた.......

 これまで神界が存続できたのは『文明の総力』ではなく『強大な個』が要因ではないかと......



「主に初代や父上、そして管理者の方々のおかげ。そして決戦前から父上は退位……いえ、この世から消える事を決めていた。これで分かる?」


「……つまり初代が既に抜けている状態で、2代目まで退位してしまえば......ヴァラルから神界を守るのは困難となる。」



 つまりこれまで保たれていた、パワーバランスが壊れてしまうのだ。

 結果的に当時の神界の予想は当たった。現在の神界は以前より衰えているからだ。



「一応管理者もいる。不可能とは言わない。ただ勝てる見込みは大幅に下がるわ。だから当時の管理者達はある作戦を立てた。」


「......」


「消滅させても蘇るなら.......消滅をさせずに封印すればいいと。でも.......」


「……何か不足の事態が起こったのですね。」


「ルーク……どういう事?」



 流石に『国民の全て』は、作戦として切り捨てるには規模が大きすぎる。

 これは戦争が、当初望んだ形と違う形で終わったことを意味するのだ。



「元々の計画では......管理者達がその総力で封印する施す間、十神柱とその他の強者で神界の防衛する予定だった。不測の事態は二つ。封印に予想外の時間がかかった事......そしてヴァラルが最上位の概念存在を従えて、狂化ウイルスをばら蒔いた事よ。」


「概念存在……僕達には馴染みのない言葉です……」



 度々その名を耳にする。しかし実感もイメージさえ掴めない。

 恐らくこれまで戦ってきた相手とは別種の何かだろう。



「……概念存在は強くなればいつか必ずぶち当たる相手よ。その時に知る。『生命体』では決して超えられない壁を。」


「生命では……超えられない壁……」



 何せ相手は概念だ。

 物理的な肉体は愚か、世の中の法則自体が通用しない可能性も高い。



 2人で少し落ち込んだ。

 するとテラリス様が横から口を挟んできた。



「そんなに気を落とさない落とさない!実際超えてしまった人だっているから!前例はちゃんとある。だから不可能じゃない……はず!」


「……事実、父上や母上、姉上は概念存在の強さを凌ぐわ。でも3人とも生命体とは呼べない『何か』になってる。生命体が概念存在を滅した前例もあるにはあるけど......その中で参考にできるものは、無い。」



 概念存在を超える。

 つまりヴァラルに『勝つ』には生命を超越する必要がある。



「僕は、僕はつい一年前まで......十神柱が強さの最高峰だと考えていました。初代や2代目に至っては架空の存在だと。」


「ルーク……」


「でもある日、頂きの遠さを感じてしまった……愚かですよね?大して強くもない癖に実力を隠して……僕はヴァラルはおろか部下とも渡り合えない。」



 弱い……僕達は圧倒的に実力が足りない。

 頂きを知ったにも関わらず、それがどれだけの高みなのか......


 どれだけの領域なのか想像する事さえできない。



「それはあなた達が強くなった証拠よ。」


「え?」



 その言葉に思わず驚きの声が漏れた。


「……頂きはね。知れば知るほど離れていく。強くなるほど、理解するほど遠くなる。だからその感覚に縛られれば足をすくわれる。気を付けて?」


「はい……」



 僕らより高みに至った女神様の言葉だ。

 何か思うことがあったのだろう。



「私はいつも思うの。あの二人の娘なのに何故こんなに弱いのかって......私は幼いころからずっと劣等感に苛まれていた。だからあなた達が思うほど凄い女神じゃない。『頂に最も近い父』を幼いころから知っていた故に、いつも自分の弱さを呪って生きてる......」



 そういうとテラリス様も、うんうんと俯いている。

 どうやらテラリス様も心当たりがあるようで、その目はどこか悲しそうだった。


 しかしそれでも2人とも打ちのめされた目はしていない。

 諦めた目はしていない。この2人は実力だけでなく、精神も強いのだろう。



「それと。一つ頼まれてくれない?」


「な……何でしょうか?」


「お父様を探して欲しいの。」



 そう言った雷華様の瞳には......寂しさと不安さが垣間見えた。








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 鳴神剣聖はファザ、マザ、ブラコン(一番上の姉に)の全ての性癖を保有している変態です。

 恋愛対象ではありませんが......2重人格かと思うほどに性格が激変したり......

 

 ......基本的に二代目のファミリーは『一番上の姉』以外は全員ぶっ飛んでます!!


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

 【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!


 .

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る