37話ー② 『固有能力』





「固有能力!!破魔の波!!」


「やっぱり使ってきたか。」



 ガリブは『固有能力』を複数持っている。

 その内の一つがこの【破魔】だ。


 固有能力の『【破魔】の波』は、一日の回数制限こそあるものの、半径10mの間にある任意の魔力攻撃を全てを消し去ることができる。


 他にも破魔の剣や破魔の鎧、破魔の咆哮など、ガリブは魔力に大して絶大な優位性を誇る固有能力を持っているのだ。


 ちなみに破魔の剣や鎧は40秒しか持たない。



「でもそれは当然、想定済みだガリブ。第25位階神術 天貫通。」


「マジか!そう来るかよ!」



 僕はガリブ取り囲むように天貫通を待機させている。合図でいつでも発射できるのだ。


 まだ破魔の固有能力は残ってはいるが、天貫通はあの『鳴神剣聖』が回避ではなく、咄嗟とはいえ防御するほどの高速術式だ。


 破魔の発動より早く、ガリブを仕留められるだろう。



「降参でいいかな?」


「あぁ。降参だ。降参!今回は勝てると思ってたんだけどよ。全く。」



 実際ガリブも凄まじいペースで強くなっていた。想定以上の動きをされた為に、神術を使わざるおえなかったのだ。


 そうして仮想空間を解除すると、先に訓練を終えたルシアとエリー、ベレスが食事の準備をして待っていた。



「ルーク。そろそろ終わるわ。みんなで食事にしましょう。」


「ありがとう助かるよ。食べるって大切だからね。」



 するとガリブとベレスが割り込んできた。



「そうか?食わなくても死なねぇだろ?」


「うちらは酒が飲めりゃ何でもいいよな?」



 ガリブとベレスの二人はうんうんとお互い頷き合っている。

 まぁ君達と同じ知能指数の原人は……神界にはそうそういないだろうしね。


 そんな光景を横目に僕は、屋外に置いたテーブルについた。

 青空が美しく、雲一つない晴天。風も強くないため正に食事日和だ。



「おねぇ。食べさせて。」


「自分で食べなさい。私はお母さんじゃないわ。」



 エリーはそれならという顔でこちらを見てくる。そして物欲しそうに告げてくる。



「じゃーおにぃ!おにぃ、食べさせて。昔……みたいに……」


「嫌だね。食べれなさそうだし貰っちゃうね。」



 そう言って僕はエリーの前に置いてある分厚いベーコンと、溢れ出そうな程のチーズが挟まったバケットを取り上げる。


 するとエリーはムッとした顔で……



「やだ。食べる。あげない。」



 エリーは奪ったバケットをサッと自分の前に取り戻し、急いで食べ始めた。

 その姿を見ていると子猫に餌やりをしているような気分になる。



「食い意地の強い奴だな。最初から自分で食べろよ。」


「その変わり、ギューする。」


「はいはい。」



 すると隣静かに食べていたルシアが食いついてきた。



「ちょ……エリーちゃん?それは……ね?」


「……おねぇなーに?」


「ルークは一応男だし……その……いくら妹とはいえベタベタし過ぎるのはその……倫理的に、ね?」



 何だこの状況……くっっそ楽しいのだが! ※主人公です。



「おにぃ。嫌?」


「いや全く?全然問題ない。」


「いやその……ルーク?そうじゃなくてね?そうではなくてね?一応あなたは……ね?私の……」



 エリーはルシアの複雑な心境をあまり理解していない……なんて事は当然ない!!

 腐っても僕の妹!こいつは分かって兄である僕に結託を持ち掛けている。



「おにぃギュー。あとナデナデも。」


「ほいほい。」


「ちょ!エリーちゃん!?私が!私が全部やってあげる!だからね?こっちにおいで!!」


「やだ。おにぃがいい。あと言いたい事、不明。ハッキリ求む。無いならこのまま頬っぺにチュー」


「ルシア。仮にも義理の妹だ。何か言いたい事があるならハッキリ言った方がいい。チノツナガリナイケド…」



 僕はウッキウキでエリーと結託し、ルシアを追い詰める。

 ルシアは心をめちゃくちゃにされてプルプル震えている……うん最高だ。



「ル、ルークは私のなの……」


「うん。おねぇそれで?」


「あんまりベタベタされると……その……モヤモヤする……」



 何だこの可愛い生物。生物学の教科書に載せるべきだろ?

 にしても究極的な恥ずかしがり屋のルシアをここまでデレさせるなんて……流石は我が妹だ。



「おにぃ。録画完了。」


「エリーナ〜イス!ハイタッチ!」


「うぃっ。タッチ。」



 ルシアは全てを察したのか顔を真っ赤にしやがら、小刻みに痙攣をしている。そして……



「ぅぅぅぅ……嵌められたぁぁぁ!!」



 ここだけ見れば平穏そのものだろう。

 しかし隣には……騒音を撒き散らしながらガブガブと酒を飲む、脳筋アル中共がいる。


 平穏の欠片も感じない程に、暑苦しくうるさい。もはや歩く公害だ。



「っしゃー!!酒酒酒酒!!!これ無えとやってらんねぇぜ!!!」


「おいガリブ!!ウチらの金じゃねぇんだぜ!飲み貯めしとくっしょ!!3ヶ月分くらいな!」


「あたぼうよ!!ハハハハハ!!!」



 この2人の周りだけ空気感が違う。

 訓練よりも酒を目当てにこの場に来たのが見え見えだ。


 一体1ヶ月後いくら酒代で溶かすつもりだ?

 考えるだけで身震いがする。



「あ、おにぃ。パンおかわり。」


「……おいお前幾つ食った?早すぎだろ。テーブルに残ってないじゃん。ルシア?バケットってまだある?」


「あ、ある。山ほど……沢山買った。」


「神対応……神だけに。」


「ぅぅ、突っ込む余力がない……」



 どうやら問題児達よりも、嫁の準備の方が上のようだ。


 しかし……気を抜きすぎる訳にもいかない。

 何せ午後はルシアとの戦闘訓練が待っているのだから……







☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


どうもこんにちわ。G.なぎさです!

37話ー②をここまで読んでくださりありがとうございます!


破魔の発動より早く、神術をぶつければいい!

脳筋脳筋とバカにしている癖に、何だかんだルークも脳筋戦法使いましたね!

そして妹との連携プレイが鮮やか??


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!

明日も更新できるか分かりません可能な限り更新します!


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