41話ー➂(最終) 神滅の劫炎






「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!『七重閃光遮断壁』」



剣殺の斬撃が僕たちの防御に触れようとした、その瞬間――



「紅蓮の劫火!!」



赤髪でツインテールを揺らす女神が、突然戦場に割って入ってきた。



「あーー!!もう!!バイド!!あんた、めちゃくちゃよ!!って、威力高ぁ!? 押し負けてるんだけど!?」



彼女は剣に紅蓮の炎をまとわせ、剣殺の攻撃を受け止めていた。

押し負けているとはいえ桁外れの威力だ。


彼女の炎は惑星をも焼き尽くし、周囲の空間さえも蒸発させるほどの威力を持っていた。

それでも私たちが無事でいられるのは、根源共鳴の力とルークの防御のおかげだろう。



「このぉバカ弟!!!重ねちゃうからね!!死ぬんじゃないわよ!!」



彼女は叫び、さらに魔力を膨れ上がらせた。

その圧倒的な魔力の放出量は、通常の私の魔力量の十倍近くにも及んでいる。


一度にこれだけの魔力を放出できるのは、彼女の圧倒的な力量を物語っていた。



「神滅劫炎!!!」



膨大な魔力が剣に集中し、燃え盛る炎へと変わっていく。

剣殺の斬撃と彼女の炎は、衝突寸前で互いに弾きあい、激しい衝撃波を巻き起こした。


次第に彼女の力が勝り、剣殺を押し返していく。

そして、その圧力に耐えきれず、バトルフィールドと呼ばれる空間が歪み始めた。



「はは……気まずいなぁ。兄弟なのか、あの人と……」


「??」



ルークの発言は少し引っかかったが、私は彼の無事な姿を見て胸を撫でおろした。





――――


壮絶な魔力の押し合いは、赤髪の少女が制し、バトルフィールドは完全に崩壊した。

剣殺の攻撃は消え去ったが、赤髪の少女の炎はまだ燃え盛っていた。


このまま地上に落ちれば、神界の頑強な地面や建物も無事では済まないだろう。



「こういう時は、上に放出するって相場が決まってんのよ!!」



彼女は叫び、余った炎を天高く放った。

その威力は凄まじく、どこまで突き進むのか予測もつかない。


しかし、ふと目をやると、赤髪の彼女の姿が見当たらなかった。



「!?あれルーク……赤髪の方はどこ?」


「……足場の魔法を貼り忘れたんだね……地面にめり込んでいったよ。」



見ると、直径6メートルほどの巨大な穴の中から、赤髪の少女が這い出てきた。



「あー!!もう!また足場強化し忘れたぁぁ。服がドロドロじゃないの!」


「剣殺様は助けなくてよろしいのでしょうか?」


「んー?大丈夫よ。バトルフィールドでのダメージは現実に反映されないし?残るのは傷の痛みと意識の途絶だけ。まっ!バトルフィールドが壊れた後に食らった攻撃は知らないけどね。結構持ちこたえてたし?上手く相殺できたんじゃない?」



確かに、剣殺は無傷だった。

意識は失っているものの、体には何の傷も残っていない。


つまり、剣殺は最初から僕たちを本気で殺すつもりはなかったのだ。

すると、背後から聞き覚えのある声が響いてきた。



「お姉様?さっき上空に放った技の範囲、軌道上に何があるか確認しましたかぁ?」



何を隠そう鳴神剣聖・雷華様の声だ。



「ウグッ、雷華ぁ。細かい事はいいじゃない!貴方のお客人助けたんだから。ね?ね?」


「細かい?私が軌道を曲げたんですが?でなければ、生命のいる星が一つが滅んでいましたよ? 足場も張らず、威力を殺すための結界も作らず?ただ上にぶっぱなすなんて?お姉様はやはりお頭が悪いようで?」



姉妹であることに驚いたが……どうやら力関係は血縁とは逆のようだ。


僕の方は......久々に本物の殺意を抱いたためか、体中の細胞がまだざわめいている。

そして、雷華様が赤髪の彼女に説教をしている。まさか、この二人が姉妹だったとは……


赤髪の彼女が、突然僕に話を振ってきた。



「ルーク先生も私が悪くないと思うわよね?そうよね!!」



この赤髪の女神様は、最上位神序列6位 魔剣神テラリス様だ。

そして何を隠そう、僕の講義に毎回出席してくれるステアの実母である。


片思い相手の母親に会うなんて......気まずすぎんだろ!?誰か助けてくれ!!!



「はぁ……とりあえず今回は、私のお客人を助けてくれたということでお姉様を見逃します。バイドは起きたら覚えてなさい。」


「ふぅ。助かったぁ。バイドはどんまい。自業自得だわ。」



雷華様は2代目全神王の娘だ。

つまり、この三人は全員が2代目全神王の子供たちということになる。


こんなにも2代目に関連する方々が神界にいるのに、僕は最近までその存在を疑っていたのだ。

これは相当根が深いぞ……今日、雷華様から聞けるといいのだが。



「二人とも本当にすみません……埋め合わせはまたさせますわ。とりあえず、私の拠点まで案内しますから、ついてきて。」


「あはは……お構いなく。」


「私もルークも、良い経験をさせていただき感謝しているくらいです。」



ん?拠点?家ではなくて? そう思ったが、今は黙って彼女についていくことにした。

何故か剣殺バイドを担いで、ワクワクした顔で魔剣神もついてきているが……


これは本当に大丈夫なのだろうか……








☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 41話ー③(最終)をここまで読んでくださりありがとうございます!


 圧倒的に思われた剣殺の攻撃を押し返したのは、まさかステアの母親!?

 そして剣殺、鳴神剣聖、テラリスがまさかの兄妹!?


 次回は神界の謎の核心に迫る第42話!!是非ご覧ください!!



 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!





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