50話ー➃ 『輝光天縛』






 意思疎通をしている間も、ルシアは脳が焼き切れそうなほどの負荷を掛けながら、集中砲火を続けている。

 毒、貫通攻撃、融解、魔力封じ、拘束、再生阻害、幻覚、爆破――

 彼女は思いつく限りの効果を付与し、ザラームを徹底的に追い詰めていた。



「ルシア、全ての攻撃をやめて、全力で結界を展開して。」


「うん、分かった!」



 ルシアが攻撃をやめた刹那、闇の波動が球状に放出された。

 恐らく、ガリブの固有能力に似た、魔法を無効化する手段だろう。だが、根源共鳴状態での僕たちの攻撃は、魔力ではない。


 魔法創造グラディスという名前を持つが、実際には光のエネルギーを変質させ、魔法のように見せているだけだ。

 そのため、タイミングが少しでもズレれば、ルシアの攻撃手段が実は魔法ではないことがザラームにバレてしまう。

 ヴァラルに報告するであろう相手には、誤解させたままの方が都合がいい。



「ルシア!前方の結界は形だけでいい!下後方に防御力を全て集中させて!絶対に攻撃を通すな!」


「命にかえても!」



 斜め下後方から、闇を纏ったザラームが猛然と攻撃を仕掛けてきた。球状の結界ではとても防ぎ切れるものではない。

 ルシアは局所的に防御を固め、何とか結界を維持していたが、既にその結界は崩壊寸前だ。



「よし......」


「ルーク……結界がもう……」


「ありがとう!おかげで、決定的な一撃を叩き込める!」



 失敗すれば、僕たち二人とも闇に飲み込まれて消える。

 成功すれば、目の前の闇を払うことができるかもしれない。



「僕が合図したら、結界を解除!連携奥義だ。片方がヘマしたら......即死だ!」


「今更よ!さっきからやってること全部そうだし!」



 さっきからやっている事は、命を懸けた鬼畜難易度の綱渡りだ。ほんの一瞬のミスでも即終わりを迎えるデスゲーム。

 僕がいなければ既に死んでいた。隣に立つのがルシア以外だったら、僕も同じく死んでいる。



「小賢しい真似を!これで終わりだぁぁ!!」



 ボロボロのザラーム。まるでゾンビのような姿だが、その圧倒的な戦闘力は衰えても未だ脅威だ。



「ルシア、今だ!!!」



 ルシアの集中力は極限状態だ。恐らくルシアは自分の特性の凄まじさに気づいていない。ルシアは僕とは真逆の超一点集中型だ。

 一つのことに集中さえすれば、どんな危うい賭けでも、どんな困難な要求でも、一切のミスなく完璧に遂行する。


 だから、僕がやるべきことは1つ――彼女が一点集中できる環境を整える!



「共鳴奥義!!」



 ルシアは、僕の想定をはるかに上回る力で、ザラームを完全に拘束した。

 光の柱が彼を縛り上げ、感覚を麻痺させ、視覚と思考さえ奪う。彼女はこの瞬間、劇的に成長を遂げたのだ。


 ならば、僕も応えなければならない!ルシアが共鳴感覚の中で叫ぶ声が聞こえ、僕も言葉を合わせる。



「輝光!!」


「天縛!!」



 眩い光の柱と十字の閃光がザラームの全身を包み込む。

 ザラームは何も感知できていない。最速の瞬光だ。



「グァァァァァァァ!!」



 到達した!命を取れる段階に!やっとザラームのコアを損傷させた。

 しかし、そのコア周りの肉体は尋常ではない速度で再生を始めている。再生速度だけでいえば、エリーに匹敵するほどだ。



「今度は……僕の番だ!!」



 ルシアは自分の限界を打ち破ってまでザラームを完封してくれた。

 ならば、今度は僕が自分の限界を超え、ルシアに応える番だ。複雑な思考は不要だ。ただ速く、ただ強く!



「ハァァァァァァ!!!!」



 空中に無数の足場を作り、実像分身を大量に構築する。

 そして、足場を跳躍しながら実像分身と共に、超光速の連撃をザラームに叩き込んだ。



「雑魚...が!叩き...潰し、てや...る!!」


「やれるなら、やってみろ!!」



 第二ラウンドの開幕だ!








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 これまでとは比較にならない速度で、強くなるルークとルシア。

 お互いがお互いを高め合い、より高いステージへ。


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

 【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


 更新は明日の『『20時過ぎ』』です!



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