第百二十二話 声、決意

スタッ、スタッ、スタッ。

戦いを終えたスノウ達はエーリュズニルに戻った。


「おお!ホープの皆さん!大丈夫でしたか!?」

「はい!セラ達は問題なしです!町の方も平気でしたか?」

「ええ、おかげさまで助かりました。報告に来た門番より、特殊なモンスターと聞きましたが……。」

「はい、私たちも初めて会うモンスターでした。リーさん、町長はいつお戻りでしょうか?」


ヒメノが問いかける。


「そうですね、多分明日には戻るかと。ノーアトューンに向かったはずなので。」

「ノーアトューン!?あたし達が行こうとしてる村だ!」

「そうなんですか?であれば、情報も聞けると思いますし明日までお待ちいただくのが良いかと。」

「そうさせて頂きます、そうしたら先ほど教えてもらった宿お借りしますね。」


スタッ、スタッ、スタッ。

ホープは宿に向かう。


「では、こちらがお部屋になります。二人部屋三つですので、鍵はこちらで。」

「ありがとうございます。」


カチャッ。

ヒメノが鍵を持ってくる。



「どう分ける?」

「いつも通り、兄さんとセドリックさん、私とユキナちゃん、リサさんとセラさんでどうですか?」

「あ、ねえねえ!セラさ、今日はお兄と同じ部屋がいいんだけどいいかな?」

「え!?」


ガタッ。

セラ以外の女子が目を見開く。


「俺は構わねえよ。セドリック、リサと同じ部屋でいいか?」

「あ、ああ。リサくんが嫌でなければ。」

「あたしは全然いいけど、急にセラチンどうしたの?」

「んー、ちょっとね!……あれれ?双子が同じ部屋に寝るだけだけど、みんな気になっちゃう?」


セラがイタズラ顔でからかう。


ザワザワザワッ。

少しざわつくが、問題はなく各部屋に分かれた。



「はぁー、疲れた。」


バサッ!

セラがベッドに飛び込む。


「本当だな、これまで戦い続きだったし、久しぶりにゆっくりできそうだ。」


ドスッ。

スノウもベッドに腰掛ける。


「んで、何かあったのか?」

「えー、なんで?セラが理由もなしにお兄と同じ部屋じゃだめ?」

「意味もなくこんなことするやつじゃねえだろ、俺の妹は。」

「あはは、まあそうだね。」


ザバッ。

セラは起き上がり、スノウと対面に座る。



「お兄には回りくどい言い方しても伝わんないと思うから、単刀直入に言うね。」

「ちょっと喧嘩売られた気がするけど聞くぜ。」


シーンッ。

異様なまでに二人の間の空気が冷たくなる。


「さっきのモンスターから?」

「っ……。」



スノウの目つきが鋭くなる。



「ああ、聞こえたよ。初めに戦った二体のモンスターよりも鮮明にな。」

「やっぱりね、セラにも聞こえたんだ。彼の悲鳴が……。」

「なあ、セラ。それってーー。」

「ちょっと待って!答え合わせしようよ。お互い同時に言ってさ、嘘じゃないって証明するために。」


ジーッ。

二人は見つめ合う。


「分かった、いいか?」

「うん、いいよ。」


少し間を空けたあと、


。」

「っ!?」

「ちっ……」


二人は驚きのあまり、目を逸らす。



同じ言葉が二人の口から生まれたのだ。

一言一句間違いなく、同じタイミングで。



「やっぱり、気のせいじゃなかったんだ。あのモンスターから聞こえた声は、セラに聞こえた空耳じゃなかった。」

「俺たちの第六感のせいかは分かんねえけど、すごい苦しそうな声だった。最初の二体で感じた違和感とは違う、心からの叫びだ。」

「お兄はどう考える?あのモンスターが自然発生した存在だと思う?」

「いいや、それは考えずらいだろ。あんな特殊な形態に魔法の複数使用、人為的に作られたモンスターって考えるのがしっくりくる。」


二人の会話はとても静かに広げられる。

その声には、深い怒りが。



「こんな芸当ができるのは限られてくるよね。」

「だろうな。……ほぼ100%オーディンとバルドルの仕業だろうな。」



スノウ達が以前に会った、操られていたトロルもオーディンの力を借り受けてるフレイの仕業であった。


人為的に作られたオーク、ゴブリン、それを経験してるスノウ達には考えやすいものであった。


サーッ。

風がないはずの室内のカーテンを、何かが揺らす。


「ちょっとお兄、そのオーラはどうにか消さないとだめだよ。」

「はは、セラがいうか?でも、まあ、俺たちもまだまだガキってことだな。」


ギリリッ。

スノウの歯には顔が震えるほどの力が。

セラの手にはベッドを壊さんばかりの力が入る。



そして、彼らの目にはあるものが宿る。








「後でみんなにも話すつもりだけど、お兄、次あいつらに会ったら。」

「ああ、聞くまでもねえ。やってやるよ、一生の後悔として残るくらいにはな。」



スーッ。

二人は拳を前に突き出す。



そして、二人の口から出た言葉。



。」



二人の決意が証明された瞬間だった。



第十九章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第十九章まで読んで頂きありがとうございました。


ホープ達の前に新たな疑問と敵が立ちはだかりました。そして、クレイトスが意味ありげに残した一つの地図。それには何が書かれているのか?

新種のモンスターはいったいどうして生まれた?


スノウ達の今後を気になってくれる方!

これからも厨二病な戦いは続くよ! クレイトスの地図には何が?

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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