最強の俺たちが国王に記憶を消されたので、どんな手を使ってでも成り上がってやる件

第九十二話 力の証明、次の地へ

「グハッ！」

フレイは顎に重いサマーソルトを受け、数m吹き飛ばされる。

バリッバリッバリッ！　バサッ。

荊で作った網で、吹き飛ぶ自分を支える。

「な、なに？何も見えなかったーー。」

「面白い話ですね。私には、あなたが敢えて動かないように見えましたよ。」

「っ！？」

バサッ！

フレイの背後にヒメノが降り立っていた。

「なんで！？賢神中式ーー。」

「鷹派五式改（オウハゴシキカイ）！　剛翼撃（ゴウヨクゲキ）！」

ブオンッ！ブオンッ！

2mはあるだろう、二発の斬撃がフレイに迫る。

「くそっ、間に合わな……」

ドガンッ！

ザザッー！

斬撃により吹き飛ばされる。

「えほっ、えほっ。なんなの、この力は。」

「あなたには理解できないでしょうね。お互いを知ることが、この力の源。周りの命を道具としか思わないあなたには、一生ね！！」

「くっ！ふざけるな！　賢神初式（ケンジンショシキ）！　荊の舞（イバラノマイ）！」

シュンッ！シュンッ！シュンッ！

無数の荊がヒメノに突撃する。

「本当に、理解できないんですね。あなたに、私は倒せない！　紫鷹上式（シオウジョウシキ）！　火炎烈風脚（カエンレップウキャク）！」

ヒューンッ！！　ヒューンッ！！

ゴォォー！！

風の竜巻と火の竜巻が重なり合い、荊を巻き込みながらフレイに迫る。

バギーンッ！

「ぐうぅ！この程度で、私を倒せるなどとーー。」

「勝手に私の力を決めつけないで。」

ヒューンッ！！　ヒューンッ！！　ヒューンッ！！　ヒューンッ！！

続けて、風の竜巻と火の竜巻を複数放つ。

それは、さらにフレイを襲い大きな一つの竜巻となる。

ブオーッ！！

「くうっ！私が、人間一人に……。」

「私は、一人じゃない。大切な仲間が、相棒がいる！」

ヒューンッ！！　ヒューンッ！！

さらに追加の竜巻が襲う。

「くっ！人間のくせに！！忘れない、あなたにされたこと！あなたの名前を！ヒメノ・ミコト！」

「覚える必要もないわ。フレイ、あなたはここで消し飛びなさい！」

「くそっ！」

バフンッ！　ボワーッ！

フレイはどこからか闇の空間を発動させ、その中に消えていく。

「逃してしまった。……けど、私もあなたを忘れないわ。賢神、フレイ。」

シューンッ。

ヒメノから紫のオーラが消えていく。

「共鳴突破（クロスドライブ）　停止（オフ）。」

風が弱まり、フレイはビフレストから逃げ去った。

「ヒメノ！大丈夫か！」

ダッ、ダッ、ダッ。

スノウ達五人がヒメノに走り寄る。

「はい、なんとか平気です。ですが、あの五神を倒すことはできませんでした。」

「気にすることないよ！次現れたら、今度は一緒に倒そうよ！お疲れ様、ヒメちゃん！」

「ありがとうございます。セラさん。」

ヒメノのおかげで、ビフレストに被害はなく戦いを終えることができた。

ホープはソーンの家に再度集まる。

「ヒメノ、フレイのあの吸収するみたいな魔法？あれはなんだ？」

「あの人は、感情を食べているといっていました。つまりは、ゴブリンやモンスター達の心を食べてるんだと思います。」

「心を食べる？でもトロルもゴブリンも何も残らない形で消えてしまいましたよね？」

ユキナは顎に手を当て考える。

「これは私の見解ですが、フレイは生き物の心を吸収することでそれを自分の力に変えて、心を抜かれた生き物は抜け殻となり、朽ち果てる……ということじゃないでしょうか。」

シーンッ。

その場が凍ったかのように静かになる。

「確かに、ヒメノくんの意見が最も近いかもしれない。そして、その力はオーディンと同じ力なのかもしれない。」

「どういうことだ？セドリック。」

「聞いたことがあるんだ、五神はオーディンの一部だと。ということは、彼らが使う力は全てオーディンの一部と考えるのが妥当じゃないだろうか？」

ホープの六人は考え込む。

しかし、答えは見つからない。

静寂はスノウによって破られる。

「あぁ！考えてるだけじゃ埒があかない！とりあえず、オーディンに近づく方法をまずは考えればいいんだろ？」

「その通りだ、スノウ。」

ガチャンッ。

アトレウス隊が入ってくる。

「アトレウス、何かあてがあるのか？」

「一つある。ここから少し離れた場所、グリトニルに行ってみろ。」

「グリトニル？初めて聞く場所だな。」

「グリトニルは、オーディンが数少ない襲撃をしていない町だ。反乱軍にも加入していない、中立都市でもある。」

★グリトニル……多くの種族が行き交う町で、差別や奴隷など存在しない理想的な町。町の長がいなく、皆が平等であるというのがモットーの町である。

「そこに行けば、なんかヒントがありそうなのか？」

「少なくとも、オーディンに関する何かはあるはずだ。あの町は、繁栄していて目にも付きやすいはずだが、オーディンは手を出さない。何か理由がないとそんなことはしないだろ。」

「確かにな、分かった。俺たちが見に行ってみるぜ。」

ガタッ、ガタッ、ガタッ。

ホープの六人は村を出る準備をする。

「なあ、セドリック。」

「なんだい？」

「っ……、いや、何でもない。」

「……心配かけてすまない、もう少しだけでいい、待っててほしい。」

スタッ、スタッ、スタッ。

セドリックは荷物を持ち外に出る。

その姿をスノウは見つめることしかできなかった。

「では、ホープよ。グリトニルまでの旅が無事であることを願うよ。」

「ありがとうございます。ソーンさんもお元気で！」

ヒメノが先頭に立ってお辞儀をし、ホープは出発する。

次に彼らを待ち受けるものとは、何なのだろうか……。

第十四章　完

◆◆◆お礼・お願い◆◆◆

第十四章まで読んで頂きありがとうございました。

ホープはギムレーについて知り、オーディンについてのヒントも掴みました。今回は、ヒメノが共鳴突破（クロスドライブ）！　次章は……？？

スノウ達の今後を気になってくれる方！

次は何が出てくる？　オーディンは何をしたいの？

ホープの六人を応援してるぞ！

と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします！

ここまで読んで頂きありがとうございます！今後とも宜しくお願いいたします！