第百三十九話 運命との邂逅

ギンヌンガの町は、緊張感が漂っていた。

外で戦闘が起きているのは分かる。しかし、下手に外に出てこの場所をバラすわけにはいかない。



「くっ、ねえアレン!あたし達もホープを手伝った方が!」

「だが、ここの戦力を0にするわけには。」

「でも!あの子達にもしものことがあったらーー。」

「落ち着くのだ、ハワード。俺たちが育てた弟子達だ、そう簡単にやられると思うか?」


バサッ。

マイトがハワードの頭に手を乗せる。


「う、うん。もちろん、信じてるよ、信じてるけど!」

「心配なのはみんな一緒だ。けど、俺たちの希望はここまで自力で歩いて来た。ここまで来れるような奴らを信じなくて、何を信じる。」

「くっ。」


三人は居ても立っても居られない様子でホープの帰還を祈る。



数分後、


ブワーンッ。

町の結界である、魔法のカモフラージュに反応が。



「ん、戻ってきた!」

「ホープ達だよね!そうだよね!」


ズザッ、ズザッ、ズザッ。

スノウ達が怪我を負いつつも、勝利を知らせに戻ってきた。



「おおっ、ホープ。」

「やった!!良かった、生きててくれて!」

「なんとか帰ってきたぜ、先生達。」


スノウたちの帰還を、師匠たち三人は心から喜ぶ。



「さすが、俺たちの弟子達ということか。」

「もちろんです!師匠たちから学んだ力は伊達じゃありません!」

「けど、ここの近くにピンポイントでオークが現れたのは気がかりです。もしかしたら、王国も少し気付きつつあるのかも。」

「セドリック君の予想は当たってるだろうな、まあ、数ヶ月隠れていたんだ、そろそろバレてもおかしくはないな。」


マイトは冷静に答える。


「ホープよ、一人会って欲しい方がいる。」

「それは、ミーミルか?」

「ちょっと兄さん!いきなり呼び捨てなんて!」

「いいんだ、ヒメノ。スノウがこういうやつだってのは、クレイトスから聞いてる。」


アレンの目が険しくなる。


「どうしたんですか?ミーミルさんに会うだけなら、そんなに険しい顔しなくても。」

「いや、違うんだ、セラ君。果たして、今会わせていいのか考えてしまっていたんだ。」

「考えるより行動!いつもあたしが言ってるじゃん!」

「私はハワードのようにお気楽に考えられんのだよ。でも、今迷っても仕方がないか。」


ズザッ。

師匠たち三人は、町の真ん中にあるお城に案内する。


「戦い終わりですまない、ミーミル様に会ってみてくれ。」

「ああ、分かった。」


スタッ、スタッ、スタッ。

大きな門をくぐり、スノウ達は城に入る。


「ここが城の中か、ずいぶんでかいんだな。」

「お兄、なんか馬鹿っぽいよ。あ、馬鹿だったか。」

「あ??誰が馬鹿だ?」

「二人とも!ふざけ合ってる場合じゃないですよ!」


双子のやり取りを、妹のヒメノが止める。



「ふふっ、あなたたち本当に仲がいいのね。」

「仲がいいというか、お気楽集団と思われそうで僕は不安です。」

「いいじゃんそれで!暗い雰囲気のチームより絶対いいよ!」

「リサのいう通りだ。ネガティブなチームより、ポジティブなチームを俺たちも作りたかったからな。」


タッ、タッ、タッ。

全員がある部屋の前で歩みを止める。


「ここが、ミーミルさんの部屋ですか?」

「そうだ、準備はいいか?」

「いつでもいいぜ。」


キィーッ。

扉が開かれる。



大きな部屋の奥には、一人の男性が座っている。


日本の和服のような服装で、全身は黒色。

頭から帽子のようなものを被っており、顔はよく見えない。

とても不思議な雰囲気を醸し出している。



「ミーミル様、ホープをお連れしました。」

「うん、ありがとう。こちらに来てもらえるか?」

「ああ。」


タッ、タッ、タッ。

スノウ達はミーミルの目の前まで歩く。



「よく来てくれた、ホープの六人よ。心から感謝を述べる。」

「いいえ、こちらこそお会いできて嬉しい限りです。」


ヒメノが丁寧に応対する。



「私は、ミーミル。この町ギンヌンガの長であり、である。」

「へえ、ミーミルさんがあたし達反乱軍のリーダー……え!?」

「まさか、師匠達がミーミル様を護衛してるのって。」

「ああ、王国に攻め込むために力を蓄えてたのだ。」


皆が驚く。


「なあ、単刀直入に聞くぜ。ミーミル、あんたは何者だ?この雰囲気、ただの人間じゃねえだろ。」

「ちょっと!兄さん!」

「君がスノウか、噂通りの人間だ。そして、すごく勘のいい……第六感の力か。」


ミーミルはその場に立ち上がる。


そして、帽子のようなものを取り、顔が見える。



その顔は、とても綺麗な作りをしており、とても肌が白い。一瞬女性と勘違いしてしまいそうだ。黒い長い髪を後ろで結び、美形男子が姿を現した。


「こちらも単刀直入に言おう。君らの力を貸して欲しい。」

「それには、しっかり説明をしてもらいてえな。」

「そうだね、まず、私について一つ話す。」



ミーミルはホープにさらに近づく。


「私は……前国王、なんだ。」

「んなっ!?」



ついに現れた、国王を継ぐ資格を持つ者。

ホープはいったい、どのような選択をするのか。


第二十二章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第二十二章まで読んで頂きありがとうございました。


スノウ達は師匠達と再会を果たし、さらに流派の奥義も発動!

アトリの息子であるミーミルとも出会い、さらに物語が動き始める。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

ミーミルは何をするつもり!?

これからの動きは??

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!



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