第二百七話 危険な存在
シュンッ!シュンッ!
目にも留まらぬ速さでオーディンがスノウの目の前に迫る。
「これが闇の力!最高だ!」
「速い、俺と同等かそれ以上ーー。」
「吹き飛べ!
ガゴーンッ!
ドガンッ!
闇魔法で覆われた拳が、スノウを吹き飛ばし壁に打ち付ける。
「えほっ、えほっ。危ねえ、瞬間的に刀を当ててなかったらこの世からおさらばだったぜ。」
「ふんっ!速さが売りのお前を超えるとは、真の最強になれたということか!」
「オーディン、あなたは!」
「わしらが止める!」
ヒュンッ!
ヒュンッ!
ヒメノとリサが挟み込む。
「お前達如き、私の敵ではないわ!
ヒューンッ!!
ヒューンッ!!
闇魔法のドラゴンが二人を襲う。
「なんで禍々しい技、
「お前は危険すぎる!
ヒュンッ!ボォォ!
ガォァ!!
風と炎の竜巻、全てをかき消す方咆哮が迎え撃つ。
「くっ、なんて重さ。こんなの、普通じゃない。」
「なんでじゃ、なんでここまでして一人にこだわる!」
「私には、もはや何もない!邪魔するやつは消えてなくなれ!」
バゴーンッ!
闇のドラゴンが爆発し、二人を傷つける。
「くっ、もはやこれは神の力でもない。神を超えた力だ。」
「この体が感じているのは、ただ一つの感情や。恐怖が支配している。」
「ならうち達が!」
「あんたを止める!」
ズザーッ!
セラとユキナが勢いよく迫る。
「何人こようが私には勝てない!」
「勝つ必要なんてない、うちらがやりたいのはあんたを止めることや!」
「そう、あたし達は話し合いをしたいんだよ!」
「裏切り者の話など聞く耳は持たんわ!」
シュイーンッ!
バゴンッ!
闇の斬撃が複数飛んでくる。
「なんで、こんなことになるの!
「オーディン!戻ってき! うちの手となれ!
ビリリッ!
ブシャァ!
ガギーンッ!
二人の雷の水が弾き飛ばす。
「っ!?避けろ!ヨルムンガンド!ヴァール!」
スノウの声が響き渡る。
しかし、目の前にオーディンが迫っているのには気づけなかった。
「なっ!?」
「お前達では、私には届かない。」
ガゴーンッ!
ズザーッ!
二人は拳を捌ききれず吹き飛ばされる。
「オーディン!てめえ!」
ズザッ!
スノウが勢いよくオーディンに迫る。
「怒ったか、その感情はやはり邪魔なものだ!
「
バキキキッ!
氷の刀で拳を受け止める。
「うっ、くっ!」
「弱いな、最強の戦士とも呼ばれてるホープが!」
「よく理解してるじゃねえか、そう、俺たちはホープだから最強なんだ!忘れんじゃねえぞ!」
スンッ!
オーディンの背後に光がさす。
「この光、お前か!セドリック!」
「闇の弱点は光!なら、僕の攻撃はどうだい! 集まれ!
シュイーンッ!
ジャギンッ!ジャギンッ!
光で作られた両刃剣がオーディンに傷をつける。
「うがぁ!くっ、やはり弱点というのは厄介だな。」
「さあ、早く元に戻るんだ!そんな力を使い続けては、あなたがあなたではなくなってしまう!」
「私はどんな状態でも私だ!闇を扱い、世界をその手に収めるオーディン!貴様らには、私の進む先の礎になってもらうぞ!」
ガギーンッ!
セドリックの光の剣を打ち砕く。
「なっ!?」
「貴様の弱点は私の闇、闇の中に飲み込まれよ!」
「しまっーー。」
シュンッ!
ズサッ!
セドリックに闇の拳が当たる直前に、ヒメノが持ち前の軽やかさでセドリックを引っ張り避ける。
「ふんっ、運のいいやつめ。」
「助かったよ、ヒメノくん。いや、今はグリンカンビさんか?」
「どちらでもいいわ、私とヒメノは二人で一つなんだから!」
ズザッ!
オーディンはさらに力を増していく。
「ばか!やめろ!そんなに闇の力を使ってたら、本当にお前じゃなくなるぞ!」
「ふんっ!テュール、お前たちにはわからないさ、孤独な私がこれまでどんな気持ちだったかを!いいや、知る必要もないな、ここで死ぬ運命なのだから!」
「やめてー!!」
ガゴーンッ!
さらに闇の力がオーディンを包み込む。
すると、
ドスンッ!ドスンッ!
地面にヒビを入れながら、二回りほど大きくなった真っ黒なオーディンが生まれる。
その姿からは、恐怖や憎悪、怒りなど負の感情が流れ出している。
「くそっ、オーディンはなんてことをしはるんや。」
「俺たちは、オーディンを救えないのか……。」
(まだ諦めるには早いんじゃねえか?)
スノウがテュールによびかける。
(なぜだ?あの姿になってしまっては、もう……。)
(必ず助けられるかどうかはわからねえ、けど、あいつも孤独が嫌だったんだろう。)
(それは、そうかもしれない、だがーー。)
(だったら、まだ引き戻すことができるはずだ!俺に、俺たちに代われ!)
(……分かった、あとは任せる、相棒!)
シュイーンッ!
全員は戦神から元の人格に戻る。
「ほう、力を戻したか。だが関係ない、お前達は全員ここで死ぬのだから!」
「そうかよ、ならやってみろよ!俺たちホープの光は、そう簡単には消せねえぜ!!」
ズザッ!
さらに戦闘は激化していった。
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