第二百八話 孤独とは
ピキーンッ!
スノウとセラが
「まずは動きを止める!セラ!いくぞ!」
「OK!
ビリリッ!
バゴーンッ!
右足に雷の衝撃波が直撃。
「ふんっ、そんなもの!」
ブンッ!
ガギーンッ!
拳をセラは受け止める。
「重いっ。」
「セラさん!
ガゴーンッ!
ヒメノのサマーソルトが拳を弾き返す。
「大丈夫ですか!?」
「う、うん。これくらい問題なし!」
ポタッ、ポタッ。
セラの左腕から血が滴り落ちる。
「こっちがお留守だぜ!
シュインッ!
居合斬りが左足を襲う。
しかし、ダメージは見て取れない。
「ちっ、硬いなんてもんじゃねえな。」
「ならあたしが!
ボォォ!
キシャァァ!!
炎の蛇が左足を狙う。
「遅いわ、虎の娘!ふんっ!」
バゴーンッ!
「うはっ!」
拳から放った衝撃波が、リサごと吹き飛ばす。
「リサっ!オーディン、てめえ!」
ドーンッ!
スノウが攻撃しようとした瞬間、目の前に闇の壁が現れた。
「ちっ、通さねえつもりか!」
「さあ、まずは一人だ!」
シュイーンッ!
手のひらに闇の塊が生まれる。
「っ!!リっちゃん!」
セラが戻ろうとする。
しかし、闇の弾丸の方が先に放たれた。
「うっ、やばっーー。」
「やらせませんよ! 私の手となれ!
ブシャァ!
ガギーンッ!
槍を地面に刺し、そこから打ち上がった水が闇の弾丸を防ぐ。
「ありがとう、ユキチン。」
「皆さんの守りは、私に任せてください!」
「さすがユキナ、頼りになるぜ!」
シュンッ!
空高く飛び、スノウはオーディンの頭上から攻める。
「たかが一人で何ができる!」
「一人じゃねえよ、勘違いすんな!」
「僕もいるんですよ!」
シュンッ!
ガギーンッ!
スノウとセドリックの攻撃がオーディンの手を止める。
「くっ、小癪な!」
「今だ!」
ピキーンッ!
ヒメノとセラに
「はい!
「任せて!
ボォォ!
ヒュンッ!
ビリリッ!
炎、風、雷の攻撃が一斉に迫る。
そして、
「
バゴーンッ!
全ての魔法が重なり、爆発を起こす。
「少しは効いてくれたかな?」
「……いえ、まだまだみたいです。」
「確かに、なかなかの連携だな。だが、個の力が弱すぎて、興醒めだ!
バゴーンッ!
「うはっ!」
ズザーッ!
部屋全体に広がった黒い波動が、スノウ達を壁まで吹き飛ばす。
「えほっ、えほっ。伊達に神様してねえみたいだな、こいつは。」
「当たり前よ、私は一人でもこれから先生きていける力を身につけたのだ。お前達のような、弱者とは違ってな!」
「オーディン、あなたはどんな世界を目指してるのですか?私たちと一緒に目指せないのは、なぜなんですか!」
「簡単なことよ、お前達はいつ裏切るか分かったものではない。せっかく私が完璧にしても、それを壊されてしまってはたまらん。
ドスンッ!
スノウ達にかかる重力が数倍に膨れ上がる。
「うっ、僕たちが立ってることすら辛い、なんて力だ。」
「人間は愚かだからな、幾度平和な世界をつくろうが、すぐにまた壊していく。」
「そんなことねえよ、人間は確かに失敗するし、挫けたりもする。お前からしたら、ただの弱者なのかも知んねえよ。ただな、平和に生きていきたいという願いは、今も昔も変わらねえ。」
「なら、なぜお前達はこの世界を傷つける?」
スチャッ。
オーディンはスノウに闇魔法を向ける。
「兄さんっ!」
「お前達のような存在がいるから、この世界はーー。」
「俺たちも平和な世界を作りたくてここまで来たんだよ!!」
ヒューンッ!
ガギーンッ!
闇の弾丸をスノウは斬り捨てる。
重力に抗い、身体中が悲鳴をあげている。
「嘘をつくな!平和な世界を作りたいなら、この世界を傷つけるわけがない!」
「お前にはお前のやり方があるように、俺たちにも俺たちがのやり方があるんだよ!ゴールは同じなんだ!!……けど、それまでの道のりが違うからこんな風にぶつかり合ってる、だから話し合いたいんだ。」
「話し合って何が変わる!孤独に過ごしてきた私と、仲間達と共に歩んできたお前達、分かり合えることなぞあるものか!」
「確かに、お前の気持ちを全て理解することはできないかもしれない。だけどよ、おかしいじゃねえか!なんで、同じ平和を求めてるのに俺たちは、真っ向から武器を向き合わさなければいけないんだ!分からねえよ、俺には!」
ビキキキキッ!
スノウの周りが氷で覆われていく。
そして、1秒後にはオーディンの足元にまで及んでいた。
「なにっ!?まだこんなに動けたのか!」
シューンッ。
増されていた重力が弱まっていく。
「なあ、教えてくれよ。お前は全てを司る神なんだろ、それじゃあ、なんで同じゴールを見つめてる俺たちが殺し合ってるのか、答えをくれよ。」
「そ、それは……。」
オーディンは言葉をつまらす。
「そう、それでいいんだ。」
「なに?」
「俺たちもお前も何も違わない、全ての答えを持つ存在なんかじゃない、俺たちはみんなが、弱者なんだ。」
「っ!?」
ドクンッ。
オーディンの心臓が大きく響き渡った気がした。
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