新章 最強の英雄、始まりと終わり
プロローグ 全てのゴブリンを殲滅した英雄達は、最高の報酬をもらえると聞いて、国王に記憶を消されました。
ガギーンッ!ザシュッ!
ここは戦場。人間とゴブリンの戦争真っ只中。
シュンッ!
「
青髪の少年は緑色の巨体、ゴブリンを高速で斬り裂く。
至る所で人間とゴブリンの戦いが。
「我らも続くのだ!!」
「うぉぉ!!」
軍人は少年の後に続く。
「へっ、まだまだいくぜ!」
少年は青く光る二本の刀を逆手に持ち、全速力で地を翔ける。
「おらおら!
ジャキ、ジャキ、ジャキッ!
両手を広げ回転しながら三体のゴブリンを斬り刻む。
ポトンッ。
ゴブリンのいた所には白いクリスタルが落ちる。
彼の名は、スノウ・アクセプト。17歳。
この国、ギムレーにおいて最強の
身長は180cmあり、細マッチョ。
短髪の青い髪に蒼い眼、右頬にキズが特徴。
仲間思いだが、敬語が使えない戦闘狂。
仲間を罵倒された際、一つの町を破壊するほど暴れたという伝説を持つ。
彼はギムレーの国王が、
FC計画とは、近い未来訪れると預言されていた大戦争ヘルクリスマスのために国王、オーディンが発令した、いわゆる徴兵令。
当時6-12歳の子供たち5万人が集められ、100年以上続いてる流派に分けられ、10年間の修行が行われた。
そこで20の流派で構成されるセクターに分けられ、各流派にトップというその道を極めしエースが一人誕生した。
それぞれの流派には、
一式から十式までを会得した者が、その流派のトップとなる。
そして、この世界には、火、氷、水、風、土、雷、光、闇の8属性の魔法がある。
これは生まれつき使える能力が決まっており、複数使える者は滅多にいない。
その中で一際異彩を放ち、戦闘力で5万人のトップに立ったのが、スノウ。
感覚に特化しており、
敵の位置を感覚で捉えることができる。
スサーッ!
「兄さん!飛ばしすぎです!」
少女がスノウの後方から鷹のように飛んでくる。
「
バキッ!
紫色に光ったブーツの右足でゴブリンを消し飛ばす。
壁に叩きつけられ、白いクリスタルになる。
彼女は、ヒメノ・ミコト。16歳
160cmほどの身長で、ミディアムヘアーのブラウンの髪にピンクのリボンを二つ付けミニツインテールのようにしている。紫の眼を持つスノウの妹。
胸がギリBカップの貧乳で、真面目系清楚な美少女。かなりのブラコンで、兄のスノウが知らない女性と話してると不機嫌になる。
ブーツに力を集中することで、唯一空を飛べる流派。
聴力に特化しており、
ズザッ!
「付き合わされる側の気持ちも考えてよね!」
もう一人の少女が力強い跳躍で追いかけてくる。
「
ブンッ!
赤い光を纏った3mの長い長剣を真一文字に振り下ろす。
そこに残るは白いクリスタルのみ。
彼女の名前は、リサ・ブレイズハート。17歳。
170cmのモデル体型を持つ、脳筋スタイル。スノウの幼馴染。
黒いショートヘアーに、赤いメッシュカラーが入っている男まさりな美人系お姉さん。大食感で、10人前は一食で食べれる。下ネタが好きであり、からかい上手で、趣味は人に特殊なあだ名をつけること。赤の眼を持つ。
彼女は視覚が特化しており、
スタタタタッ。
「皆さん!少しは落ち着いて戦ってください!」
一番最後に走ってくる少女が軽やかに追いつく。
「
シャキーンッ!
緑色に光る槍を構えて一直線にゴブリンを貫く。
白いクリスタルが二つ落ちる。
彼女は、ユキナ・リンクス。16歳
155cmの小柄で、出るところは出ているナイスバディ。バランスの良い戦闘スタイルで、ヒメノの親友。
Eカップの巨乳の持ち主。リーダー的存在で、ツンデレ。ムッツリスケベでもあり、仲間からいじられ対象にされてる。赤茶色のポニーテールで、緑の眼を持つ。
彼女は嗅覚に特化しており、
そして明平十一年、今まさに予言された大戦争、ヘルクリスマスの真っ只中。空は黒紫色の雲で澱んでいる。
ギムレーは、国王軍1万人に、20人のトップで構成される。
対するは、突如として現れた緑色の化け物、ゴブリン。
緑色の体に、エルフのような尖った耳、軒並み3mはあるだろう巨体で鎧をつけている。
睨むと狐のような尖った目、その手には斧やハンマー、グローブなどつけてる者と様々。
元々ゴブリンは何者なのかは不明だが、死ぬといろんな色のクリスタルになる。
ゴブリン側はざっと見積もって、3万体はくだらない。
「
国王軍の兵士も、剣や魔法で応戦するがやはり力負けが著しく、苦戦を強いられる。
そこで活躍するのが選ばれしトップの20名。
スノウ、ヒメノ、リサ、ユキナの四人組は最前線の部隊ホープ部隊として敵陣に切り込む。
スタッ。
「あそこが、ゴブリンの本陣か?」
スノウは双剣を腰にしまい、300mほど先にある城を指差す。
その城は、いかにもな闇の雰囲気を発している。
「兄さんの予想は当たってると思いますよ。」
ヒメノはブーツの履き心地を確認する。
「あたし達が、あの城をぶっ壊したら全部解決、たくさん報酬もらえるって話だね!」
リサは長剣を背中に携え、その千里眼で観察する。
城の周りをゴブリンが巡回している。
中にはゴブリンの上位種、オークもいる。
「私達全体の足並み揃えて向かったほうがいいのでは?変な匂いが濃すぎて、何体いるのかも分からないですし……。」
ユキナは右腰に槍をつがえる。
「変な匂いが濃いって、なんかユキチンエロい!」
リサはニヤニヤと微笑む。
「な、何言ってるんですか!そういう意味じゃーー」
ユキナは何を言おうとしたか気付き、顔を赤くする。
「はいはい、ユキナがムッツリなのはおいといーーぐはっ!」
ゴスッ。
スノウのお腹にユキナの拳が入る。
「先輩、次余計なこと言ったらタダじゃ済まないですよ!」
「もうただじゃ済んでねえ……。」
スノウはお腹をさする。
「ほら!ふざけてないで、早くあの城制圧しますよ!」
ヒメノが緩んだ空気を引き締める。
ゴブリンがわらわらと迫ってくる。
地響きが大きく、土は凹み草はちぎれる。
「そうだな!俺たちはこの日のために10年間も修行させられたんだ。これから先は、俺たちの時間だ!」
スノウの掛け声で、四人は武器を構え戦闘態勢に入る。心なしか四人は楽しんでるようにも見える。
「やってやるぜ!!」
四人は一斉に飛び出す。
「グガァ!殺せ!」
ゴブリンも負けじと迎え撃つ。
「
バギィーンッ!
スノウは力一杯双剣を横に振り、ゴブリンの斧ごと斬り裂く。
(ん、右後方に三体。)
第六感でスノウは敵の位置を感じ取る。
「
シュンッ!シュンッ!
氷の斬撃を二本飛ばし、ゴブリンが真っ二つになる。
「兄さん相変わらずですね、
ダッ、ダッ、ダッ!
ヒメノは空中から多段蹴りをゴブリンに浴びせる。
(この足音からして、左前が手薄ね。)
ゴブリンを蹴った衝撃をうまく使い、
「
キュイーーンッ!ドンッ!
ヒメノの脚に突風が起き、回転してドリルのように貫く。
「さあて、ド派手にいくよ!
ドゴーンッ!
リサは高く跳び、全体重を乗せて振り下ろす。
(右前30°、縦に五体か。)
「
キシャァァ!
長剣に赤い蛇のような炎が纏わり、一直線に放つ。
通った道には、クリスタルのみ。
「先輩にエロいと思われた……いや、別に先輩のこと!
ジャキンッ!ジャキンッ!
ユキナは、槍をクルクル回しながらゴブリンを吹き飛ばす。
(匂いの濃さからして、右の方が少ない)
「何とも思ってないし!
ザザッー!ジャキンッ!
ユキナの生み出した水に足を取られたゴブリン達は、踊るように槍を振るうユキナに手も足も出ず切り落とされる。
四人は一気呵成に城まで攻め込む。
「止めろ!止めろ!」
「じゃまだじゃまだ!!」
ジャギンッ!バギッ!ドゴンッ!
ゴブリンやオークの抵抗をものともせず四人は、王座の間らしきところに着く。
「ふぅ、ラスボスっぽいところについたな。」
スノウは前方を睨む。
暗闇の中から、10mはあるであろう巨大なデーモンの様な化け物が出てくる。
ズサ、ズサ、ズサ。
歩くたびに地面が揺れる。
「兄さん、あれがターゲットですかね?」
ヒメノは少し怯える。
「ヒメチン、あれが雑魚だったらそれはそれでドッキリすぎない?」
リサが軽く答える。
「それじゃあ、ここが正念場ですね。」
ユキナは槍を構える。
「そうだ、人間ども。」
大きなデーモンは話し始める。
紫色の巨体に、両手に槍二本。歯はギザギザしており、見るからにボス感がある。
「我こそは、この地に甦りし最強のーー。」
「ああ、分かった分かった、聞く気ないから話さないでいいぜ。」
スノウがデーモンの言葉を遮り右手を掲げる。
ヒュイーンッ!
「我、うちに宿すは、
スノウから青い光が登る。
「我、うちに宿すは、
ヒメノから紫の光が登る。
「我、うちに宿すは、
リサから赤の光が登る。
「我、うちに宿すは、
ユキナから緑色の光が登る。
グォォ!!
四つの光が一つとなり、白いドラゴンの姿になる。
「なんだ、この魔法は!!」
デーモンは口をぽかんと開けている。
「簡単な話だ、お前を倒すための魔法。
ガウッ!
一つの眩い光が、デーモンに向かって一直進する。
「こんな、こんなはずでは、なぜだ、おーでぃーー。」
シュインッ!
デーモンは跡形もなく消し飛んだ。
一方城の外では、
「怯むな!我々で食い止めるのだ!」
人間達が抵抗をしているなか、
バゴーンッ!
遠方の城から白い光が立ち上り、同時に今まで暴れてたゴブリンも消滅する。
「グギャーー!!」
ポトンッ。ポトンッ。
クリスタルが辺りにたくさん落ちる。
今までの戦場が嘘のように静かになる。
「おお!や、やってくれたのか!我々の勝利だ!」
「うおー!!うおー!!」
人間は勝鬨を上げる。
スタッ、スタッ、スタッ。
ホープ部隊の四人は無傷で城の外に出る。
「さてと、帰るか!」
スノウは城から出る。
外は綺麗に晴れ渡り、空の澱みも消えている。
「みなさん、帰ったら何しましょうか?」
ヒメノは伸びをしながら聞く。
「まずは報酬でしょ!あたしは美味しいご飯たくさん食べたいな!」
リサはよだれを垂らしそうだ。
「何はともあれ、ゆっくり考えて欲しいものもらいましょう!」
ユキナは軽くスキップをしている。
「まあ、あたしが欲しいのはこれかな!」
リサはユキナの胸を揉む!
「ちょっと、なんですかいきなり!」
「やっぱりさ、仕事終わりの癒しは必要じゃない!」
リサとユキナはいつも通りおふざけ合う。
「うわ、やばーー」
「兄さんは見ちゃダメ!」
スノウの目をヒメノが覆う。
(ユキナちゃんは大きくていいな……。)
四人は城に向かう途中多くの拍手喝采を受ける。
「ありがとう!俺たちの英雄!」
「あなた達のおかげで、これからも生きていけるわ!」
多くの感謝の声が飛び交う。
「……。俺たちが、英雄か。」
「兄さん、ここは自信持っていいところですよ!」
スノウはどことなく暗い表情だが、四人は周囲に手を振る。
そうこうしてるうちに王国へ着き、国王オーディンと対面する。
「
「国王様、もったいなきお言葉。」
ヒメノの言葉を合図に、四人は膝をつき話を聞く。
「して、今回の働きに対して、貴公たちに褒美をとらせたい。」
国王は立ち上がり、生き残った兵士数千と10数名のトップたちの前に近寄る。
「なあに、褒美は至って簡単……。」
オーディンが両手を大きく開く。
「貴公らは、用済みじゃ!」
パンッ!
オーディンが大きく拍手を一度鳴らす。
「っ!!」
バタッ、バタッ、バタッ。
次々とその場にいた人間達は倒れ、気を失い……、
この10年間の記憶のみ、消し去られた。
明平十一年 5月24日 ヘルクリスマス 鎮圧
♦︎♦︎♦︎
明平十一年 5月25日 8:00
ヘルクリスマスが終焉し、次の日を迎える。
(起きろっ!おい、起きろっ!)
「はっ!」
スノウは飛び起きる。
(何だ、誰に起こされた?)
そこは、ベッドの上に横たわるスノウと女の子一人の部屋。
「なんだ今のは、夢……?」
戸惑いの中周りを見渡す。
「ここは、いったい……。」
スノウ達四人の人生は再びここから始まる。
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