第百十話 対話と襲撃

久しぶりにスノウ達はフォールクヴァングの村長、ハンクと再開する。


オーディンとの初めての戦闘で傷を負い、そのホープを助けてくれたのがハンクである。



「久しぶりだな、ホープのみんな。……おお、君はセラリウムさんかね?それと、あなたは、ヴァルキュリア隊の?」

「はい!セラが、スノウ・アクセプトの双子の妹、セラリウム・アクセプトです!」

「私は、ヴァルキュリア隊所属、スノトラと申します。今は、ホープの皆に協力してもらっております。」


ペコッ。

セラとスノトラがあいさつをする。


「そうか、ホープもさらに成長したんだな。嬉しい限りだよ。」

「それでだ、ハンク。重要なことがあるんだ。」

「なんだい?」


スノウは真剣な眼差しでハンクを見る。


「フォールクヴァングに、王国の軍が迫ってる。この村を、滅ぼすために。」

「なんだと!?まさか、この村に……。」

「悪い、ハンク。俺たちを助けたせいで、この村が危険な目にあっちまう。本当に、すまなーー。」

「違う!!君らを助けたのは、この村全員の意思だ。それに、ただでやられるつもりはないさ!」


ハンクは笑顔でホープを見る。


「ハンク、ありがとう。俺たちが、王国の奴らはぶっ倒す。村の人の避難は、任せていいか?」

「それくらい任せてくれ!私たちにもできることがあれば、何でも言ってくれ!」


スタッ、スタッ、スタッ。

ハンクの家にホープは一度集まる。



侵攻してくる王国軍に対する、作戦会議を始めた。


「まずは、王国がどれくらい差し向けてくるかだな。」

「私の予想ですが、多くのゴブリンとオークは来るでしょう。そして、それを指揮するのは……。」

「セドリック、か。」


その場の空気が重くなる。



セドリックと戦うということを、再認識したのだ。


その空気をセラが突き破る。


「でも!お兄!忘れてないよね?」

「ああ、当たり前だ!俺たちは、セドリックを助ける。あいつを、こんなところで死なせねえ。」

「うん!セドチンはあたし達の仲間だからね!全力で助けるよ!」


スノウ達は同じ目的を持っている。


「はい!セドリックさんは何かに苦しめられていた、それも解放できるかも!ね、兄さん!」

「ああ、あいつは一人で背負いこみすぎてる。だから、俺たちが、少し引き受けてやろうぜ!」

「もちろんです!セドリックさんは、少し前の先輩と似てます。だからこそ、手伝ってあげないと!」


ホープのみんなは全く怖気付かない。

これが、彼らの本当の強さなのかもしれない。





「さあて、ではみんな!私は村の人を避難させる。戦いの方は。」

「ああ!任せろ!」


ガシッ!

スノウとハンクは固い握手をする。



スノウ達は、フォールクヴァングの外に位置する。


その少し前に、スノウはスノトラに何かを伝えていた。

その上で、スノトラは村の防備を任された。


「さあ!みんなこっちへ!」

ハンクは、着々と村人を避難させていた。


スタッ、サッ。

スノウ達は軽く体を動かし、戦う準備をする。


「さあて、お兄。なんかいい感じにまとめてよ!」

「なんだよ、いい感じにって?」

「リーダーっぽいこと話してくださいよ!兄さん!私たちは、かなり大きな戦闘に突入するわけですから!」


みんながスノウに期待の視線を送る。



「ああ、分かったよ。」


スノウはみんなの前に立つ。

陽の光が、スノウを照らす。



「俺がお前達に伝えるのは一つだけだ。……生き抜け!!」


スノウは自信満々に叫ぶ。



他のメンバーはじっと、スノウを見つめる。


「ははっ、スノウは分かりやすくていいね!」

「本当ですね!先輩らしい!」


リサとユキナが笑顔で話す。


「でも、お兄って感じがしていいね!」

「はい!いきましょう、兄さん!」


セラとヒメノもやる気満々。


「バカにしてんのか?……へへ、まあいいさ!いくぞ!」


スノウ達が草原の方を振り向くと、敵襲が始まる。



ヒューンッ!!ヒューンッ!!

クリスタルが空に散らばる。


「来るよ!」

セラの掛け声と共に、クリスタルからオークとゴブリンが出てくる。


「ゴァッ!」

ドスンッ!ドスンッ!

複数体のゴブリンやオークが地に降り立つ。


「全員、戦闘準備!まずは、こいつらを倒す!」

「了解!」



ダダダダダッ!

ホープの五人は敵に向けて走り出す。


「グォォ!殺せ!」


ドスッドスッドスッ!

複数のゴブリンが地面にヒビを入れながら向かってくる。


「やれるならやってみろ! 狼派一式ロウハイッシキ! 迅狼ジンロウ!」


ザシュンッ!ザシュンッ!

スノウのトップスピードの攻撃が目の前のゴブリン達を捉える。


彼を止められる者はどこにもいない。


「お兄やる気出しすぎだっての! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派三式キロウハサンシキ! 雷狼ライロウ!」


ビリリッ!ザシュンッ!

セラの雷を纏った突撃もゴブリンを蹴散らす。



ホープの力が遺憾なく発揮されていく。

これが、スノウ、ヒメノ、リサ、ユキナ、セラの積み重ねた努力が成した証明。



さあ、ご覧あれ。



最強の戦士のお通りだ。

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