第百八十三話 彼の秘策
「ふんっ、四人で来ようが関係ないぜ!」
「そいつはどうかな!!」
シュンッ!
ガギーンッ!
素早いスノウの攻撃がバルドルを捉える。
「何か企んでやがるな、てめえらが力を出し惜しみしてるってことは、よく分かるぜ!」
「そうかもな、けど、理解できても対処はできねえだろうぜ!」
シュイーンッ!
ヒメノが
「
ガギーンッ!ガギーンッ!
鋭い鷹の爪のような二撃が降り注ぐ。
「うぐっ、なんという力。しかし、使ったな!その力もらったーー。」
「させないよ!
シュイーンッ!
バリリリリッ!
俊足の一撃が、バルドルを切り裂く。
「うぐっ、なるほどな、これが小さな力の集合か。少し厄介だな!」
「さあ、いつまで余裕でいられるかな!」
バギーンッ!
シュンッ!
ドゴーンッ!
大きな力と力がぶつかり合う。
バルドルの作戦は至ってシンプル。
ホープの力を乗っ取り、自由自在に操ろうとしている。
それを察知していたスノウ達は、瞬間的に力を解放し、バルドルに力を使われる前に他の誰かがさらに攻撃を仕掛ける。
少しでもタイミングがずれれば、バルドルの手に落ちかねない危険な戦い方。
しかし、
今まで過ごしてきた日々、信頼、お互いを知っているからこそ四人は力を集結させ徐々に押し返すことができた。
「くそっ!ちょこまかと!」
「遅いんだよ、あんたにあたし達は負けない!」
ガゴーンッ!
リサの一撃がバルドルを吹き飛ばす。
「ちぃ!まだまだーー。」
「そうじゃなきゃ!」
「困るよ!」
シュンッ!
シュンッ!
スノウとセラが挟み込む。
「てめえら!」
「いくぞセラ!テュール!」
「うん!合わせるよ、お兄!ヴァール!」
ピキーンッ!
スノウとセラが完全にシンクロする。
「
バキバキバキッ!
バリリリリッ!
二人の魔法を纏った縦回転斬りが、バルドルの両腕を吹き飛ばす。
いつかの戦いのように。
「うがぁ!!」
「また腕を無くしちまったな、バカ神様が!」
ズザーッ!
二人は体勢を整える。
「よしっ、このまま一気にーー。」
ドクンッ!
リサの心臓が大きく波打つ。
(なに、これ。心臓が痛い、呼吸が苦しい、まさか!?)
ガクンッ。
リサは膝を折る。
理由は一つ、力の消耗。
しかし、それを交互に繰り返すことで体が追いついていかなかったのだ。
「リサっ!っ、げほっ、げほっ。」
ピシャッ。
スノウの手には、自分の血が。
「俺の体もか、っ!?」
シュインッ!シュインッ!
バルドルの元に闇の力が集結する。
「はははっ、誤算はお前らにもあったみたいだな!俺の手を二度も斬った礼はしっかりしないとな!」
シュイーンッ!
全身に闇の力が纏わる。
「バルドル、あなた何を!」
「これが俺の力だ、お前達だけが使えると思うなよ、ホープ!!
バゴーンッ!
闇の力がバルドルの元で爆発する。
「
「でも、セラ達ですら七年かけて身につけた力だよ、そんな簡単に使えるわけ……まさか!」
「トップの記憶を奪って、一つの力にしたってことですよね。」
ヒメノはバルドルを見つめる。
その力は、数ヶ月前にスノウ達も一度発動した
スノウ達を、バルドルに対する恐怖が支配したのだ。
「これが、これが力!いいぞ、いいぞこれは!最高じゃねえか!はははははっ!!」
「なんて禍々しい力、僕達ですら意識を持っていかれそうだ。」
「けど、こんな力を使ったらバルドルも無事では済まないはず。」
セドリックとユキナは遠くから見つめる。
「俺の体は、命は、父オーディンに捧げている。父の世界を作るためなら、俺は何にでもなってやるよ!!吹き飛べ!
バゴーンッ!
闇の波動がホープを襲う。
「うがっ!」
音速をも超える攻撃は、全員を壁や木に打ち付ける。
「そうだ、これだこれ!力こそ正義、これで俺は自由になれるんだ!」
「えほっ、えほっ。こんなデタラメな力、危険すぎる。みんな、無事?」
「なんとか大丈夫です……っ!?セドリックさん!手が!」
ポタッ、ポタッ。
セドリックの左手から血が垂れる。
闇魔法から身を守った際に、ユキナを庇ったようだ。
「大丈夫だよ、動くには問題ない。怪我はないかい?ユキナくん。」
「はい、すみません私のせいで。」
「女の子に怪我をさせるわけにはいかないよ。」
ズザッ。
六人は傷を負いながらも立ち上がる。
「けれど、こんな力を使いまくってたらすぐにエネルギー切れになる。あいつも、短期決戦に持ち込んできたか。」
「みたいだね、だったらこっちもアクセル全開で行かないと倒せないよ。いいよね、お兄?」
「……ああ、俺たちも全力でやらせてもらおうか!」
ドゴーンッ!
スノウ、ヒメノ、リサ、セラは力を解放する。
「
人間と神の全力のぶつかり合いが始まる。
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