第百八十四話 最強の戦士達

ドゴゴゴゴッ!

バルドルの闇の力と、スノウ達の力が空間ごと削り取らんとするぶつかり合い。


限界突破オーバードライブと、共鳴突破クロスドライブのどちらが上か、今決まろうとしている。



「さあ、第二ラウンドだぜホープ!命のやり取り、全力で楽しませてくれよ!」

「こっちは願い下げなんだよね、お兄!ヒメちゃん!リっちゃん!セラ達はここで死ぬつもりはない、けど、死ぬ気でやるよ!」

「ああ!任せろ!」


ズザッ!

四人は風を切り、突撃する。


「ふんっ!この力に耐えられるかな!黒の戦斧ブラックトマホーク!」


ブンッ!ブンッ!

闇で作られた二つの斧が振り回される。


ピキーンッ!

ヒメノがセラに感覚共有シンクロを発動


「私たちが動きを止めます! 鷹派一式改オウハイッシキカイ! 三日月月光ミカヅキゲッコウ!」

「OK! 轟雷充填スパークチャージ! 希狼派七式改キロウハナナシキカイ! 紫電豪衝破シデンゴウショウハ!」


ガゴーンッ!

ドガンッ!

三日月を描くサマーソルトと、雷の衝撃波は黒い斧をなんとか受け止める。


「お、重い。」

「けど、これくらいなら!」


シュンッ!

リサが太陽の日差しを受け、バルドルの真上に位置する。


「バカが!闇喰獣カーズイーターーー。」

「そんなもの、あたしの炎が喰らってやる! 炎蛇クリムゾンスネーク! ご馳走よ! 虎派九式改コハキュウシキカイ! 紅覇蛇炎砲コウハジャエンホウ!」


ボゴゴゴッ!

ギシャァァ!!

真紅色の炎の蛇が、闇魔法ごと喰らう。


そして、蛇は腕ごと食いちぎる。


「うおっ、俺の腕ごと喰うか!だがな!」


バゴーンッ!

炎で掻き消された腕が、一瞬にして復活する。



「嘘でしょ、そんなのチートじゃん。」

「吹き飛べよ!虎!」


ヒューンッ!

どこからともなく闇魔法が飛んできてリサに直撃。


「うはっ!」


ガゴーンッ!

長剣で弾こうとするが、力負けして吹き飛ばされる。



「リサさん!このっ! 焔槍バーンランス! 展開! 鷹派十式改オウハジュウシキカイ! 紅月獄炎コウゲツゴクエン!」


バゴーンッ!

炎を纏ったかかと落としが顔面に入る。


そう、リサの炎がバルドルの腕を一瞬消し去ることでヒメノに余裕が生まれたのだ。


「うごっ!」


ドゴーンッ!

地面に打ち付けられ、大きなヒビが入る。



「お兄っ!今のうちに!」

「ああ!いくぞーー。」

「まだまだこんなものじゃねえぞ!」


ガゴーンッ!

ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!

バルドルが雄叫びを上げると、地面から複数の闇の魔法の弾丸が生まれ放たれる。


「くそっ!」


キンッ!キンッ!キンッ!

三人はなんとか闇魔法を弾く。


「はははっ!自分のことだけ見てていいのかな?」


シュンッ!シュンッ!

闇魔法がリサに向け一直線。


「リっちゃん!」

「うぐっ、っ!だめ、間に合わなーー。」

共鳴突破クロスドライブ! 開始オン! 緑鮫初式リョッコウショシキ! 斑磨鮫ハンマーシャーク!」


シューンッ。

バシャッ!バシャッ!バシャッ!

鮫の形をした水の槍が、闇魔法を撃ち落とす。


「なにっ?」

「ユキナ!お前、なんで。」

「確かに手は使えませんが、足で使うことだってできるんですよ!」



何という荒技。


手を封じられたユキナは、地面に落ちてる槍を蹴り上げ、自分の技を発動させバルドルの闇魔法に蹴り飛ばしたのだ。


「ありがとう、ユッキー。」

「私もトップなんです、これくらい任せてください!」

「ふんっ、死に損ないどもが!」


シュイーンッ!

ガゴーンッ!ガゴーンッ!

力を溜めようとしたバルドルをスノウとセラが刀で止める。


「そう簡単にやらせるかよ!」

「セラ達は一人じゃないの忘れないでね!」

「邪魔ばかりする雑魚どもが!!」


バゴーンッ!

再度闇の波動を全身から発生させ、スノウ達を吹き飛ばす。


ズザーッ!

なんとか三人は体勢を保つ。


「相変わらずデタラメな力だな、けど、さっきよりは弱まってる。」

「うん、やっぱりバルドルもかなりきつい戦い方みたいだね。なら、ここで一気にーー。」

「はぁ、はぁ、力、力こそ全て。俺は、俺は最強、だから、負けることは許されない!!全てを飲み込め!!闇の空間ブラックホール!」


ボワーンッ!

闇魔法が半径20mほどに展開され、至る所から闇魔法の弾丸が生まれる。


「くそっ!全員、身を守れ!」


ガギーンッ!ガギーンッ!ガギーンッ!

闇魔法をギリギリの状態で弾き飛ばす。


「うあっ!」


しかし、他の人より消耗していたリサの右手に闇魔法が直撃。


ガクンッ。

右手から力が抜け、落としそうになる長剣をなんとか左手で持つ。


「まさか、この魔法は闇喰獣カーズイーターと同じ力かよ!」

「そうみたいだよ!お兄、空間を守って!」


ズザーッ!

スノウはユキナとセドリックの近くへ、セラはヒメノとリサの近くへ。


凍魔晶付与ブリザードエンチャント! 白狼上式ハクロウジョウシキ! 絶対零度アブソリュートゼロ!」

轟雷充填スパークチャージ! 黒狼上式コクロウジョウシキ! 雷鳴展開レイジングゾーン!」


バキバキバキッ!

バリリリリッ!

雷と氷の領域が闇魔法を弾き返す。



「うぐっ、馬鹿力だな、こりゃ。」

「この力の使い方、もしかしたら……。兄さん!セラさん!少し時間を稼いでください、作戦を立案します!」

「なんとかするけどもって10秒だよ、いけそう?」

「それで十分です。」


ガガガガガッ!

地面を削る音がホープとバルドルの力のぶつかり合いを物語る。



「このまま潰れちまいな!早くその力をよこせ!ホープ!」

「なんでも思い通りにいくと思うなよ、バルドル!」

「セラ達は、あんたを必ず倒す!」


戦いの終わりは、すぐそこにまで迫っていた。

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