第百九十三話 鮫と賢神
「あなたのような生意気な子供に、わたくしが負けるとでも?」
「さあ、どうでしょうか?私は全力でやるだけなので!」
シュンッ!
ガギーンッ!
ユキナの槍とフレイの荊がぶつかり合う。
「
「
ガギーンッ!ガギーンッ!ガギーンッ!
二人の踊るような攻撃が火花を散らす。
「なんで?なんでトロル達を洗脳したの!!」
「何アホなことを聞くのかと思えば。あいつらは自分で願ったのよ、力が欲しいと!だからあげたのよ、戦う力を。」
「嘘だ!あのトロルさんは、誰も殺したくないって言ってました!心の叫びを聞いた時、私はすごく痛かった、彼の悲痛の叫びは。」
「ふんっ!そんなものがモンスターにあるとでも!?あいつらはわたくし達の手足になってくれさえすればいいのよ!」
シュンッ!シュンッ!
荊が複数ユキナに放たれる。
「くっ!
グルンッ!
ジャギンッ!ジャギンッ!
回転斬りで応戦する。
「遅いですわね、人間は!!モンスターの方が使いやすい!!」
「使う!?あなたは!生き物の命をなんだと思っているの!!」
「わたくしのために命を使えるんだもの、感謝して欲しいくらいですわ!」
「何様のつもりですか!あなたは!」
シュンッ!
ガギーンッ!
槍がフレイの近くにまで届く。
「ふんっ、その槍は届かない!
ボゴボゴボゴッ!
木の籠が生まれ、ユキナを覆い尽くそうとする。
「このっ!
グルルルルンッ!
ジャギンッ!
回転して飛び交う槍が気を切り裂く。
「わたくし達は神なの、あなた達を導く崇拝される存在。神であればこれくらいしても良いでしょう!」
「それは私たちが望んだことだとでも?」
「そうでしょうに、こんな世界のピンチにわたくし達が手を差し伸べてあげようと言っているの!それに歯向かうあなた方ホープは愚かな存在なんですよ!」
「確かに、今のギムレーは危険なのかもしれません。ですが、アトリ様の後を継ぐミーミル様がいる!立て直すことだってできるはずです!」
ガギーンッ!
荊と槍がぶつかり合う。
「アトリは特別な存在だった!あのような人がそう簡単に現れるとは思えない!」
「あなたはミーミル様の何を知っているの!どうすれば皆を助けられるか、どうすれば父のアトリ様の代わりになれるかを日々考えていた!」
「それは不可能!アトリには未来を見る力があった!
「そんなことはない、アトリ様はその力を使うことだけが全てじゃなかった!アトリ様の人間としての力がこの世界を作り上げてくださった!」
ズザーッ!
二人は距離をとる。
「だからなに?アトリの近くで彼の力を見てきたわたくし達が、代わりにやってあげると言っているのよ!なぜそれを受け入れない!」
「あなた達は、自分の意見を他人に押し付けようとしている。話し合うことこそ、より良い未来に繋げられるものになる!」
「生意気なんですよ、あなたは!!
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
複数のバラの棘のような弾丸が射出される。
「なんで話し合おうとしないんですか! 開け!
ボゴボゴボッ!!
ガギーンッ!ガギーンッ!
水で槍をもう一本生み出し、二本の槍で斬り落とす。
「無駄な足掻きを!この世界はオーディン様とわたくし達の同士が作り上げていきます、邪魔をしないでくださる!」
「その世界に、人間はいるんですか?」
「なに??」
「オーディンが作ろうとしてる世界に、私たち人間は存在してるのかと聞いているのです。」
スサーッ。
場が静まり返る。
「それは、そのはず。」
「なぜそこを知らないんですか?あなただって、オーディンのお仲間じゃないんですか!」
「あ、当たり前です!わたくし達五神はオーディン様の手足!一心同体といっても過言ではない!」
「じゃあ、なんで計画の終着点を知らないんですか!本当に、オーディンに信じられてるんですか!」
グググッ!
フレイの拳に力がこもる。
「うるさいですよ!わたくしの役割は、あなたを消すこと。そのために、この力ですら使いこなしてみせる!」
ピカーンッ!
フレイの手には
「なんですか、この危険な石は。」
「これが私たちが本当の姿に戻るための力!あなたを倒すための力です!」
「そこまでして、オーディンに忠誠を誓う理由はなんなんですか!」
「私は、一人になりたくないんです!」
バゴーンッ!
フレイを大きな緑色の煙が覆う。
「やばい力なのはよくわかる、私もやるしかないですよね。」
(ユキナ、ここはうちに任せてはくれへんか?)
(ヨルムンガンド?分かりました、何かあるんですよね。)
(察しが良くて助かるわ、ほな借りるで!)
バゴーンッ!
「
ユキナとフレイの力が解放された。
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