第三十章 英雄は宿敵との激戦を始める
第百七十八話 二人の傷、協力
バサッ。
スノウは空を眺める。
空は快晴で、ホープの成功を願うかのよう。
「兄さん、少しは楽になれましたか?」
「ああ、おかげさまで少し楽になれたよ、ヒメノ。先生のために、これまでに散っていった仲間のために、俺はここにいるみんなで戦う。だから、また頼ってもいいか?」
「はい、もちろんです。支え合うことができるのが人間の強さの秘訣です。」
スタッ、スタッ、スタッ。
スノウとヒメノは町へ戻る。
「あ、スノウ!ヒメノくん!」
セドリックが声をかける。
「セドリック、悪いな、迷惑かけちまって。」
「いいや、スノウのおかげで僕たちは前に進める、僕の方こそ力になれずにすまない。」
「そんなことはねえよ、そういやセラは?」
「そのことで話そうと思ってたんだ。町の集会所まで来てくれ。」
タタタタタッ。
少し駆け足で集会所に向かう。
「すみません、お待たせしました。」
「おう、スノウ達も来たか。なら、これからの作戦会議ができるな。」
「ああ、アトレウス達が考えてくれてたのか、ありがとう。っ、……セラ。」
そこには、作戦会議に参加するセラの姿。
「あ、……お兄。」
「セラ……。」
「っ……もう!起きるの遅いんじゃない?疲れたからってセラ達の敵が目の前にいるんだから、早くしないと!」
「っ!そ、そうだけどお前だっていろいろと大変なーー。」
「セラも、起きてからみんなに助けてもらった。だから、前に進むよ。お兄もその覚悟ができてるからここにいるんでしょ?」
ニコッ。
セラは微笑みをスノウに与える。
「っ……まったく、強い妹だな。誰に似たんだかな。」
「そりゃあね、スノウ・アクセプトの妹だからね!強さが売りだよ!お兄は強さしかないバカかもしれないけど!」
「誰がバカだ誰が!はぁ、よし!アトレウス、これからの作戦について教えてくれ。早く行動に移さねえとな。」
「分かった、ではまずこれまでに起きたことを整理する。」
まずスノウ達ホープと、ミーミル達がグニパヘリルへ向かい活動開始。
そこからホープはヴィーンゴルヴに向かう途中で、アヤセの率いるホワイト隊と合流する。
ヴィーンゴルヴ内では、スノウがサイファーと対峙。
メギンギョルズに支配されたサイファーにスノウは勝利。
続けて、ホープの他五人とホワイト隊はオーガ二体と対峙。
融合して、エンペラーになるもなんとか対処。
ホワイト隊はその後、建物に保管されていたゴブリンやオークのクリスタルを破壊。
その後、スノウと他五人が合流しビルスキルニルへ向かう。
そこでは、バルドルと因縁の再会。
町の市民達を囮に取られ、動くことができなかったホープ達だったが、ヴァルキュリア隊のスノトラとスクルド、アトレウス隊、ホワイト隊、IWSを含めた今までホープに助けられてきた者たちの加勢により突破。
その途中、スノウとセラは謎の白い空間に誘われ、スノウはクレイトスと、セラはミユウとの戦闘に。
二人共メギンギョルズに支配されていたが、スノウとセラの活躍によりなんとか対処。
クレイトスの中にメギンギョルズ本体が潜んでおり、スノウはそれを倒したためこの先似たものはないと予想。
スノウとセラが帰還して、今に至る。
「これが、今の所の情報ってところだな。」
「そうだね、あたし達はみんなのおかげでここまで来れてる、ありがとうね。」
「まだ終わりではない、ここからさらに気を引き締めなければ。まずは、この町の守りについてだが。」
「俺たちに任せてくれ。」
IWSを扱うスティングが名乗りでる。
「ホープやアトレウスさん達のようなすごい力はないが、この町を守るくらいなら俺たちでできる。そうすりゃ、ホープに恩返しができるってもんだ。」
「ありがとうな、スティング。みんなもいいのか?」
コクンッ。
各村や町の隊長達も賛同する。
「よしっ、であれば我々アトレウス隊、ホワイト隊、ホープ、ヴァルキュリア隊でヴァルハラに向かう。」
「了解です。そうしましたら、飛べる私たちはミーミル様達の援護に向かいたいと思います。あちらも、危険なのは同じですから。」
「分かった、スクルドくん、スノトラくん、よろしく頼む。」
「お任せください、隊長。」
バサッ!
ヴァルキュリア隊の二人は空を飛び、ミーミル達の進路へ向かう。
「この先には、ヴァルハラ城に入るための広場があります。まずは、そこまで向かいましょう。」
「アヤちゃんそこまでの道案内はお願いできる?」
「任せてよ、そのために私たちはいるんだから!」
「よしっ、これで決まったな。オーディンを倒せるのは、ホープのみだ。それまで我らアトレウス隊とホワイト隊でホープをカバーする。」
ガチャッ。
スノウが立ち上がる。
「なあ、みんな、一つだけ聞いてくれ。」
「どうした?」
「当たり前のことなんだけど、必ず守ってほしいことがある。」
全員がスノウを見る。
「必ず生きろ、死ぬ前に逃げろ。」
スノウの真剣な眼差しは全員の背筋をシャキッとする。
「おう!町は俺たちに任せろ!そっちは、任せるぜ!」
「よーし、さっそく行こう!セラ達がこの世界を取り戻すときだ!」
「おーーっ!!」
皆はそれぞれの役割を全うし始めた。
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