第百七十九話 因縁の再会

スタッ、スタッ、スタッ。

ホープ、ホワイト隊、アトレウス隊はヴァルハラ城に向かい歩き始めていた。


「残りの敵として考えられるのは、五神とバルドル、そしてオーディンだよね。」

「ヒメノくんの言う通りだね、後はさらに保管されてるゴブリンやオークも出てくる可能性もあるかな。」

「ボス級が七体か、大変そうだぜ。」

「先輩、愚痴ってる場合じゃありませんよ、もうすぐそこに見えてるんですから。」


少し歩くと、二つの分かれ道が現れる。



「これは、どっちに行けばいいの?アヤチン分かる?」

「すみません、私の知ってる道だと一本道だったはずなのですが、正直正解がわかりません。」

「なら、部隊を二つに分けよう。ホープと、私の隊とホワイト隊で別れていこう。」

「そうだな、方向的にゴールは同じだろう。アトレウス、アヤセ、無理すんなよ。」

「了解。」


タタタタタッ。

部隊を分け、先に進んだ。



ホープの道は、周りを木で覆われ、とても自然豊かな場所。

さっきまでの町のような都会感はなく、とても静かな空間。



「なんなんでしょうかここは、今までの雰囲気とは全然違う。」

「ユキナの言う通り、雰囲気も違うし視界も悪い。誰でも何かしら感知したらすぐに報告をしてくれ。」

「了解。」


スサーッ。

風が木を揺らす。


特に敵が潜んでいることもなく、先に日の光が差し込んでいるところが見える。


「あれは、この森みたいなところの出口でしょうか?」

「そうみたいだな、何もいないなんてことはないだろうな。」


ファサッ!

森を抜けると、そこには広場が。



「なんだここ?アヤセが言ってた広場がここか?」

「うーん、どうなんでしょうか。特に敵の姿も見えませんし何かが動く音もしません。リサさん、ユキナちゃんは何か感じますか?」

「いや、あたしの目にも何も見えないかな。」

「私も、特に匂いは感じません。」


スタッ、スタッ、スタッ。

警戒しつつホープは先へと進む。



すると、


シュインッ!

何かが発動する音が聞こえた。


「なんだ!?」

「っ……、特に違和感はありませんがいったい何が……っ!?兄さん、後ろ!」

「なっ!?」



まさかの事態。

通ってきたはずの森が消えていた。


「森が消えた!?そんなことありえるか?」

「けど、確かに私たちが通ってきた森がなくなっています、いったい何がーー。」


ピキーンッ!

ヒメノの地獄耳に感知されるものが。


「何か来ます!皆さん気をつけて!」


シュイーンッ!

闇のオーラが生み出され、そこから一人歩いてくる。



「てめえ、バルドル!」

「何度目の再会だろうな、ホープ。」

「それは、あなたが毎回逃げるからじゃなくて?あたし達はいつでも戦うつもりだったけど!」

「そう騒ぐな、虎よ。」


ズサッ。

地面を歩くバルドルからは、異様な力を全員感じ取る。


「なんだ、あいつ?本当に今まで見てきたバルドルか?」

「わからない、けど、嫌な感じはビンビンするよ。お兄、警戒を怠らないで。」

「ああ、おい!バルドル!ここに来たってことは、俺たちとやり合うってことでいいんだろ。」

「そうだな、そろそろ俺が直々に引導を渡さなくてはいけないと思ってな。」


ガチャッ。

バルドルは両手に二本の斧を構える。


「そうか、じゃあ、俺たちもやっと仇が取れるってもんだ。お前によって作り替えられた化け物、デュポン、ミユウ、そして先生のな!全員、戦闘態勢!」

「了解!!」


カチャッ。

全員が武器を構え戦闘態勢。



「おうおう、いきなり全員かかってこられたら流石に俺も面倒だ。だからよ、まずはこれで遊んでろよ!」


ボフンッ!

ホープの周りの空間から何かが生まれる。



「なんだ、こいつら?」

「人間?真っ黒でよく分からない、けどセラはなぜか見たことある気がする。」

「そんなことあり得るか?俺たち以外に戦う存在って……。」

「まさか、あの武器、服装、兄さん、あれはじゃないでしょうか?」


ドクンッ!

全員の心臓が大きく波打つ。


「おい、嘘だろ。でも、俺ら以外のトップはもういないはずじゃ。」

「まさか、トップの記憶を元に作り出された戦うためだけの僕は一度だけ、王国が極秘に進めてる計画があると聞いたことがある、まさかこれがーー。」

「そうだ、リーンベル。これが、トップの記憶を元に作り出した俺の奴隷達だ!さあ、こいつらも混ぜて俺と遊んでくれよ、ホープ!!」



ギリッ。

スノウの歯に力が籠る。


「ゲス野郎が、てめえは必ず俺たちの手で止めてやるよ。覚悟しておけ、俺たちは今機嫌が最高に悪い、手加減はできねえぜ!」

「いいだろう、俺の作り出す力か、お前達の世界を救おうとする力か、どちらが強いかここで証明してやるよ!!」

「いくぞホープ!俺たちのやるべきことはただ一つ、ここでバルドルとの決着をつける!」

「了解!」


ズサッ!

全員目の前の敵との戦いを始める。


「来い、スノウ!」

「うぉぉ!! 狼派一式ロウハイッシキ! 迅狼ジンロウ!」


バギーンッ!

斧と刀がぶつかり合う。


バルドルとの因縁の戦いの火蓋が切って落とされた。

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