最強の俺たちが国王に記憶を消されたので、どんな手を使ってでも成り上がってやる件

第百四十九話 戦略、再会

続けてセラとヒメノの戦い。

「女と戦うのは気が進まないな。」

「なら、か弱いレディーのために撤退してくれてもいいんだよ？」

「ふんっ、気が進まないのはな、俺が相手だとすぐに決着がついちまうからだよ！」

ブンッ！

ハンマーを振り回し迫りくる。

「いくよ、ヒメちゃん！」

「はい！」

ダダダダダッ！

二人は真正面から対峙する。

「まずはお前からだ、狼女！」

「狼女！？変な名前つけないで！　希狼派四式（キロウハヨンシキ）！　廻閃牙（カイセンガ）！」

グルンッ！ガギーンッ！

ハンマーと刀の回転斬りがぶつかり合う。

「いいな、女とは思えない力！楽しいぞ！」

「さっきから失礼な化け物だね！」

「ガラ空きですよ！　鷹派二式（オウハニシキ）！　鷹弾（イーグルシュート）！」

バギーンッ！

ヒメノの蹴りを腕で受け止める。

「ふんっ、これがホープか！」

ドォーンッ！！

体から風圧を起こし、二人を弾き飛ばす。

「へえ、失礼なこと言うだけあって、力はなかなかあるみたいだね。」

「セラさん、冷静にいきましょう。」

二人は距離を取りオーガを挟み込む。

「ふんっ、楽しませてくれよ！人間の希望達！」

ドゴーンッ！

ハンマーを地面に叩きつけ、地面を隆起させる。

「ちょっと、地震起こせるなんて危険すぎでしょ！」

「このままじゃノーアトューンにも被害が、まずは手から止めます！　火槍（ファイアランス）！　展開！　鷹派七式（オウハナナシキ）！　陽炎（ヨウエン）！」

ボワッ！ボワッ！

二発の炎の斬撃が迫る。

「ふんっ！そんなもの！」

ガギーンッ！

ハンマーでいとも容易く打ち消す。

「ならこれならどう！　雷充填（ライトニングチャージ）！　希狼派七式（キロウハナナシキ）！　紫電衝破（シデンショウハ）！」

ビリリッ！　ドゴーンッ！

雷を纏った衝撃波がハンマーに直撃。

「ふんっ、そんな弱い力で！」

ガギーンッ！ガギーンッ！

セラとオーガはぶつかり合う。

「くっ、一撃一撃が重たい。」

「そうさ、オーガの力は最強なのだ！」

ドゴーンッ！

「うわっ！」

風圧でセラは吹き飛ぶ。

「セラさん！」

ズザッ！ガシッ！

ヒメノが瞬足でセラの元へ走り、吹き飛ぶセラをキャッチする。

「ありがとう、ヒメちゃん。」

「いえ、けど、少し厄介ですね。」

「うん、でも、勝てないやつじゃない！」

シュンッ！

二人はオーガの頭上から迫る。

「いくよ！　希狼派八式（キロウハハチシキ）！　狼牙滑空斬（ロウガカックウザン）！」

「はい！　火槍（ファイアランス）！　展開！　鷹派十式（オウハジュウシキ）！　紅月（コウゲツ）！」

ガギーンッ！

ドゴーンッ！

二刀の攻撃と、火を纏ったかかと落としがオーガに降り注ぐ。

「ふんっ、そんなもので！」

ハンマーで二人の攻撃を弾き返す。

「ヒメちゃん！もう一回！」

「分かりました！」

ガギーンッ！

ドゴーンッ！

二人は同じ攻撃を繰り返す。

「馬鹿の一つ覚えでは、俺には勝てんぞ！」

「誰が馬鹿だって！」

「セラさん挑発にのっちゃダメです！」

もう一度同じ攻撃でハンマーとぶつかり合う。

「ふんっ、そろそろ鬱陶しい！」

バゴーンッ！

ハンマーから斬撃が二人に迫る。

「ヒメちゃん！」

「任せてください！　風槍（ウインドランス）！　展開！　鷹派五式（オウハゴシキ）！　翼撃（ヨクゲキ）！」

ヒューンッ！ヒューンッ！

風の斬撃で相殺する。

「そろそろかな！　雷充填（ライトニングチャージ）！　希狼派十式（キロウハジュウシキ）！　雷刃剣（ライジンケン）！」

ビリリッ！バギーンッ！

雷を纏った攻撃が、ハンマーとぶつかる。

「ふんだ、そんなものでーー。」

ビキビキ、バキーンッ！

ハンマーにヒビが入り、跡形もなく砕け散る。

「なに！？」

「どっちが馬鹿か、はっきりしたね！くらいなさい！」

ドゴーンッ！

そのまま雷の攻撃は、オーガに直撃する。

「うがぁ！」

「おかわりどうぞ！　鷹派九式（オウハキュウシキ）！　烈風多連脚（レップウタレンキャク）！」

ザクッ！ザクッ！

大ぶりの連撃が、オーガを吹き飛ばす。

「うぐ、クソが。ホープの名は伊達ではないということか。」

「当たり前です！私たちは、トップの人間なんですから！」

セラとヒメノは戦闘態勢のまま。

「ふふふっ、確かにトップは強い。だが、強いだけだ！お前達がオーディン様に勝てるわけもないが、たとえこの世界を取り戻したとて、導けるわけがないのさ！」

「それはどうだろうね、セラ達の中に王様向きな人がいるかもよ。」

「戦いしか学ばなかったお前らに、そんな力があるとは思えないがな。」

(セラさん、このオーガは私たちから情報を引き出そうとしてます。)

(そうだね、余計なことは言わないほうがいいね。)

二人は感覚共有（シンクロ）を使って合図をする。

「そろそろ、あんたを倒してもいいかな。」

「ふんっ、俺はここでやられるわけにはいかないんだよ、悪いが帰らせてもらうぜ。」

「なっ、待ちなさい！」

シュイーンッ！

オーガはその場から消える。

セラとヒメノも問題なく退けた。

「なんでしょうか、あのオーガは他の化け物とは違うものを感じました。」

「そうだね、まあ厄介なことが分かっただけでいいんじゃない？」

タッタッタッ。

リサとユキナが二人に走り寄る。

「ユキナちゃん、セラさん、ご無事ですか？」

「うん、セラ達は大丈夫だよ。」

「兄さん達は？」

スノウ達の方を向くと、二人は空を見上げている。

「二人も無事みたいだね、けど何を見てるんだろ？」

スサーッ。

静かな風の中に、ヒメノは何かを感じ取った。

「何か来ます！」

シュイーンッ！

スノウ達の頭上に闇のオーラが生まれ、何かが出てくる。

「ふぅ、流石にオーガには荷が重かったか。」

「てめぇ、なんでそこにいるんだよ。」

スノウの眉間にシワがより、怒りが宿る。

「はっ！久しぶりだな、アクセプトの息子！」

「サイファー！！」

スノウは望まぬ再開を果たしていた。