第百五十話 成長の証、出発

なんということだ、闇のオーラからはスノウの過去に因縁のある人間、サイファーが出てきたのだ。


「はははっ、アクセプト!会えて嬉しいぞ、てめえを殺せる日が近づいてきたぜ!」

「サイファー、てめえが父さんを、母さんを、セラを苦しめてたんだな!覚悟はできてんだろうな。」

「はあ、気づいたのか。どのように知り得たのかも気になるが、まあいい。そうさ、貴様らアクセプト家にはたくさんの借りがあるからな!」


バサッ。

サイファーと名乗る者は、右半身をはだけさせる。


「この傷は、忌み嫌われ子カーズボーイと呼ばれてた貴様のせいで、俺が負ったものだ!お前のせいで、あの町にいた子供達は片っ端から殺されかけた!」

「どういうことだ、俺以外の奴がなんで殺されかけるんだよ。」

「それが世界の大人なんだよ!だから、俺は大人を全て排除することを決めた。そのために、この力を手に入れたんだ!」


ボォッ!ボォッ!

闇の炎がサイファーの手に浮かぶ。



「そうかよ、落ちたな、サイファー。」

「はっ、なんとでもいうがいい!俺はまずはお前を、そして俺を蔑んできた大人どもを殺せればなんでもいいんだよ!」

「そう簡単には、僕たちのリーダーに手を出せないよ。」


ズザッ。

セドリックを先頭に、ホープの六人が集結した。



「そういうこと、過去に何があったか知らないけど、セラ達がお兄を死なせないよ!」

「先輩は過去と向き合って先に進んだんです!あなたなんかのせいで、死なせません!」

「お前ら……。」


スノウの周りには信頼できる仲間がいることが再確認できる。


「さあ、そんなこと言ってられるかな。もうすぐこの世界全てをオーディンが制圧することになる。」

「そんなことさせるかよ!人間をあまく見てんじゃねえ!」

「人という生き物は弱いからな、いくら抗うと言っていてもその意思を超える恐怖を与えてやればいくらでも上書きしてやれんのさ!」


サイファーは闇のオーラに国の地図を載せる。


「見ろ!これが今のギムレーだ!もう既に六割以上を王国側が支配している、もう少しで完成する!」

「オーディンが支配か、てめえのところの王は!」

「恐怖こそ国を統治する者にとって、一番操作しやすい感情なのだ!オーディンは間違えない、ならば、それに従うのが一番いいのさ!」

「ふざけんな!ここは、人の世界だ!外から来たやつに任せて、人の世界が成り立つと思ってんのか!」


スノウとサイファーの言い合いが続く。


「人の世界を人が統一する必要がどこにある!人間なんて弱い生き物が統一するせいで、この世界は崩れていくのだ!」

「人は弱い生き物さ、けどな、その弱さが今までの歴史を作ってきたんだ!弱いからこそ、!」

「やはり、お前とは分かり合えないようだな!アクセプト!ならば、俺のところまではやく来るんだな!この世界がオーディンに染められる前に。」



シュイーンッ!

闇のオーラの中にサイファーは消え去る。


「おい!待て!」


スノウの叫びがこだまする。



「兄さん、あの人は。」

「俺が忌み嫌われ子カーズボーイって呼ばれる原因を作ったやつだ。そして、あいつはもう人間を辞めてた。」

「なんでそんなこと分かるの?あたしには普通の人にしか見えなかったけど。」

「お兄の言ってることは正しいと思う。セラ達の第六感で、あの人からは人間から感じるものを感じ取れなかった。」


その場の空気が重くなる。


「けど、元は人間だったんだ。戻せる方法だってあるはずだ。」


タッ、タッ、タッ。

スノウは一人ノーアトューンの方へ向かう。


「あ、お兄ーー。」

「待って、セラさん。」


スノウの後を追おうとしたセラを、ヒメノが止めた。


「今は、何も言わないであげましょう。兄さんにも、整理する時間が必要だと思います。」

「……そうだね。」


スタッ、スタッ、スタッ。

少し遅れて五人もノーアトューンに向かった。



ノーアトューンに辿り着いたホープは、三日間休憩した。


最後の休息を取り、エインズの元に足を運んだ。



「ああ、来たかホープよ。」

「エインズさん、急ピッチで作っていただいてありがとうございます。」


ヒメノが丁寧にお礼を言う。



「なあに、わしらの希望に渡す装備だ。最上級のものにしないと失礼ってもんだ。」


ガチャンッ。

それぞれの武器と対面。



「すごいな、触っただけで迫力を感じるぜ。」

「そうじゃろうな。この神討ゴッドリベンジャーの特徴は、おぬしらの魔力を最大限に活かせる。今感じてる迫力は、武器が各々に同期しているんじゃよ。」

「すごいですね、本当に僕たち各個人専用の武器ということですね。」

「そうじゃ、これがわしにできる最大限のことじゃ。あとは、任せて良いか?」


六人は武器を携え、エインズに向く。


「当たり前だ!俺たちに任せてくれ、必ず取り返してみせる!」

「ふっ、頼もしいな、ホープよ。」



ホープはノーアトューンの入り口へ向かう。


「ここから、グニパヘリルに向かうんじゃろ?」

「ああ、そこで俺たちは味方と合流する。」

「分かった、危険な場所に向かうぬしらに言うのは間違いかもしれんが、無事でいてくれよ。」

「はい!必ずまた会いに来ます!」


ホープはグニパヘリルへ向かい歩き始めた。


最終決戦はだんだんと近づいてきていた。


第二十四章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第二十四章まで読んで頂きありがとうございました。


スノウ達は新種の敵と出会い、因縁の敵サイファーとも再会しました。

そして、新武器を手に入れた彼らはミーミルと合流する町、グニパヘリルへ。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

これからは戦いの連続! オーディン首を洗って待ってろ!

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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