第百三十五話 隠された町

スタッ、スタッ、スタッ。

ホープの六人はセドリック達が見つけた違和感のあった場所に向かっていた。


「セドくんは、魔力を感じたって言ってたよね?それってどういう感じなの?普通セラ達の魔法は目に見えるはずだけど。」

「確かに、僕らの魔法は目に見えるね。ただ、違和感のあった場所には特に何もなかったんだ。けど、ある一定の場所だけ言葉で表せない違和感があった。」


スノウとセラは頭にハテナが浮かんでいる。


「うーん、セラ達の第六感で分かればいいけど、少し自信ないな……。」

「まあ、行ってみることに意味があるだろ。そこが目的地近くなのは間違いないわけだしな。」

「さすが、兄さんはいつも前向きですね!」

「先輩らしくて安心します!」


賑やかな会話をしながら歩くこと20分、セドリック達が見つけた場所に辿り着いた。



「この辺りだ、二人とも何かわかるかい?」


スノウとセラは周りをくまなく観察する。


「うーん、見た目的には特に何もないみたいだね。」

「ああ、確かに見た感じは何にもねえただの原っぱって感じだな。……けど、ここら辺から何か感じるな。」

「この壁だよね?たしかに、なんて言うかこっちが見られてる気がする。」


スノウとセラが不思議に感じている場所。


それは、広い原っぱに大きな壁のように聳え立つ茶色い岩。

崖と言われれば納得してしまいそうな雰囲気だが、スノウ達はそこから何かを感じ取った。



「ここの岩の壁のこと?あたし達の目にはただの岩にしか見えないよ?」

「特に変わった匂いもしませんし、とても何かあるようには……。」

「いや、この奥に何かあるぞ。」


スタッ、スタッ、スタッ。

スノウは違和感を感じる岩肌に近づく。



「……っ、これは、何かを隠してるのか?」


スッ。

スノウが手を岩肌にくっつけると、何事もないように貫通する。


「はっ!?」

「え、ちょっとお兄!いくらなんでも馬鹿力すぎるよ!」

「いやいやいや、俺は何もしてねえよ!ただ触れただけで。」

「え、てことはこれって、カモフラージュ?」


サッ。

セラも同じく岩肌に触れると、手が中に入っていく。



「これ、魔法で作られた幻影だ。こんな高度な魔法、相当の人がこの中にいるんじゃないかな。」

「敵の拠点の可能性もあるな、用心して入るぞ。」

「背中は僕に任せて。」


六人は恐る恐る岩の壁の中に入っていく。



「うん?かなり奥まで入れそうだな。」

「この魔法の出口はどこかな。」


スタッ、スタッ、スタッ。

カモフラージュを通り過ぎると、ホープの目には予想外なものが映る。



古風な家に、鍛冶屋や食事処、そして真ん中には大きな日本のお城のような建物が。


一つの小さい町として、魔法のカモフラージュの中に存在していた。



「なんだ、これ?俺たちが今まで立ち寄った町とは一風違うな。」

「うん、施設は揃ってるけど、なんかとても静か。もしかして、セラ達警戒されてる?」


周りを見渡すと、スノウ達は異様なまでに孤立させられてることに気がつく。


「こりゃ、何か来るな。」

「みんな、警戒して。あたし達、何人かに狙われてる!」


シュンッ!

何かがスノウ達に迫る。


「見えました! 鷹派三式オウハサンシキ! 鷹爪オウソウ!」


バギーンッ!

勢いよく突っ込んできた者をヒメノが横蹴りで迎え打つ。


「むっ!?鷹流派だと!?」

「だったらなんですか!」


ガンッ!

ヒメノは戦闘に入る。


「まだ来るよ!みんな気をつけて!」

「はぁぁ!侵入者は倒す!」

「あたしに任せて! 虎派二式コハニシキ! 白虎ビャッコ!」


ガギーンッ!

リサの斬り上げが重い一撃を食い止める。


「虎流派!?てことは、あんたは!」

「なに?あたしに何かようなの!」


ドゴーンッ!

リサともう一人も戦闘に入る。


「もう一人きます!」

「ここを見つけられては、生かしては返せん!」

「私たちは、死ぬわけにいかないんです! 鮫派一式コウハイッシキ! 断鮫だんこう!」


ガゴーンッ!

迫る槍の攻撃をユキナは槍で弾く。


「鮫……まさか、おまえは。」

「私たちはやられるわけにはいかないんです!」


ガゴーンッ!

ユキナも戦闘に入る。



「おいおい、何で俺たちが奇襲されてるんだ?」

「敵の拠点なんじゃないかい?どうにか手を考えないと。」

「とはいえ、どうすればいいか分からないよ。」


バーンッ!

周りの建物から、武器を構えた人たちがたくさん出てくる。


「冗談きついぜ、人間相手なんてしたくねえぞ。」

「どうにか、説得できれば。」


ガギーンッ!

ヒメノ、リサ、ユキナが戦いの距離を取り、スノウ達に合流する。


「兄さん、この人たち相当の力の持ち主です。気をつけてください。」

「ああ、全員聞け!俺たちは生きる。けどな、、いいな!」

「了解!」


ガチャッ。

六人は武器を構える。



「不殺の掟、なるほどな。俺たちの目に狂いはなさそうだ。」


バサッ。

突如としてスノウ達を襲った者達が、一斉に片膝をつき頭を下げる。


そして、武器を下ろしスノウ達に敬意を表してるように見える。


「な、なんだ?」

スノウ達はあたふたする。


いきなり戦闘をやめた、彼らは何者か。


ホープに何があったのか、それは次のお話。

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