第百六十三話 真の姿

こちらはもう一体のオーガとの戦い。


「とにかくスピーディーにいこう、少しでも早くクリスタルを壊さないと。」

「わかりました、合わせます!セラさん!」

「二人とも!きます!」


ドダッ、ドダッ、ドダッ。

オーガは床を揺らしながら、セラ達に迫る。


「さあさあさあ!俺と遊んでくれよ!人間!」

「遊ぶつもりはないです! 火槍ファイアランス! 展開! 鷹派七式オウハナナシキ! 陽炎ヨウエン!」


ボンッ!

ガギーンッ!

ヒメノの火の斬撃が打ち消される。


「あの体の頑丈さは厄介ですね、なら! 鮫派三式コウハサンシキ! 破甲槍ハコウソウ!」


シュンッ!

バゴーンッ!

ユキナの槍から放たれた衝撃波がオーガの鎧を少し砕く。


「うぐっ、まだまだーー。」

「でしょうね!背中がガラ空きだよ! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派九式キロウハキュウシキ! 電光石火デンコウセッカ!」


ブンッ!

ジャギンッ!

高速移動しながら雷を帯びた攻撃が、オーガの背後を襲う。


「グググッ、いいな、楽しみがいがあるぞ!」

「電撃を怯まない!?」


ブンッ!

ガギーンッ!

セラは回し蹴りを刀で弾こうとする。


「うっ、重い。」


ブンッ!

オーガの頭上に一つの影が。


火槍ファイアランス! 展開! 鷹派十式オウハジュウシキ! 紅月コウゲツ!」


シュッ!

バゴーンッ!

火を纏ったかかと落としが、オーガに直撃。


「なんて硬さ、貫けない。」

「そう、俺は力を得たんだ!貴様らごときに負けるわけがない!」

「だったら、二つの攻撃ならどうですか! 纏え! 水面ウォーターサーフェイス! 鮫派八式コウハハチシキ! 水刃牙スイジンガ!」


ズシャッ!ズシャッ!

ユキナが放った斬撃がオーガにダメージを与える。


「ふんっ、それがどうした!」

「気づけない時点で、あんたの負けだよ!」


ズザッ!

セラは斧を避け、刀を構える。


ピキーンッ!

セラはヒメノに感覚共有シンクロを発動。


「分かりました!」

「ナイスヒメちゃん! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派十式キロウハジュウシキ! 雷刃剣ライジンケン!」


ビリビリビリッ!

ドゴーンッ!

雷を纏った刀の一撃が、オーガを襲う。


その攻撃をヒメノは当たらないように感覚共有シンクロで避けていた。


「ふんっ、まだまだこんなものでーー。」


ガタガタガタッ。

オーガは動こうとするが、体がうまく動かない。


「な、なんだ?」

「あんたも賢いオーガなら知ってるんじゃない?その体は、ユキちゃんの攻撃で水濡れ。そして、セラの攻撃は雷。」

「ぐっ、俺の体に電撃が走ってるのか。」

「さらにおかわりですよ! 風槍ウインドランス! 展開! 鷹派八式オウハハチシキ! 竜巻タツマキ!」


ボワンッ!

ヒューンッ!!

ヒメノが生み出した竜巻が、オーガの体の電気をさらに加速させる。


「くそっ、こしゃくなことを!」

「さあ、ここで終わらせます!」


ダダダダダッ!

三人は距離を詰める。


「ふんっ、こんなものでやられるか!」


ヒューンッ!!

バゴーンッ!

闇の魔法がオーガの体を覆い、電撃をかき消す。


「なっ!?闇魔法!?」

「そんな、この前戦った時にはこんなものーー。」


ボワッ!

ブンッ!ブンッ!

両手に闇の魔法を纏い、ヒメノに向け放つ。


「くっ! 風槍ウインドランス! 展開! 鷹派五式オウハゴシキ! 翼撃ヨクゲキ!」


バゴーンッ!

風の斬撃と闇魔法がぶつかり爆発する。


「うわぁ!」

「ヒメノちゃん!」


ダッ!

ガシッ。

ユキナは吹き飛ばされたヒメノを受け止める。


「大丈夫!?」

「はい、なんとか。けど、ものすごい重さーー。」

「ふんっ、トップとはその程度か!」


ドスッ、ドスッ、ドスッ。

オーガが距離を詰める。


「セラを忘れないで! はぁぁ! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派終式キロウハシュウシキ! 狼電雷刃双牙ロウデンライジンソウガ!」


ビリリッ!!

シュンッ!!

二刀に雷を纏い、高速で突進する。


「お前の攻撃は軽い!そんなものが通用すると思うな!」

「それはどうかな!!」


バギーンッ!

雷と闇の拳がぶつかり合う。


「確かに重い、けど、セラ達の付けた力はこんなものに負けない!!はぁぁ!!」

「ぬっ、さらに力が上がったーー。」


ブンッ!

ドゴーンッ!

大きな雷の刀がオーガを弾き飛ばす。


「二人とも、無事?」

「はい、いけます!」

「私も問題ないです。」


ズザザッ。

オーガは首を回しながら歩いてくる。


「うーんっ、少しは響いたかもな。けど、まだまだ足りないぜ、俺が心から楽しむにはな!」

「はあ、こんなにこの前のオーガは狂ってたっけ?もう少し賢かった気がするんだけど。」

「セラさんの言う通りですね、もう少し知的な化け物だと思ったんですか。」

「ねえ、ユキナちゃん。本当に、この前のオーガと同じでしょうか?」


ヒメノはオーガを見つめる。


「どういうこと?私たちの戦ったオーガと同じ姿ですし。」

「それはそうなんですが、やっぱり何か違和感があります。見た目は同じでも、何かが違うような。」

「まあ、倒さなきゃいけないことには間違いないよ!さらに力を出される前にいくよ!」


ダダダダダッ!

再度三人が距離を詰める。


「ふんっ、まだ遊べるかーー。」

「兄貴!俺たちの力見せてやろうぜ!」


ドスッ、ドスッ、ドスッ。

セドリック達と戦っていたオーガが迫る。


「弟、まったく、血の気が多いな!まあ、俺も望むところだ!」

「二人とも!離れて!」


ズザッ!

セラ達三人は距離をとる。


「セラくん達!大丈夫かい!?」

「うん!二人も無事そうでよかった。」

「けど、あの二体は何をーー。」


二体のオーガは向かい合っている。


「さあホープ、これが俺たちの力だ。よく目に焼き付けとけ!」

「ここからが、本当の殺し合いだ!」


シュインッ!

ドゴーンッ!

二体のオーガは闇のオーラで覆われ、一つの闇となる。


「なに!?」

「まさか、このオーガ二体はーー。」


ブォォンッ!!

闇のオーラが弾け、中からさらに大きくなったドス黒い紫に覆われたオーガが。


「ふははははっ、さあ、が相手してやる、すぐ死んでくれるなよ!人間!」


新たなオーガが生まれてしまった。

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