第百六十二話 騎士と虎の共闘
まずはリサとセドリックの戦い。
「俺の方は二人か、残念だ。」
「そうかい、そう思うなら、君の感覚は壊れてるよ!
ザッ!
ガギーンッ!
空からの剣撃を、オークは受け止める。
「ふんっ、この程度の力で!」
「こっちは二人だよ!
ガギーンッ!
ドゴーンッ!
長剣の上段斬りでオーガは壁に叩きつけられる。
「うははっ、この痛み、これが殺し合いだ!」
「痛みを楽しんでるってのか、この化け物は。」
「なるほどね、これはこっちも本気でいかないとね!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
二人はオーガと激しい戦いを繰り広げる。
「こいよ、こいよ!ホープ!」
「この戦闘狂が! 来たれ!
「あんたみたいなやつは初めてだよ!
ピカーンッ!
ゴォォ!!
光の斬撃と炎の蛇がオーガに迫る。
「ふんっ!ぬるい!」
バギーンッ!
斧で攻撃をかき消す。
ニヤリッ。
オーガは不適な笑みを浮かべる。
「こいつ、本当に前回のオーガ?もっと落ち着いてた感じしたけど。」
「確かに、明らかに僕らとの戦いを求めている。これが本性だとしたら、前回撤退したのが腑に落ちない。」
「やっぱりそうだよね、薬でもきめてるんじゃないの?」
「薬、いや、可能性はあるんじゃないか?」
ドスッ、ドスッ。
ゆっくりとオーガが近づく。
「何話してんだよ、早くこいって言ってんだろうが!」
ブンッ!ガゴーンッ!
斧が地面を砕く。
カキーンッ!カキーンッ!カキーンッ!
華麗な剣捌きで飛んでくる石を弾く。
「くっ、力も上がってる。リサくんの言った通り、何かしらの力を投与された可能性が高いね。」
「それって、まさかオーディンにやられたってこと!?」
「あくまで可能性だけどね。けど、もしそうだとしたら少しでも早く解放してあげないと。これも一人の生きる存在なのだから。」
「そうだね、あたし達でやれるだけやろう!」
ズザッ!
二人はオーガを挟み込む。
「いくよ!
「ああ!
ブンッ!
力を乗せた技でオーガを挟撃。
「
二人の技が完全に重なる。
「うぐっ、これがホープか、だが俺は、負けん!」
グルンッ!
大きな体を回転させ、二人を弾き飛ばす。
ズザーッ。
砂埃をあげなんとか耐える。
「ぐっ、さすがに厄介だな。」
「本当に、これじゃああたし達も消耗戦になる。セドチン、少しギア上げるよ!」
「了解、任せるよ!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
二人は一貫して斧のみを狙う。
「なんだ?なぜ俺を狙わない?」
「さあて、なんででしょうね! 敵を焼き斬れ!
ボォォ!
バギーンッ!バギーンッ!バギーンッ!
炎の連続斬りが斧に直撃。
ピキッ。
何かにヒビが入った音。
「あとは僕が! 集まれ!
ピカーンッ!
ジャキーンッ!ジャキーンッ!
光で作られた両刃剣が斧に追撃。
ビキキキキッ。
バリーンッ!
斧が砕け散る。
「んなっ、なぜ斧を!?」
「単純だよ、この部屋を壊されたくないからね、邪魔な柄物は壊しとかないと。」
「さあて、あなたの武器は無くなった、どうする?」
ニヤッ。
オーガの顔には満面の笑み。
「なるほど、だが、武器ってのは己の体そのものでもあるんだよ!人間!」
ボゴーンッ!
オーガの両手に闇のオーラが纏わる。
「さあ、あんな飾らなくても俺は戦えるのさ!」
「なるほどね、お陰様であなたの力が分かった。その力、メギンギョルズに似てるわね。」
「そして、指輪をしてないってことは、直接体内に取り入れられたってところか。その力の危険さを、君は知ってるのか?」
「危険?はっはっはっ!バカを言うな、これはオーディン様から授かった最強の力だ!危険なのは、お前達の存在のみだ!」
ズンッ!
さらにスピードを上げたオーガがリサに接近。
「やっぱり、オーディンは許せない! はぁぁ!! 吹き飛ばせ!
ボァァ!
ピューイッ!!
大きな鳥の形をした炎を生み出し、斬り上げと共にオーガを襲う。
ガギーンッ!
オーガは片手でリサの攻撃を防ぐ。
「ふんっ、そんなもので!」
「あんたは忘れっぽいのかな?あたし達は!」
「二人だよ!
ピカーンッ!
シュンッ!!
大きな光で作られた斧がオーガの左手を切り裂く。
「うがぁ!!」
「闇の弱点は光なのは、君も知ってるだろ。」
「うぐっ、貴様光魔法使いか、厄介極まりない!」
ブンッ!
痛みに臆せず、オーガは拳をセドリックに振るう。
「くっ!」
ガギーンッ!
剣で迎え撃つが、力負けしてしまい壁に叩きつけられる。
「えほっ、えほっ。まともに受けてはダメだな。」
「セドチン!こいつ!」
ブンッ!
オーガめがけて振られた一撃は、華麗な身のこなしで避けられる。
「ふんっ、あまいな。」
「くそっ。」
ズドンッ。
オーガは二人と距離を取り、セラとセドリックは合流する。
「大丈夫?まだいける?」
「当たり前だろ、僕も鍛えてきたからね。」
カチャッ。
二人は武器を構える。
「ふうっ、さあて、そろそろこっちも本気ださねえとな。なあ、兄貴!!」
オーガの声が部屋に響き渡る。
彼らの本気とは、いったい。
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