第百六十四話 死闘

ドスンッ!ドスンッ!

オーガ二体は融合して、エンペラーと名乗った。


「さあ、お互いに隠し事はなしだ、楽しもうぞ!」


ドンッ!

闇のオーラで作り出した大きな槍が、地面を揺らす。


そして、エンペラーの気迫はホープすらも圧倒させるものであった。


「何、このプレッシャー。あいつがセラ達に出してるの?」

「そうみたいですね、私たちも全力でいかなくては、命はありませんね。」

「なら、僕たちの戦いをするだけだ!」


チャキンッ!

五人は改めて武器を構える。


「先陣は僕とセラくんが、援護をヒメノくんとリサくん、隙をついてユキナくんはあいつに奇襲を!」

「了解!」


ザザッ!

セドリックとセラは足並みを揃えて立ち向かう。


「そうだ、その目!命のやり取りを楽しもうじゃないか!」


ブンッ!

横振りされた槍が二人を狙う。



「ここは僕が! 戦騎術センキジュツ! ロク! 反射光リフレクター!」


ガギーンッ!

光の盾で弾き返そうと試みる。


しかし、想像以上の力に弾ききれない。


「うぐっ、さらに力が上がったのか。」

「ならあたしが! 虎派二式コハニシキ! 白虎ビャッコ!」


ガギーンッ!

リサの斬り上げにより、槍が角度を変え空振りする。


「ふんっ!そんなもの!」


ブワンッ!

エンペラーは逆手でセラを弾き返そうとする。


「セラだって、力は強いんだよ! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派七式キロウハナナシキ! 紫電衝破シデンショウハ!」


ビリリッ!

ドゴーンッ!

雷の衝撃波が受け止める。


「今だよ!ヒメちゃん!」

「はい! 風槍ウインドランス! 展開! 鷹派四式オウハヨンシキ! 風貫弾ドリルショット!」


ガギーンッ!

風を纏った足蹴りが、ドリルのように頭に突き刺さる。


「くっ、なんて硬さ。」

「ふんっ、お前の力では俺には勝てない!」

「だったら、二人ならどうです!」


ピキーンッ!

ヒメノがユキナに感覚共有シンクロを発動。


ズザザッ!

瞬時にユキナはエンペラーの背後をとる。


「纏え! 水面ウォーターサーフェイス! 鮫派終式コウハシュウシキ! 鮫狂詩曲シャークラプソディ!」


シャキンッ!

ブンッ!ブンッ!

二本の水の槍を生み出し、目にも留まらぬ早さで斬り刻む。


「はぁぁ!!」

「だから言ってるだろう、本気を出せと!」


ドゴーンッ!

エンペラーは体から闇を発生させ、辺りを飲み込む。


闇の中で誰がどこにいるかわからない状態に。


「な、なに!?」

「周りが見えない、闇の中に吸収された?」


ブンッ!

何かがヒメノに向かって接近する。


(この音、私を狙ってる!)


鷹派三式オウハサンシキ! 鷹爪オウソウ!」


バギーンッ!

勢いよく迫ったものに対し、横蹴りで対応。


「うっ、万全な体勢じゃないとさすがにーー。」


ドゴーンッ!

ヒメノが蹴り飛ばそうとしたものは爆発し、彼女ごと吹き飛ばす。


ゴロロロロッ。

勢いよく転がり、闇の中から抜け出す。

「痛っ、瞬時に逃げなかったら私の体は吹き飛んでた。」


ポタッ。

右腕から血が垂れる。


ドゴーンッ!

さらに爆発音が部屋に響く。


ドタッ。

「ユキナちゃん!」


ユキナが闇の中から吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


ズサッ!

ヒメノが駆け寄る。


「ユキナちゃん!大丈夫ですか!」

「う、うん。直撃は避けられましたから、軽傷で済みました。他の皆さんは?」

「まだ闇の中にーー。」


二人がエンペラーの方を向くと、


「うごぉぉ!!!!!」


バゴーンッ!

広範囲の爆発が鳴り響く。


「うわぁ!」

「くっ!」


バゴンッ!

セドリックとリサが壁に叩きつけられる。


「リサさん!セドリックさん!」

「ふんっ、やはりこんなものか。人間の最強とは、我らには到底及ばぬな。」

「くっ、エンペラーを倒すにはどうすれば……、セラさん!?」


ヒメノの目には、爆発にも動じないセラの姿が。



ポタッ、ポタッ。

体には複数の数ができており、血が滴り落ちる。


「人間の最強がこんなもの?はははっ、ふざけないで。あんたはなにも分かってない!」

「ふんっ、やせ我慢しか出来ない雑魚が!」


ブンッ!

槍がセラ目掛け迫る。


「セラさん!」

「セラは、こんなところで、立ち止まれない!」


ガギーンッ!

槍を受け止め、地面にヒビが入る。


「ふんっ、貴様がどう考えようが、俺を殺すことはできないのさ!」

「確かに、セラだけじゃ無理かもね。……けど、大切な仲間がここにいる!」

「その仲間にも、お前にも、もう力が残ってはおるまい!」

「今日の力がないなら、明日の、明後日の、はぁぁぁ!!」


ガタッガタッ。

少しずつ槍を押し戻す。


「な、なに!?」

「セラ達は、守りたい人達がいる。そのために、ここまで努力してきた!だから、こんなところで諦められない! 共鳴突破クロスドライブ! 開始オン! 宣誓の神黒狼フェンリル・ヴァール! セラと未来を作り出せ!」


ドゴーンッ!

セラは共鳴突破クロスドライブを発動。


「はぁぁぁ!!吹き飛べ! 希狼派七式改キロウハナナシキカイ! 紫電豪衝破シデンゴウショウハ!」


ビリリリリッ!

ドゴーンッ!

エンペラーに向けて放たれた怒号のような雷撃は、槍を砕きそのまま右肩を貫く。


「うぐっ!」


ズザッ!

ドスンッ!

負傷したエンペラーは距離を取る。



「はぁ、はぁ、はぁ。こんなものじゃ終わらないよ。あんた達は、たくさんの罪を犯してきた。だから、その重さを知るまでセラ達が教えてあげる!」

「ふんっ!弱者が生意気な!弱い奴は弱い奴らしく、強いも者に従ってればいいんだ!」

「そんな自由がない世界、ホープが作らせない!!この世界は、いくよ、みんな!!」


ズザッ!

他の四人も戦闘態勢を取る。


「人間の希望の力、その身で感じなさい!」


反撃の狼煙が上がったのであった。

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