第百八十八話 再会は突然に

タタタタタッ。

ホープはついにヴァルハラ城に入る。


「ここが、オーディンのいる城か。」

「そうですね、とても嫌な感じがします、皆さん警戒を怠らずに。」

「俺が先頭をいく、カバーは任せるぜ。」


スタッ、スタッ、スタッ。

城の中を六人は歩く。


辺りには高級そうな花瓶や陶器が。

外は晴れているはずだが、薄暗い城の中はとても不気味である。



「あたし達にオーディンが仕掛けてくるかな?」

「いえ、それは考えにくいと思います。オーディンは自分の手を汚さない神です、多分違う方法で何かしてくるかと。」

「ユキナくんの言う通りかもね、バルドルを殺しにきた時以外にオーディンとは僕たちは出会っていない。よほど慎重だと見える。」


ガサッ。

何かが開く音がする。


「なんだ!?」

「敵……ではありませんね、向こうのほうから聞こえました。」


奥の薄暗い通りからその音は聞こえていた。



「いくぞ、いつでも戦える準備をしとくんだ。」

「了解。」


タタタタタッ。

走り向かった先には、一つの扉が。


「この先か、いいな?」

「いいよ、お兄開けて。」


キィーッ。

ドアを開けるとそこには六つの白い扉が現れた。


「何これ?ただのドアにしか見えないけどこんな風に作る?」

「いや、これはただのドアじゃねえ。俺はこのドアを知ってる。」

「うん、セラも知ってるよ、ミユウと戦う空間に連れてかれたドアだ。」


ドクンッ。

スノウとセラは辛い経験を思い出す。


クレイトスの姿、ミユウの姿が二人の頭の中に浮かび上がる。


「だったら、全員で同じ部屋に入ればいいんじゃない?何もあたし達がバラバラになる必要ないし!」

「それはそうだが、そんなに単純にいくだろうか?相手はオーディンだ、何かを仕掛けてそうではあるがーー。」


シュイーンッ!

突如白いドアが光を放ち、ホープの六人を呑み込もうとする。


「なに!?何が起きてーー。」

「やばいことだけは分かるぜ、みんな聞け!


シュワンッ。

白いドアのある部屋には、誰もいなくなった。






スタッ。

スノウは紫色で覆われた部屋に送られる。


辺りには何もない、ただただ広い空間。



「なんだここは?先生の時とは違う。」

「そうだろうな、ここは我の空間だ、知るはずもない。」

「その声、てめえか!ロキ!」


奥から五神の一人、ロキが歩いてくる。


「久しぶりだな、白狼。」

「俺の相手はてめえか、セクヴァベックでの借りが返せそうだぜ!」


チャキンッ!

スノウは刀を構える。




スタッ。

次はヒメノ。


ヒメノガ降りた空間は、赤色で覆われた空間であった。


「なんですかこの奇妙な場所は、真っ赤な空間に寒気もする。」

「それは、俺の殺気だろうよ。てめえに会いたかったぜ、鷹の女!」

「あなたは、フレイヤ!ノーアトューンで衛兵さん達を殺した。」

「あ?そんなこともあったか?けど、どうでもいいね!俺様は、てめえにコケにされたことだけが心底むかつくんだよ!早く借りを返したくてうずうずしてたぜ!」


ドスンッ!

フレイヤは拳を構える。




スタッ。

リサも同じように一人で広い空間に降り立つ。


その空間は、黄色一色で構成されており、眩しくさえ感じる。


「センスのない部屋、いったい誰がこんな場所を。」

「私の部屋を愚弄するか、虎よ。」


スタッ。

そこにはトールが現れた。


「あんたは、ビフレストを襲った五神よね。」

「覚えてくれてるとは、嬉しいぞ。なら、自己紹介もいらぬな。ここで死ね!」

「嫌だね、まだやり残したことあるんだから!」


ズザッ!

二人の重い一撃が響き渡った。





スタッ。

次はユキナ。


ユキナの降り立った空間は、緑色で染め上げられていた。


「この空間は、特別に作られたもの?何も感じないけど、ここはいったいーー。」

「わたくしの空間ですわ、鮫の女の子さん。」

「あなたは、フレイ!」


ボフッ。

木の枝でできた椅子に座っているフレイの姿が。


「あなたよね、わたくしがせっかく育てて作り上げたトロルを殺したのは?」

「作り上げた、まさか、バッリで暴れてたトロルを知ってるの?」

「あら?言いませんでしたっけ?あれは私の作品ですわよ!」


ギリッ。

ユキナの歯に力が籠る。


「そう、ですか。なら、遠慮はいりませんね!」

「あらすごいやる気、返り討ちにしてあげますわ!」


バゴンッ!

複数の枝がユキナ目掛け射出された。





スタッ。

セドリックは真っ白な空間に辿り着いた。


「ここは?僕しかいないのか、スノウ達はどこにーー。」

「待っていたよ、リーンベル隊長!」

「っ!?その声は、デュポン前隊長!?」


スタッ、スタッ、スタッ。

目の前からブレイザブリクで倒したはずのデュポンが現れる。


「なんで、あなたが。」

「はははっ!不思議そうな顔をしているね、けど、君にそれを知る権利はない!」


ズザッ!

セドリック目掛けデュポンは突撃する。


「また、あなたと戦わなきゃいけないんですか、なぜ!」


ガギーンッ!

二人の剣がぶつかり合った。





最後にセラ。


その空間は、青色に支配されていた。


「ここはなに?嘘みたいに青い空間、気味が悪い。」

「イズンちゃんの世界に、何か文句でもあるわけ?」

「あんたは、五神のイズン!」


フワーッ。

空をふわふわと浮かぶイズンがセラの目の前に現れる。


「まったく、あなたに説教されたことは今でも忘れられないわ、だからね、イズンちゃんはあなたをぐちゃぐちゃにしたいの!!」

「そう簡単にやられるような人間じゃないんだよね、セラは!」

「その覇気、最高だね!楽しもうよ、もう一人の狼さん!」


シュンッ!

二人は勢いよくぶつかり合った。



一人一人が因縁の相手とぶつかり合ったのであった。

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