第三十四話 新型の襲来、一分の出来事
時は遡り、五分ほど前 裏門入り口
「こっち、たくさんいすぎじゃない!?」
「確かに、今までとは違いますね!」
裏門にはゴブリン八体、オーク二体が迫っていた。
「まあ、やるしかないか!」
リサは長剣を構え突っ走る。
「邪魔が来た、死ね!」
「いやだね!
リサの斬り上げでゴブリンは後ずさる。
「いきます!
後ずさったゴブリンをヒメノが貫く。
「まずは一体!」
「リサさん、背中は任せます!」
二人は背中をくっつけ、ゴブリン二体と対峙する。
(ヒメチンみたいなスピード技、あたしにも……。)
ピキーンッ!
リサの記憶が思い起こされる。
「これか!
力強く地面を蹴り、逆手に持った長剣でゴブリンの足を斬り裂く。
「ウギャッ!」
膝を地面につけ、
「続けて! 敵を穿て!
リサの長剣に火の龍が纏われる。
「燃え尽きろ!
龍の火を纏った長剣で、ゴブリンを横薙ぎ一線。
二体目撃破。
「殺す!」
「この広さがあれば!」
ヒメノは空を舞う。
「
ヒメノの足に風が纏い、振り切ると大きな竜巻となりゴブリンを襲う。
「うぐっ、前が、見えない。」
「私がいるのは、前じゃありません!
竜巻を空から貫通して、ヒメノの連続蹴りが降り注ぐ。
これで三体撃破。
「すごいね!ヒメチン!」
「リサさんも!お互い強くなってますね!」
残りゴブリン五体、オーク二体。
「リサさん、ゴブリンから倒しましょう。その方が動きが取りやすいです。」
「オッケー!ヒメチンの頭脳は、常に信じてるから!」
リサは目の前のゴブリンに向けて走る。
「お前ら!うざいな!」
「あんた達が襲ってくるからでしょ!」
リサの長剣とゴブリンの斧がぶつかり合う。
「こいつ、力が、強い。」
「当たり前でしょ!あたしは、虎を継ぐ戦士なんだから!
リサの重い上段斬りがゴブリンを真っ二つにする。
「よしっ!ヒメチン!次行くーー。」
ヒメノの方を向いたリサの千里眼に、一つの物体が写る。
「っ!伏せて!」
「え?は、はい!」
ヒメノがしゃがむと、
(なに、この音。何かが、来る。)
ヒメノの地獄耳にも感じ取れる物体。
ヒューンッ!
高速で一つの物体が過ぎ去る。
「なんだ、あれーー。」
「うおぉぉ!!」
その物体……赤い物体の拳はゴブリンを貫く。
「ウギャァ!」
一体のゴブリンは瞬く間に倒される。
「なんだお前!」
三体のゴブリンが武器を持ち迫る。
「敵、ぶっ潰す。」
赤い物体はその体からは予想外のスピードで三体のゴブリンを、
「へあぁぁ!!」
回し蹴りで消し去る。
「なに、あれ。あれも、IWSなの?」
「そうかもしれません、けど、私達が見た黒い物とはかなり違います。それに……」
ヒメノは言葉を詰まらす。
(あんな無理な激しい動き、人間の体が持たない!)
「生意気だ!」
「お前、殺す!」
二体のオークが勢いよく赤い物体に迫る。
「雑魚が、死ね。」
赤い物体の連続蹴りで、オークも瞬時に仕留める。
「ゴブリンも、オークもあんな一瞬で。っ!ヒメチン、肩見て!」
赤い物体の右肩には、
IWS Mk-Ⅱ
「IWSって書いてある!やっぱり、黒いIWSと同じやつだよ!」
「でも、なんでしょう。私は、なぜか寒さを感じます。」
ヒメノとリサは遠くからMk-Ⅱを見つめる。
「まだ、いたか。俺の、敵!」
「っ!リサさん!気を付けて!」
Mk-Ⅱがトップスピードでヒメノたちに迫る。
「うおぉぉ!!」
「やばい!
リサは長剣で拳を受ける。
(うっ、重い。全身が、悲鳴をあげてる。)
「離れて!
ヒメノの横蹴りがMk-Ⅱの頭に入る。
……が、
少しの凹みのみで、後ずさりもしない。
「そんなーー。」
「じゃまだ。」
「うわぁー!!」
Mk-Ⅱはヒメノの足を掴み、壁に投げ捨てる。
ゴスンッ!
鈍い音が響く。
「ヒメチン!こんの!
「そんなもの!」
リサの斬り上げを、Mk-Ⅱは片手で受け切る。
「力だけじゃない、早すぎーー。」
「じゃまだ。」
Mk-Ⅱの拳がリサに迫る。
「くっ、なんとか受け切ってーー。」
「無理だ。」
ガゴーンッ!
リサは受けきれなかった衝撃で、吹き飛ばされる。
「えほっ、えほっ、なんなの、あいつ。」
リサは口から血を流す。
「リサさん!」
ヒメノはリサの元による。右手から血を流して。
「お前ら、死んでいい。」
「うっ、どうにかあれを止めないと!ユキチン!」
「はい!」
二人は挟み込む形で、Mk-Ⅱに迫る。
「
「
二人のスピード技が重なり、
「
息の合った二人の攻撃は……
カキーンッ!
Mk-Ⅱの両腕に止められる。
「邪魔をするな!」
Mk-Ⅱは回転蹴りで二人を吹き飛ばす。
「きゃぁ!!」
「うはっ!」
二人は地面に倒れる。
「なんなの、あの強さ。」
「私たちでも、こんなに差があるなんて。」
二人は立ち上がれない。
この一連は、
たった一分の出来事であった。
「ヒメノ!リサ!どこだ!」
スノウたちの声が聞こえたのは、その数十秒後であった。
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