第五章 英雄は生きてる意味を知る
第二十三話 この世界の在り方、復活の兆し
「流石に考えすぎではないかの?国王オーディンがなぜそんなことをする必要がある?」
「そこはわからない。でも、オーディンがこの国を統一する前は違う誰かがやってたんだろ?」
「まあ、そうじゃな。国王オーディンの前は、アトリ様じゃな。」
ソーンがテーブルの上にアトリの絵を出す。
「アトリ、明平の暦が始まる前の国王か。」
「そういえば、アトリ国王はなぜ退任したのですか?」
「それは……病死じゃよ。」
ズーンっ。
空気が重くなる。
「うーん、どうも腑に落ちない。国王が変わって、FC計画が発令されてヘルクリスマスが起きた。そもそも、何でオーディンはヘルクリスマスが起きるって分かってたんだ?」
「兄さんの言いたいことはわかります。ただ、そこまでしてこの国を自分のものにする理由が見つかりません。」
「まあ、現状はこれが限界だな。」
四人は話を終える。
「まずは、君たちの力についておさらいした方がいいだろう。俺の知る限りを君らに伝えたい。」
グレイはスノウとヒメノを連れ外に出る。
「話を聞かせてもらえるなら、リサとユキナもいる時がいいな。それまで俺たちもこの街の復旧を手伝うぜ。」
「そうですね、まずはこの村を少しでも元に戻しましょう。」
「ありがとう、感謝する。」
カンッ、カンッ、カンッ。
ドサッ、バタンッ。
三人は村人を含めて村の廃材や、入り口の補修をする。
タッタッタッ!
「先輩!ヒメノちゃん!」
「あ、ユキナちゃん。リサさんはどう?」
「ゆっくり寝てます。外が騒がしかったから、出て見たら補修とかしてるみたいだったから私も手伝います!」
ユキナも加わり補修を始める。
「ここの廃材はまとめておくから、そっちの柵を頼む。」
「分かりました!」
ソーンの指示でビフレストの街が少しづつ片付いていく。
「先輩、ちょっといいですか?」
「ん?どうした、ユキナ。」
「皆さんが使った暴走する力のことについてで……。」
ユキナがもの寂しそうに話す。
「それがどうかしたか?」
「おそらく、私にもあの力はあると思います。……それで、もし私が皆さんのように暴走状態になったら、助けてくれますかーー。」
「俺が助ける。」
ユキナが言い終わる前にスノウが返答する。
真っ直ぐにスノウは見つめる。
「へ?」
「安心しろ。どんなことがあっても、全力で助けに行く。」
「そ、そうですか。……ありがとうございます。」
ユキナは俯く。
「どうした?ユキナ顔が赤いぞ?」
「な、なんでもありません!早く修復終わらせましょう!」
「いや、けどーー。」
「いいですから!……察してくださいよ、ばか。」
タッタッタッ。
ユキナは小声でこぼす。
街の修復はあらかた終わり、スノウ達はリサの元を訪れた。
ガチャッ。
病室の扉が開かれる。
「あ、みんな!」
「よお、リサ。体はどうだ?」
「うん、なんとか動けるくらいにはなったよ!」
リサはベットに腰をかける。
「よかったです、リサさん。」
「心配かけてごめんね、ヒメノン、みんな。」
「気にするな。おかげで、この村は救われたんだから。」
途端に、リサは暗い顔をする。
「リサさん、あの四人のことですか?」
ユキナがリサに問いかける。
「うん、目の前で守れなかったあの人たちに、せめて手を合わせたいなって。」
「そうだな、慰霊碑は建てた。全員で行くか。」
ザッ、ザッ、ザッ。
スノウはリサに肩を貸し、慰霊碑の前まで連れていく。
「ここだ。」
「うん、ありがとう。」
四人は手を合わせる。
静寂の時間が流れる。
時が止まっているかのように。
「ありがとう、彼らに手を合わせてくれて。」
ソーンが四人に頭を下げる。
「いえ、これは私たちが向き合わなければいけないことですから。」
「リサ、お前ーー。」
「分かってるよ、スノウ。守れるものは限られてるって……それでも悔しい気持ちは消せないよ。」
リサの目には、強い決意が宿っていた。
スタッ、スタッ、スタッ。
四人は会議室に向かう。
「それでは、俺がわかることを全て伝える。」
「お願いします。」
グレイが話し始める。
トップの20人は一つの流派で十の技を身につけている。そして、最後に会得する終式も存在する。
そして、各々に得意な魔法がある。
スノウ:氷 ヒメノ:風 リサ:火 ユキナ:水
そして、魔法には得意な使い方もある。
スノウ:付与系 ヒメノ:具現化系 リサ:生き物としての放出系 ユキナ:物体としての放出系
つまり、
スノウは武器に氷付与ができる。
ヒメノは武器に風を起こして自由自在に使える。
リサは火の魔法で動物の形をした物を放出する
ユキナは水の魔法を床や壁のように発生させられる。
そして、
各々のイメージをリンクさせることで、発動可能。
もう一つの技、
各流派の技に魔法を付与して攻撃することを指す。
そして、最後。
うちに宿す神を顕現し、その力を自分の力として発動する。
スノウ:
その発動条件は、各々違うが感情に反応するとされている。
「俺が知っているのはこんなところだ。」
「なるほどな、少し理解に時間かかりそうだけどなんとなく分かってきたよ。ありがとう。」
「これから君たちはどうするんだ?」
グレイが聞く。
「私たちはまだ、十式全て思い出した訳じゃないのでそのきっかけとか探せたらと思います。」
「ヒメチンに賛成。またあいつらみたいな化け物が来ても倒せるよう、力を蓄えなきゃ!」
「分かった。近くの宿屋は無事だったから、そこを使ってくれ。」
四人はお礼を言うと、宿屋に向かった。
徐々に自分たちは何者なのか思い出していく彼ら。
だが、まだまだ冒険は始まったばかりなのは、言うまでもない。
♦︎♦︎
「トールよ、何か申し開きはあるか。」
「何もございません。」
「そうか、フレイヤ同様一度は見逃す。……じゃが、次は失望させるなよ。」
「はっ!」
オーディンが五神を見つめる。
「少しばかり、ワシも甘く見ていたか。ここらで、奴らを送ってみるかの。」
オーディンは含み笑いをしつつ、ワインを飲み干した。
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