第五十一話 過去との対面、次の影
「お兄、約束だよ。」
「ああ、約束だ、セラ。」
スノウとセラは指切りをしている。
「っ!」
日の光が指す部屋に、スノウはベッドに横になっていた。
「ここは……ああ、そうか。俺は
スノウは右手を動かそうとすると、
ズンッ。
右手が自由に動かせない。
(なんだ、なんで手が動かない?)
スノウは右手の方を振り向くと、
「すぅー。すぅー。」
そこにはヒメノが椅子からベッドに寄りかかり、眠っていた。
「ヒメノ……そうか、俺のことを診ててくれたのか。」
「すぅー。すぅー。」
「また迷惑をかけたな、ありがとう、ヒメノ。」
サァッ、サアッ。
スノウは左手でヒメノの髪を撫でる。
「っ、うん?」
ヒメノは起き上がり、スノウを視覚に入れる。
「っ!に、兄さん!」
「おはよう、ヒメノ。」
「……はぁー。良かったです、無事起きてくれて。」
ヒメノは心底安心したようで、体の緊張が解ける。
「悪かったな、また面倒をかけーー。」
ピチンッ!
「痛っ!」
ヒメノのデコピンがスノウにクリーンヒット。
「兄さん、もう言わなくても、わかりますよね?」
「あ、ああ。セドリックにだけ相談して、ヒメノ達には何も言わなかった。すまない。」
「本当ですよ!私もそうですが、後でリサさんとユキナちゃんからもお説教ありますからね!」
「は、はい……。」
いつもの明るい雰囲気が戻ってくる。
コンッコンッコンッ。
セドリックが部屋に入ってくる。
「失礼するよ、っ!良かった、スノウも起きてたんだね。」
「俺もってことは。」
「ああ、ついさっきセラリウムさんも目を覚ましたよ。」
スノウの顔に安堵の表情が浮かぶ。
「なあ、全員集まることはできるか?」
「あ、はい。この宿屋さんの、休憩室なら。」
「そしたら、案内してくれ。そして、セラから全てを聞こう。」
タッタッタッ。
スノウはセドリックに肩を借りて、休憩室に向かう。
「あっ!スノウ!」
「先輩!良かった!」
先にリサとユキナ、セラリウムが来ていた。
「ああ、心配かけたな。悪い、後で説教はちゃんと受けるよ。」
「……。」
セラは黙ってスノウを見つめる。
その目には、少し不安が宿る。
「お互い無事で良かったな、セラ。」
「っ!う、うん!やっぱり、夢じゃないんだよね。おはよう、お兄!」
セラは満面の笑みでスノウを迎える。
どうやら、昨日のことが夢でなかったか不安だったようだ。
「そしたら、改めまして。セラは、セラリウム・アクセプト!お兄の双子の妹です!昨日は、迷惑をかけてごめんなさい……。」
セラリウムは頭を下げる。
セラリウム・アクセプト 17歳 スノウの双子の妹
165cmでリサに負けず劣らずのスタイルの良さ。
髪はピンク色で、ポニーテールにしている。
黒い大きな瞳と、右腕にブレスレットの様なアクセサリーを付けているのが特徴。
「いいのいいの!セラチン!大抵悪いのはスノウの方なんだから!」
「なんだよそれ、……って言える立場ではないな。」
「うんっうんっ!」
スノウ以外の全員が頷く。
「お前らな!」
「ふふふっ、良かったねお兄!よくわかってくれてるお仲間さんで!」
「はぁー。そういうことにしとくよ。」
六人は賑やかに話し合い、若者の楽しげな雰囲気が空間を支配している。
そして、
「セラ、そろそろ聞いてもいいか。」
「うん、いいよ。セラが知ってること、全て話すよ。」
「セラリウムさんは、どこまでーー。」
「ヒメちゃんストップ!その、セラリウムって呼び方禁止!」
セラリウムはヒメノの口に向けて、✖️マークを手で作る。
「え?そしたら、なんて。」
「セラ!セラのことはセラって呼んで!」
「わ、分かりました。セ、セラさん。」
「うーん、まだ距離感じるけどこれからに期待かな。」
セラは真剣な眼差しで他五人を見る。
「セラが知ってることは、クレイトス先生のメモ帳を元に頭に入れたことだから、そのままを話すね。」
「ああ、頼む。」
「先生のメモに書いてあったことは、大きく分けて二つ。一つ目は、トップという存在がどういうものなのか、二つ目はあたし達の中にいる、フェンリル達……別名、
彼らの力の証明、トップ。
そして何度も助けられている内なる存在、戦神。
彼らにまた一つ、記憶のピースが埋まっていく。
♦︎♦︎
同時刻 ある町の朝
「ふぅー、これでひとまずは準備完了かの。」
「あやつらの弱点は、とうに知っておる。フレイヤやトールのようなミスは、わしにはありえん。」
大きい町ではあるが、何故だろうか。
朝だというのに、妙に静かである。
「そして、ここにあやつらがくるのも必然。故に、ここでホープどもを、射殺す。」
ロキは影に呑まれるかのように消えていく。
ホープに危険が目前にまで迫っていた。
第八章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第八章まで読んで頂きありがとうございました。
スノウとセラリウム、双子の再会が叶いました!
そして、少しずつ彼らの記憶のかけらが回収されていきます!
スノウ達の今後を気になってくれる方!
どんな過去があるの!? ロキとはなにやつ!?
ホープの五人組、セラリウム、応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!
ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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