第九章 英雄は過去を知り、影が迫る

第五十二話 トップとは……

休憩室で六人は今知っている情報の共有をしている。


そして、重たい空気が流れ始めていた。


「まずは、トップとはなんなのか、話していくね。」

「ああ。」

セラが話し始める。




FC計画によって、7-12歳の子供が集められ、全20セクターに2,500人ずつ割り振られた。


各セクターには、

・狼流派

・虎流派

・鷹流派

・鮫流派

などが存在する。


その中で、自然を使った訓練、武術の訓練、戦略を学ぶ訓練など、戦う上で必要な知識を学んでいった。



だが、その場にいるのはまだ世界を知らない子供達。

逃げ出す者、諦める者など日々たくさん現れた。



しかし、

逃げ出した者や、諦めた者の末路は……。



そして、7が経過した時、


各セクターでトップを決めるが行われた。


戦闘技術はもちろん、自分の能力を活かせる者がどのセクターでもトップとなった。


そして生まれた選ばれし20人のトップ。


セラリウムは狼流派の訓練をしていたが、クレイトスによって適性を偽装され所属として過ごしていた。


故に、セラリウムは蛇流派のトップとして上り詰めた。




そしてその中から、ずば抜けたエースで構成された部隊がある。



そう、


である。


スノウ、ヒメノ、リサ、ユキナ

この四名が最前線を駆け抜ける最強の部隊、ホープとして更に訓練を続けた。


そして、セラリウムは王国ヴァルハラのある地域グラズヘイムのとして、責務を全うしていた。



そして10年が経過した日、


が起きた。



ホープ部隊は最前線で魔王を倒しに向かい、王国に攻め込んでくるゴブリンには、セラリウムを隊長とする防衛部隊が対応していた。



そして、ホープが魔王を倒し、ヴァルハラに帰還した時に例の事件、ということが発生した。



セラは、クレイトスに真っ先に見つけられ、王位魔法オウイマホウ空間移動ワープにより、ミュルクヴィズに飛ばされた。


そこで記憶をなくしているセラは、クレイトスのメモを読みここまでの情報を得たのだ。




「ここまでが、セラの知ってるトップのことだよ。」

「なんとなくは分かった。もう一つの方は?」

「うん、それはセラ達の中に宿ってくれてるについてだよ。」




トップになった20名は、ある儀式を行った。


グラズヘイムの中にある地域、でそれぞれの戦神センジンの声を聞いた。



ユグドラシル……この地の神が祀られているという、神聖な大樹。



そこに20名のトップは集い、願いを捧げた。



「我、いつ如何なる時も汝とこの時この地を永遠トワに共に過ごさん!」


シュイーッン!

各トップの心に直接声が届く。



「お前が、俺の主人か。」

「ああ、そうみたいだな。俺はスノウ、お前は。」

「フェンリル……とだけ言っておこう。」

「フェンリルか、よろしくな。」


各々神を宿し、その力を顕現するべく三年間の修行を積んだ。


時には山を駆け登り、実戦形式の訓練も繰り返し、そして極地に達した者は五人現れた。



そう、ホープの四人及びセラリウムだ。


そして、会得した奥義



限界突破オーバードライブ



これを会得した者は、最前線に送られたのだ。



限界突破オーバードライブは、自分と自分に宿した戦神センジンを入れ替えることで莫大な力を得られる。

しかし、名前の通り自分の持つ力以上のものを発揮するため、反動で体が動かせなくなってしまう。


いわゆる、と呼ばれるものだ。




「これがセラの知ってる全てだよ。」

「ありがとうございます、セラさん。一つ、質問していいですか?」

「どうぞ、ヒメちゃん。」

「二人は同じ戦神センジン、フェンリル。を宿してますよね?全く同じ神様が宿ってるってことなのですか?」

セラ以外は、確かにという反応を示す、


「さすが、鋭いねヒメちゃん。正確には、同じ名前ではあるけど違うところがあるの。」

「俺とセラのフェンリルの違うところ?」

「そう、それぞれの神には、正式名称フルネームってのがあるの。」


そう、彼ら戦神センジンには、正式名称フルネームというものが存在する。


「セラの場合は、誓約黒狼フェンリル・ヴァール。自分が成すべきと誓ったことに対して、全力で応えてくれる神。」

「そんな名前だったのか、てことは俺の方は。」

「うん、さっきの戦いで分かった。お兄のフェンリルは、軍神白狼フェンリル・テュール。セラの知識が正しければ、戦闘において自分の正義に素直に向き合った時に全力で応えてくれる。」

スノウは戸惑いを見せる。


「まあ、最初はよく分からないよ。セラもまだ力を引き出すことはできてないし、いつか分かる日が来るよ!」

「そうだな、まあ今は考えてもしょうがないな。」

「セラチン!あたし達の神の正式名称フルネームは知らない!?」

リサは勢いよくさらに近づく。


「ご、こめんね、先生のメモにも狼流派の事しか書いてなくて……。」

「そうか〜残念。」

「まあ、これからの事はみんなで一緒に考えていこうよ。僕は、みんなに力を貸したい。」

セドリックは暖かく微笑む。


「そうだね!セドリンの言う通り、少しは自分たちについて知れたしこれからもどんどん進むだけだね!」

「そういえば、セラの疑問なんだけどさ、なんでみんな私服で戦ってるの?」

「へ?あ、そういえばセラさんは何かかっこいい正装みたいな感じですね。」



これから彼らは、更に成長していく。



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