第五十三話 更なる成長、不穏な気配

「え、俺たちって戦闘服的なのあるのか?」

「あるよ!各流派の正装スーツがあるんだよ!」


五人は驚きの表情を浮かべる。


「セラさん!どこで作れるんですか!?」

「ここだよ、。防具職人のが仕立ててくれるよ!」

セラは休憩室にある地図を指差す。


「セクヴァベックか、ここから歩いて3時間くらいかかりそうだね。」

「セドリックは行ったことあるのか?」

「一度行ったことあるよ、かなり落ち着いた町だよ。」


ガチャンッ。


六人は休憩室から各部屋に戻り始める。


「そしたら、1時間後に宿屋を出よう。」

「了解です。」

スノウ達は各部屋に別れる。


「スノウ、体はもう平気なのかい?」

「ああ、ある程度はな。けど、限界突破オーバードライブ使うたびにこうなってちゃこの先が不安だ。なんとか、制御する方法も考えないとな。」

「そうだね、お互いが干渉し合う……なんて便利なことができたらいいけど。」

スノウとセドリックは荷物をまとめる。


「セドリック、悪かったな。いきなりお前に重荷を背負わせちまって。」

「別にいいよ、スノウの考えてることだ、何か理由があるんじゃないかとは思ってたよ。」

セドリックは微笑む。


「ありがとな。助かる。」

「どういたしまして。」

二人は部屋からでる。


「先輩!そっちは準備平気ですか?」

「ああ、ユキナ達は?」

「こっちはもう少しかかりそうです。」

「分かった、先に外出てるよ。」

スノウとセドリックは宿屋の外へ出る。



「あ、きたきた。」

「早いなセラ、この村の人に挨拶とかはーー。」

「もう済ませたよ!早く一緒に旅したくてさ〜。」

セラはにこにこしながらとても楽しそうに話す。


「そうだな、やっとだ。」

「セラくん、これからよろしく。」

「セドくんもよろしくね!セラはお兄よりは常識人だから安心して!」

スノウをイタズラの笑みでセラは見る。


「はあ!?俺もセラも大した差はねえだろ!」

「セラはね、使えるようになりました〜。」

「なっ!お、俺にもそんくらいは……。」

「できるの??」

スノウは黙り込む。


「はぁ、お兄は昔から敬語出来なかったからね。」

「そうなのかい?何か理由でも?」

「うーん、まあその辺りは今度話そうよ。」


タッタッタッ。


「みんなお待たせ!」

「遅くなりました。」

リサを先頭に三人も合流する。


「セラ、改めてよろしくな。」

「うん、こちらこそ!」

「新生ホープ、六人で始動だね!」

六人になったホープは、ミュルクヴィズを後にしてセクヴァベックへ向かう。



ミュルクヴィズを出て一時間ほど。


ホープは昼ごはんの準備をしていた。



「セラさん、料理上手なんですね!」

「うん、まあセラ一人で生活してたからね。セラも少しは花嫁修行しとかなきゃ!」

「花嫁修行!?」

周りの女子達がざわめき出す。


ヒメノの顔には眉間にシワがより焦りが見える。


「セラさん、好きな人とかいるの?」

「え、いないよ?セラはこれから出会える未来のために修行してるの。」

「そ、そうですよね!」

ヒメノは野菜を切りながらホッとする。


顔から少し焦りが消えた。


「なになに?セラにお兄を取られると思ったの?」

「いやいやいや、そんなわけないじゃないですか!お二人は双子なんですから!」

「ふーん、で、も、さ。」

セラは周りを見る。


「お兄も罪な人だよね、こんなに女の子集めちゃって。選び放題なんて、セラが男の子だったらテンションMAXだけどな〜。」

「な、何を言ってるんですか!私たちは、世界を救うために集められた部隊なんですから。」

「じー。」

セラはヒメノの顔をじっと見つめる。


「ふふっ、ヒメちゃんうそ下手だね。まあ、セラの場合そもそも恋愛対象じゃないから関係ないけど、足踏みしてると……。」

セラはヒメノの耳元で囁く。


「取られちゃうよ。」

「っ!ちょっと、セラさん!」

「あはは、ヒメちゃん赤くなってて面白い!」

ヒメノとセラはとても賑やかである。


「仲良くなるの早いな、セラとヒメノ。」

「セラくんもスノウに似て、周りからしても一緒にいて緊張しないんじゃないかい?」

「まあ、双子だからな。それはそれでいいことか。」


六人はスピーディーにカレーを作り、昼ごはんにする。


「あむっ、あむっ、あむっ。」

「ぱくっ、ぱくっ、ぱくっ。」

「セラくんもリサくんに負けず劣らずの大食感だね。」

「もしかして、大食いになるとスタイルが良くなる!?」

ヒメノは咄嗟にユキナを見る。


「ん?どうしました?」

「いや、何でもないからそっとしといて。」

ヒメノは頭を抱える。


(ほとんど同じ食生活してるのに、なぜ私の栄養は欲しいところにいかないのですか……。)


「リっちゃん、ヒメちゃん何かショック受けてるよ?」

「うーん、何でだろ?」

リサとセラは頭にハテナを浮かべながらカレーを食べ進める。



そして昼食を終えた六人は、町が見えるところまで来た。


「みんな、あれだよ!セクヴァベック!」

「おっ!やっとか、早く戦いやすい装備作ってもらおうぜ!」

セラを先頭に、ホープはセクヴァベックに入る。




シーンッ。


物音ひとつない町中。



「なあ、セラ。」

「うん、何か、おかしい。」


ホープはすでに危険地域となったセクヴァベックに足を踏み入れていた。

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