第百三十三話 もう一つの戦い

少し時は戻り、セラがミユウに押し出され、サイクロプスに道を塞がれた所に至る。


「セラ!」

「危険です先輩!まずは、この化け物をどうにかしないと!」


ドシンッ!ドシンッ!

サイクロプスは目をぎょろつかせながら、五人に迫る。


「じゃまだ!どけ! 狼派一式ロウハイッシキ! 迅狼ジンロウ!」


ガギーンッ!

スノウのスピードに乗った攻撃は、容易く腕に弾かれる。


「くっ、硬いな。」

「無闇に突っ込んでもだめだ!スノウ、いつも通り行こう!隙を僕たちが作り出す、そこを狙ってセラくんのところへ!」

「くそっ、分かった。任せるぞ、みんな!」


ガチャ。

全員が武器を構える。



「フゴォォ!!」

地面を揺らす怒号が、辺り一面に鳴り響く。


「まずは足を止めるよ!セドチン!」

「了解だ!」


ダダダダダッ!

リサとセドリックが先行する。


「ガァ!」


ブンッ!

大きな斧が、二人目掛け振り下ろされる。


「サイクロプスの攻撃は受け止めてはダメだ!僕たちの体が持たない!」

「見た目通りだよね!任せて!」


ドゴーンッ!

斧が地面を砕き、あたりに石や砂を飛び散らす。


「自然破壊は反対だよ! 虎派一式コハイッシキ! 猛虎モウコ!」

「問題点はそこかい? 戦騎術センキジュツ! ! 乱斬ランギリ!」


ズシャン!

ジャギンッ!ジャギンッ!

リサの重い縦斬りと、セドリックの素早い攻撃がサイクロプスを襲う。


ポトッ。ポトッ。

少し足に傷が入る。


「これくらいじゃ、びくともしてないね。」

「ああ、話には聞いてたけど、かなりの戦闘特化のようだ。……ん?待てよ?」


セドリックはサイクロプスを見て何か疑問を感じる。



「グォォ!!」

大きな拳が二人に迫る。


「セドチン!考え方はあとあと!」

「あ、ああ!」


シュンッ!

二人は攻撃を避け、距離を取る。


(なんだ、何かおかしい。僕の知ってるサイクロプス何か違う?)


背中がガラ空きになった隙を、ヒメノとユキナが攻める。


鷹派二式オウハニシキ! 鷹弾イーグルシュート!」

鮫派四式コウハヨンシキ! 閃鮫センコウ!」


ズシャン!ズシャン!

二人の攻撃は、腰に刺さる。


「ウガァァ!!」


ドゴンッ!ドゴンッ!

痛みを感じたサイクロプスが暴れる。


「少しは効いてますかね。」

「けど、倒すのには骨が折れますよ。」

「でも、今なら隙を作れる!ヒメノくん!」

「分かりました!」


ダダダダダッ!

二人は暴れるサイクロプスに近づく。


「行きます! 鷹派六式オウハロクシキ! 嘴閃シセン!」

戦騎術センキジュツ! ハチ! 空光クウコウ!」


スッ! ザクッ!ザクッ!ザクッ!

二人の空からの攻撃が、サイクロプスの目に当たる。



「ウガァァ!!」

痛みのあまり、両手で目を塞ぐ。


「兄さん!今です!」

「おう!」


シュンッ!

スノウはセラを助けに走り去る。



「グ、ウゴォ!」


ブンッ!ブンッ!

サイクロプスは怒りに身を任せ、拳を振り回す。



「危なっ!こんなの近づけないよ!」

「こんな行動、僕の聞いたものにはなかった。サイクロプスとはどちらかといえば、とても冷静かつ豪快なモンスターと聞いた。何かが違う……っ!?」


セドリックはサイクロプスの顔をよく見る。


「そうか、!」

「目?目がどうかしたんですか?」

「ユキナくん、サイクロプスは本来なんだ。けど、あいつは違う。二つの大きな目がある。」

「た、たしかにそうですけど、ではあれは何でしょうか……まさか!?」


ユキナは過去のモンスター達のことを思い出す。



「ああ、おそらくバルドルによって生み出された全く新しい化け物だ。姿形がサイクロプスには似せているが、行動まではトレースできなかったんだろう。」

「だとしたら、この戦い方や声の感じ、元々はなんじゃないでしょうか?」

「確かに、あたし達が戦ってきた中だったらオークが近いかも。そしたら、そんなに焦る必要もないかな!」


ジャギンッ!

四人は武器を再び構える。


「ウゴォ!!」


頭に血が上ったサイクロプス?は四人目掛け突進してくる。


ピキーンッ!

感覚共有シンクロをリサとヒメノが発動する。


「まずは足からいくよ!」

「はい!」


ズザッ!

二人は真正面から迎え打つ。



火槍ファイアランス! 展開! 鷹派十式オウハジュウシキ! 紅月コウゲツ!」

火蛇レッドスネーク! ご飯よ! 虎派九式コハキュウシキ! 蛇虎炎帝ジャッコエンテイ!」


ブオッ!

ズシャン!


煉獄レンゴク!」


火を纏ったかかと落としが右足の甲に、火の蛇が左足を喰らう。


「ウギャァ!」

熱さにやられたサイクロプス?は倒れ込む。



「いくよ!ユキナくん!」

「はい!」



ズザッ!

二人は顔面目掛け一気に詰め寄る。


「開け! 水面ウォーターサーフェイス! 鮫派十式コウハジュウシキ! 水槍乱舞スイソウランブ!」

「集まれ!ヒカリよ! 戦騎術センキジュツ! ジュウ! 光双連刃牙コウソウレンジンガ!」


ジャギンッ!ジャギンッ!

水を纏った槍と、光を纏った両刃剣の連撃が襲う。


アギト!」


二人の重なった攻撃がサイクロプス?にとどめを刺す。


シュワーンッ。

目の前の巨体はそこに何もなかったかのように消え去る。


「ふう、少し警戒しすぎたかな。」

「でも、もし本物のサイクロプスだったらこうはいかなかっただろう。警戒は怠らないほうが良いと思うよ。」

「セドチンのいの言う通りかもね。……スノウ達は!?」


バッ!

四人はスノウ達の方を向く。


そこにはスノウにもたれかかるセラの姿。



「兄さん達も何とかなったみたいですね。」

「ですが、セラさんの様子が変ではないですか?私たちも合流しましょう!」


タッタッタッ。

四人はスノウ達のもとに駆け寄る。



彼らの戦いは勝利を収め、終わりを迎えた。




♦︎♦︎♦︎



時を同じく、とある町の一室。



「……、近くで争いが起きてるのか?」

「そのようです。ですが、その争いはもう終息した模様です。」

「そうか、最近この町の近くでも争いがよく起きるな。我も覚悟を決めなくてはいけないか。」

「……。」


全身を黒い着物で覆っている者は、周りにいる仲間と思われる者達に何かを命令する。


彼らは、いったい……。



第二十一章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第二十一章まで読んで頂きありがとうございました。


ホープ達は最強の武器を作る準備ができました!しかし、新たな刺客も登場。そして、黒い服を着た者の意味深な発言。それは、何を指すのか。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

最後の黒い者はだれ!?かなりのキーパーソンかも!?

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!



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